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#17 森林破壊を防ぐ方法~北風と太陽~

こんにちは、GTです。
今回は森林破壊を防ぐ方法について、なるほどと思うことがあったので記事にしたいと思います。


森林破壊の原因

以前にチョコレートを題材にしてガーナの森林が減っている記事を書いたことがありますが、主な森林破壊の原因として農地への転用があります。

カカオだけでなく、大豆やトウモロコシなど主要な農作物を作るために森林が切り拓かれて農地に変えられています。ガーナでも森林がかなり減少していますが、それと同等かそれ以上に南米でも森林が減っています。

森林破壊の防ぎ方

ここからは森林破壊をどう防ぐのかということを考えていきたいと思います。

①規制

防ぎ方の1つは規制、つまり法律やルールで禁止するということです。

南米で森林の減少がかなり進んでいて、有名なブラジルのアマゾンも例外ではありません。そんなブラジルでは大統領が変わったことで政策が見直されて、アマゾンの森林開発を規制することにしました。

他にも、EUでは農作物とその製品が森林破壊によって開発された農地で生産されたものではないことの報告を義務付ける「欧州森林破壊防止規則」が発効されました。来年からそういった農作物のEUでの取引が実質的にできなくなるということになります。

こうした規制を行うことで、森林減少の抑止効果が得られることは確かだと思います。ただ、森林を破壊する側から考えると、規制の対象外になっている森林を開発するようにしたり、EUで売れないんだったら他の国で売るようにしたりと、抜け道を見つけて森林を開発しようとするでしょう。
結局はいたちごっこになってしまうことは残念ながら否めないだろうと思います。

②雇用創出

2つ目の防ぎ方は森林の開発をしなくて済むよう雇用を創出することです。こちらが冒頭に書いたなるほどと感じた方法です。

最近聞いた話で、アフリカでゴリラを見ることができるツアーがあるそうで、そのツアーの参加費用は一人10万円を超えます。以前はもっと安かったそうですが、需要が大きいためか値上がりしているようです。

この事例のなるほどと思った点は、現地住民も森林の開拓をしていたそうですが、その現地住民がツアーガイドとして収入を得ているということです。
それまでは森林を開拓して農作物や木材を売ったりして生計を立てていたんだと思いますが、森をよく知るツアーガイドとなることで森林を開拓しなくてもよくなった、むしろ森林を開拓すると飯のタネがなくなってしまうという構造になっているわけです。

そもそもなぜ森林を開発するのかということを考えると、それ自体が目的ではなく、生きていくこと、そのための収入を得ることが目的です。そのための手段として森林を開発するわけです。そうすると森林を開発しなくても収入を得られる別の手段、つまり雇用を提供できれば、森林を開発する理由がなくなって、森林の減少を防ぐことに繋がります。

森林を開発しているのが現地住民であれば、上で挙げたようなツアーを産業化することで外貨を獲得して、それを原資として雇用が生まれます。
外部の違法な業者の場合は同じスキームは成り立たないでしょうが、やりようはあるんじゃないかと思います。森林を開発されることで現地住民は住環境が変わって困るでしょうから、違法な業者が開発していないかを監視する仕事をつくることで住環境維持と収入源の二重のインセンティブを与えて抑止力を強化する、そして違法な業者に買収されないように森林開発がされなかった場合に追加のインセンティブを与える、といった方法もあるでしょう。そういう雇用の原資としては公的支出以外にもほしいところですが、例えば国際機関が仕組みをつくって森林保全への貢献を謳いたい企業からお金を集めて原資として運用する、ということができるとよいなと個人的に思います。(実際にリサイクルの世界では、企業はお金を払うことで必要な義務を果たしているとみなす、という構図が成立していたりします)

ここまで書いてきた森林破壊の防ぎ方は、「北風と太陽」の話に似ているように思います。
規制として外部から強硬的に止める北風のような方法と、雇用をつくって当事者が止めようとするように仕向ける太陽のような方法。

「北風と太陽」では、北風では旅人のコートを脱がすことはできませんでしたが、森林破壊を止めるためには太陽だけではなくて北風の力も必要でしょう。北風を最大風速にしてコートを剝ぎ取って、太陽でカンカン照りにしてTシャツを脱いでもらう、といった感じでしょうか。

そしてこれは森林破壊以外にも転用できるものではないかと思います。
何かを実現しようとするときに、規制的な仕掛けとインセンティブを持たせて自発的な動きになるような仕掛け、両方のアプローチで考えることで実現に近づけることができるんじゃないでしょうか。

ではでは、また次回お会いしましょう。

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