「子育ての原理原則」 〜 全くその通り ①
「子育てのほんとうの原理原則」と言う本がある。
奥田健次さん著。
臨床心理士であり、専門行動療法士さんであるそうだ。
ここに書かれていることは、親が「プリンシプル:原理原則」を持つということである。
つまり、「ブレない土台や羅針盤」を立てることが親がやるべきはじめの一歩だそうである。
私も子育てを一応終え、今はヤレヤレと思う身であるが、奥田さんの論理には共感した。
思えば、自分の子育ての頃、奥田さんの著者を読んだことはなかった。しかし、自分の直感が、ブレてはいけないと常に警告を鳴らしていてくれていた気がする。
多分、自分が、そうやって育てられてきたこともあるかもしれない。
学校教育に関わっていた仕事柄、なんとなくわかっていたからかもしれない。
だが、はっきり言おう。
「原理原則」を通すということは、けっこう大変だった。
例えば、「ご飯の前にはおやつを食べない」と決めたとする。
フルタイムで働く身としては、夕方の6時はまだ帰宅途中のこともある。
保育所に迎えに行って、家に戻り鍵を開けた途端、子どもが「お腹すいた」と言う。
確かに。
しかし、まだ食卓には何もない。
これから味噌汁を作りご飯を炊き、おかずを作っていると7時を過ぎてしまう。
「ポテトチップスでも食べて待っていて」
そういえば簡単だが、「ご飯の前にはおやつを食べない」のルールは簡単に破られてしまう。
冷凍ご飯を解凍し、冷蔵庫に作り置きしていた味噌汁を温め、納豆か何かで食事を始めさせる。
子どもが食べている間に、魚か肉を焼き、ブロッコリーを茹で、人参の煮物を作る。
鯖の塩焼きが出来上がった頃、子どもの食事はほとんど終わっている。
しかし、いいのだ。
「ご飯の前にはおやつを食べない」のルールは守り通した。
だが、調理しながら、子どもにご飯を食べさせるという同時進行の仕事を行うのは、かなり労力が必要だ。
おまけに、その間、味噌汁はこぼれる、ご飯は落とすという事件が起こる。
しかし、いいのだ。
今回のミッションは「ご飯の前にはおやつを食べない」ということだけだからだ。
帰ってすぐに食事をさせようと思うと、冷凍庫にはご飯貯蔵、冷蔵室には納豆の買い置き、味噌汁の作り置きが常備されていなければならない。
また、食べさせながら作った鯖の塩焼きを、子どもは半分は食べたが、あとは残っている。ブロッコリーや人参も食べきれずにさらに残っている。
親が食べてしまえることもあるが、そのまま、ラップされて冷蔵室にしまわれることもある。
冷凍庫や冷蔵室は、貯蔵された食品と食べ残された食品とですごいことになる。
でもいいのだ。
「ご飯の前にはおやつを食べない」ことは守られた。
それから、土日の休みの日には、すぐに食事提供できるための食材の買い置きは必須である。
冷凍室や冷蔵室は、買い置きですごいことになる。
しかし、いいのだ。
「ご飯の前にはおやつを食べない」ためだから。
私も子育てを一応終え、今はヤレヤレと思っているのは、こういった、「プリンシプル」を持つために、毎日、とんでもない業務に駆られていたからからである。
だが、やってきてよかったと思う。
奥田健次さんの「子育てのほんとうの原理原則」。
全くその通り、と思う。