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建築学生がパリで見た建築12選
みなさんこんにちは!現在ベルギーに留学中のけんけんです。冬の休暇を利用してデンマークに留学中の建築学科の友達とパリを旅行してきたので、今回はその模様を「建築だけ」に限ってサクッと紹介します!
パリ旅行の参考にしてみてくださいね!
1.ポンピドゥー・センター
はじめに向かったのはパリの中心部にあるポンピドゥー・センターです。1977年に当時のポンピドゥー大統領の「新しい芸術拠点をつくる」という構想のもと、イギリス人のリチャード・ロジャースとイタリア人のレンゾ・ピアノのユニットによって設計されました。設備が全て剥き出しになった前衛的な外観は当時は批判されたようです。しかしのちに設計者は二人とも建築のノーベル賞、プリツカー賞を獲得しています。中には図書館やレストラン、美術館が入っており、エスカレーターを上がるとパリを一望することができます。竣工から50年近く経った今でもなお未来を感じられるような建物です。美術館の企画展示以外入場は無料、予約も不要です!
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2.ブルス・ドゥ・コメルス
二つ目は日本が誇る巨匠、安藤忠雄さんが歴史的建造物の中をリノベーションした美術館、ブルス・ドゥ・コメルスです。過去には穀物の取引所や証券取引所として使われ、1889年のパリ万博の際にガラスのドームや装飾が作られた歴史的な建物です。簡単に言うと、グッチを経営する会社の大金持ち市長が現代アートをコレクションしており、それを展示するためにこの歴史的建築物をレンタルし、安藤さんに改装を依頼したという背景があります。2021年にオープンした新しい美術館で、やはり安藤さんのディテールへのこだわりは世界一だなと感じられるような感動的な空間でした。チケットは10ユーロほどで、予約なしで並ばずに入ることができました!
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3.サヴォア邸
続いては建築学生や建築好きなら誰もが知るであろう、ル・コルビュジエのサヴォア邸です。個人的には、建築学科に入って初めて作った模型がこのサヴォア邸だったので、実物を見れただけで感動でした。驚いたことに、訪れたときには韓国人や日本人、その他建築学生と思われる人ばかりで、みんな隅々まで写真を撮っていました。やはり建築は訪れて触れて見ることが一番の学びですね。中心部からは電車とバスで40分ほどの郊外の住宅街に位置していることもあり、観光客は少なめですよ!学生は無料でした。
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4.フランス国立図書館
続いてドミニク・ペローが設計したフランス国立図書館です。半地下の中庭をもつ閲覧室棟と、四つの開いた本の形をした高層棟から成る超巨大な図書館です。ちなみに高層棟はマンションのように見えますが、全て書庫なんだそうです。まだ人生18年しか生きていないのであまり信頼性はないですが、今まで見た図書館ではダントツで大きかったです。中庭を囲むように巨大な閲覧室が広がっており、長ーい廊下を回遊することができます。廊下に等間隔に立っている照明や自習デスクのデザインが面白かったです。訪れた時が大学のテスト前の時期だと言うこともあり、中は自習する学生で混んでいました。こんなに綺麗で巨大な図書館が近くにあったら、勉強のモチベーションも上がりますね。建物の中に入るのは無料ですが、閲覧室に入るにはおそらく手続きが必要です。
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5.エッフェル塔
言わずと知れたパリの名所エッフェル塔は1899年の万博の際に建てられました。高さは東京タワーとほぼ同じ330mと言われていて、エッフェルと言う名前は設計者のギュスターヴ・エッフェルから来ているそうです。展望台は三つあるのですが、一番上のものは予約がいっぱいで行けませんでした。高さ115mの第二展望台に「階段で」上がれるチケットのみ当日でも入手することができました。高所恐怖症の僕には過酷すぎましたが、パリの巨大な都市の夜景を楽しめて最高でした!ちなみに登りエレベーターは別のちょっと高いチケットを買う必要がありますが、下りは無料です。
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6.ノートルダム大聖堂
こちらも言わずと知れたパリの名所で、1225年に完成したとされる教会、ノートルダム大聖堂です。ゴシック建築の最高傑作と言われ世界遺産にも登録されています。2019年の火災で一部が焼け落ち、5年間の修復工事を経て先月一般公開が再開されたばかりでした。ヨーロッパに来てからたくさんゴシック建築を見てきましたが、ステンドグラスの美しさはダントツで一番でした。重機やクレーンのない時代にあれだけ高く複雑なものをいかにして作ったのか本当に不思議になりました。一般公開が再開されたばかりと言うこともあり、入場には並ぶ必要があるので、朝一で行かれることをお勧めします。
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7.パンテオン
