初恋
大学二年生の彩花(あやか)は、毎朝同じカフェでモーニングを食べることが日課になっていた。カフェの大きな窓からは、都会の喧騒が少し遠くに感じられ、彩花にとっては一日の静かな始まりを告げる大切な場所だった。
ある朝、いつものようにコーヒーを片手に読書をしていると、ふと目の前に一人の青年が座った。彼は明るい茶髪にメガネをかけ、ノートパソコンを広げながら何かに集中している様子だった。彩花は特に気にも留めず、本のページに視線を戻した。
しかし、数日経つとその青年が同じ時間に同じ席にいることに気づいた。「偶然かな?」と彩花は思ったが、それが続くたびに、彼が気になり始めた。どこか落ち着いた雰囲気を持つ彼は、何かに一生懸命取り組んでいるようで、その姿が彩花には輝いて見えた。
数週間が過ぎたある日、彩花がふとカフェのドアを開けると、見慣れた青年が先にカウンターで注文をしていた。彼は彩花に気づき、軽く微笑んで「おはよう」と挨拶をした。少し驚いたが、彩花も自然に「おはよう」と返した。
その瞬間から、二人の関係は少しずつ変わり始めた。
ここから先は
771字
¥ 150
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?