児童虐待

この記事では大学図書館で見つけた「児童虐待」についての本を3冊紹介する。


虐待される子どもたち

1冊目は、丸田桂子の「虐待される子どもたち」という本である。図書館の分類番号は369.4である。

著者の丸田桂子は、小児科医、診療所長であり、1985年に児童相談所嘱託医となる。このほか保育園嘱託医、保健所健診医などを兼務している。このような経験から、児童虐待についての本を描いている。

この本は、様々な児童虐待の事例が描かれている。

なかでも興味を持った事例を紹介する。

「生活保護で虐待がひどくなる」
母子家庭などにより、生活保護を受ければ月額15万円程の保護費がもらえる。そうすれば、生活は多少安定するだろうと私は考えていた。しかし、貧困と虐待は切っても切れない問題である。そのことから、この本での事例では生活保護という温床ができると虐待が酷くなっていったということであった。生活に余裕がうまれると子供が邪魔になり男を作り遊び回り、食事を作らなくなる、これが典型的な虐待である。

紹介した事例は典型的なパターンの虐待についての話であるが、この本には今まで普通に生活していると想像できないような児童虐待の事例が山のように描かれていた。


児童虐待

2冊目は、南部さおりの「児童虐待」という本である。図書館の分類番号は367.6である。

著者の南部さおりは、児童虐待やスポーツにおける体罰・ハラスメントに関する問題を、医学・法学等の分野横断的なアプローチで研究している。

この本では、「児童虐待とは」「子どもへの身体的虐待」「特殊な身体的虐待」「ネグレクトという虐待」「児童虐待を克服するために」、の全5章で構成され、なぜ児童虐待が起こってしまうのか、防ぐためにできることはないのか、そのようなことを考えさせられることが描かれている。

「児童相談所等への通告を、「逆愛の通告」というネガティブな意味でとらえるのではなく、「援助を必要とする親子の存在を行政に知らせる」というポジティブな意味でとらえることができる。」という言葉があった。

「児童相談所」という単語を聞くと、世の中の人達はマイナスのイメージでとらえることが多い。そのイメージをなくしていけば、自分に子育てが無理だと感じたら、虐待が起きてしまう前に対処しようと、児童相談所に相談するという行動に移すことへ繋がるだろう。


あたりまえの親子関係に気づくエピソード

3冊目は、菅野幸恵の「あたりまえの親子関係に気づくエピソード」という本である。図書館の分類番号は367.3である。


著者の菅野幸恵は、青山学院大学コミュニティ人間科学部教員であり、子どもや親の育ちの場としての自主保育・青空保育に関心をもちフィールドワークを続けている。

この本では、母親が「子どもをイヤになる」瞬間についてのインタビューから見えてくる,楽しいだけでなく,軋轢,葛藤も経験しながら親子が共に育っていく,というあたりまえの子育ての姿について描かれた本である。

親子関係とはどのような関係にあるのか、幼児をもつ母親へよインタビューに基づいて母親たちがわが子に対して不快感情をもつのはどんなときなのか、それを、どのように切り抜けているのか、初めて親になる女性がどのような不快感情を経験し、対処しているのか、2歳すぎから5歳までの変化について、といった内容について描かれている。

様々なインタビューなどを通し、イヤになることが親の成長発達につながる。虐待は許されるべきものではないが、加害者の親だけを責めればすむものではない。親子の関係性のみだけでなく、社会経済的な問題が大きく関係しているのである。


まとめ

以上、「児童虐待」について3冊の本を紹介した。児童虐待とは何なのか、という根本的なところから、様々な事例、どうして起こるのか、対処はできるのか、など幅広く描かれていた。

「児童虐待」とは、とても深刻で、貧困から生じてしまうケースが多く、なくなることは難しい。どのような事件が今日起こっているのか知り、知識をつけ、これから親になっていく世代として、対処していきたい。

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