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読書日記『世界でいちばん透きとおった物語2』/杉井光
※がんばってネタバレ配慮してますが、ちょっとだけ触れてます。ほんのちょっとだけ。無理でした。
やっと発売日!
めっちゃ待ってた。僕が去年やたら小説を読むことになったきっかけと言って差し支えない前作『世界でいちばん透きとおった物語』の続編。初めてかもしれない。発売日を意識して書店に向かったのは。昨夜は21時まで仕事だったから楽しみすぎて眠れないなんてことは無かったけど。
とにかく、続編を読めることが楽しみだった。
買えた!
新書が置いてあるところに並んでたのを見つけ、百人一首の一字決まりの札ばりに手に取る。レジでの支払いを待っている瞬間が、早く読みたいというワクワク感の頂点だよね。それに、きっと面白い。前作で体験した衝撃的な感動が、イナズマイレブンの必殺技、トリプルディフェンスの栗松と壁山のように支えてくれている。
読んだ!
前作を読んだのがちょっと前なのもあって記憶が薄れていたことに自分の記憶力のなさを恨むのだけど、読みながら断片的にだけど思い出せた。そうそう、主人公は藤阪燈真という名前で、担当編集者さんが天才の担当編集で…、ってそこからかよ!!!
それはさておき、読んだ感想です。
やばかった。これを書きながらAudibleで『「好き」を言語化する技術/三宅香帆』を聞いているのに、僕は何も学べていない。月額1,500円だぞ。
ジャンルで区分するならメタミステリだと思う。これは前作からそうなんだけど、また別ベクトルでメタい。いや、また同じことをされたらひっくり返るんですが。
まずこの現実世界に、新進気鋭の小説家、藤阪燈真がいるという納得感がある。それは、実際のミステリー作家の名前が出てくるのはもちろん、杉井光さんの藤阪燈真としての著者がちゃんと藤阪燈真本人の著書として描かれているから。『世界でいちばん透きとおった物語』シリーズ(?)は、この2作の他に短編のアンソロジーが書かれているのだけど、今作はそれを経験した藤阪燈真のその後の話になっている。続きを書くにあたって、そりゃそうなのかもしれないけど、それがものすごく没入感を生んでいて、現実とフィクションの境界を曖昧にしてくれていた。出会う人たちがデビュー作を知っている、とか。そこが僕にはめっちゃ刺さった。著者名が藤阪燈真のブックカバーが季節のEditionであったら鳥肌立つかも。
そしてなにより、話がとにかく面白い。前作は父親の遺作を探す話、今作はコンビ作家の遺作を探す話。いつになってもミステリー小説を探す運命にとらわれ続けるのではないかと思っちゃうね。作中作の中にまた作品があるとかいうとんでも小説。それが藤阪燈真として綺麗にまとめられているのがとても良くて、彼らしいなと思えた。
大筋には触れないようにするけど、霧子さんの存在のデカさを再確認できた。前作は彼女との共作と言っていいと思う。霧子さんがアイディアをくれて、燈真が執筆をしていた。だからこそ、燈真は作中のとある作品に関わろうと思ったのかもしれないな。作中にあるまえがき、あれが藤阪燈真を成長させてくれる気しかしない。『世界でいちばん透きとおった物語3』、待ってます。
最後!
3時間くらいかかったけど、一気読みできた。
やばかった、から始まった割にはいい感想になった気がする。Audibleのおかげかな。
藤阪燈真の今後が本当に楽しみで楽しみで、もっと続いて欲しいと一読者として欲望を顕にしておきます。もっと続いて欲しいです。大事なので2回言っておきます。
2を経た藤阪燈真を取り巻く環境はどうなっているのか、それを想像するだけで楽しみで仕方ありません。
あけおめことよろ.ᐟ.ᐟ🎍🌅
去年読んだ本は78冊でした。もうこんな頻度で読めやしないだろうけど、趣味:読書くらいにはなれたのではないかと思います。小説を読むことのハードルが下げられただけでも去年やたら本を読んだ意味があったな。