18世紀にジャック・ジェルマン・スフロによって設計された新古典主義建築の聖堂、霊廟です。フランス革命の際に十字架が取り払われ、宗教施設としての機能を失い、その後は功績を残した人々を祀る霊廟として使われるようになったそうです。有名どころで言うと社会契約論を書いた思想家のルソーや、作家のヴィクトル・ユゴーなど79人の棺が地下に置かれているそうです。内部は地上部分はとにかく厳かでずっしりとしていて、迫力に圧倒されます。また周辺には他にもたくさん歴史的な建物があるので、本当に中世から近世にかけての時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます!学生は無料で、それほど並ばずに入ることができました。
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8.ルーブル美術館
ルーブル美術館は誰もが知る世界一有名な美術館と言えるでしょう。その中でもアメリカの建築家イオ・ミン・ペイのガラスのピラミッドは有名ですよね。実際に行ってみると、想像よりも大きかったです。美術館の正面の公園は左右対称でめちゃくちゃ広いので、晴れていたら歩いているだけで気分爽快ですよ!ただ、スリや寄付の押し売りも非常に多いので注意してください。時間の都合で中には入っていないのですが、最長2時間待ちとも言われるので行かれる際は必ず事前に予約しておくべきです。
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9.ラヴィレット公園
こちらはスイス人の建築家でありランドスケープアーキテクトのベルナール・チュミによって設計されたパリで最大級の公園です。もともと工業地だった場所の転用計画でコンペで選ばれたそうです。チュミのデザインは、グリッド状に配置されたフォリーと呼ばれる建築物による点、プロムナードによる線、芝生や緑地による面といった抽象的要素を、別々のレイヤーとして構成し重ね合わせることで自ずと公園が浮かび上がるというダイアグラム的な手法が使われているそうです。公園に点在するフォリーと呼ばれる建築物は、多目的ホールのようなものから機能は持たないアートピースのようなものまであり、かつてこの場所にあった食肉工場の構造体を再現したものもあるそうです。完成から時間が経っていることもあり、一部のものは壊れていたり閉鎖されていました。また訪れたのが寒い時期で利用者が少なかったので、いまいち雰囲気がつかめませんでした。もう少し暖かい時期に出直そうと思います。
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10.フィルハーモニー・ド・パリ
続いては先ほどのラヴィレット公園の中に位置するフランス人建築家ジャン・ヌーヴェル設計のコンサートホールです。目にして驚くのがぶっ飛んだ外観です。34万枚のアルミのパネルが羽毛のように建築を覆っていて、ギラギラです。飛ぶ鳥をイメージしているそうで、動きのあるファサードが特徴です。訪問当日は公演がなかったため入れませんでしたが、内部もすごいらしいです。しかし特段おすすめはしません。
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11.アラブ世界研究所
お次はジャン・ヌーヴェルの出世作となったアラブ世界研究所です。この建築の特徴はなんといってもアラブの文化を象徴するアラベスク模様のファサードです。そしてご存知かもしれませんが、この模様一つ一つはカメラのレンズのようになっていて、必要に応じて閉じたり開いたりすることで内部に入り込む光の量を調節しています。中はアラブの文化を伝える図書館や美術館、またセーヌ川を一望できる展望デッキがあります。入場は無料で内部からあの独特な窓の細部を見ることができます。近くから見ると非常に繊細でメカニカルな作りになっていて、写真で見るファサードと大きく違った印象を受けます。
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12.オルセー美術館
パリの三大美術館の最後の一つ、オルセー美術館です。この美術館はもともと駅だったことで有名ですが、万博の際に鉄道が敷かれたものの時代の変化とともにわずか40年ほどでホームの長さが足らなくなり、その後ホテルとして細々と営業を続け、廃墟と化す手前のところでイタリア人建築家ガエ・アウレンディの設計によって美術館に改装されたそうです。現在は印象派の名作を集めた美術館としてパリでルーブル美術館につぐ多さの年間400万人が訪れます。中は随所に駅であったことが感じられる装飾や構造が残っていて、まさに古き良きものを愛し自由な発想で美術を楽しむというフランスという国を象徴しています。特に中のレストランはかつてのホテルのダイニングルームを再現しているそうで、装飾が非常に美しいです。
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まとめ
パリは非常に広く、良い建築であふれています。今回行けなかったベルサイユ宮殿や、フランクゲーリーのルイヴィトンミュージアムなど、全て回ろうと思うと本当に1週間ぐらい必要なのではないでしょうか。またヨーロッパ屈指の観光地でありどこも混雑するため、事前に綿密に計画を作り、定番のスポットは必ず事前に予約して行かれることをお勧めします。