見出し画像

中小企業診断士で食べていくための3つの20%と1つの30%

執筆日:2025年1月7日

「試験を突破した君たちは、受験生の中ではトップになった。しかし、独立してプロの世界に入れば、(実績や経験がなければ)一番下からのスタートとなる。食っていくためには、まず上位20%を目指しなさい」。

これは、私が実務補習の際に指導教官から言われた言葉です。7年前のことなので一言一句正確ではありませんが、この一言が私の浮足立った心を引き締め、「プロの世界で生き抜く厳しさ」を実感させてくれました。

この記事では、この教官の言葉を基に、中小企業診断士が独立して食べていくために必要な「3つの20%と1つの30%」について整理し、解説します。

まずは、概念的に図示してみます。

※資格保有者は、1次試験合格後に養成課程を経た方もいます。
※資格保有者→独立診断士は、診断士資格のみで独立した人の割合です。中小企業診断士協会が実施した令和3年の調査結果によると他資格兼業なしの独立診断士は28.5%。

Ⅰ.1つ目の20%:受験生から1次試験合格者へ
中小企業診断士を目指す受験生の中で、1次試験を突破できるのは約20%です。この試験は、広範囲の知識を問われるため、効率的な戦略が重要です。
〇私の経験と戦略
・得意科目で点を稼ぎ、不得意科目は基本を徹底

 私が受験した年、「経済学・経済政策」は苦手でしたが易しかったため得点源にすることができました。一方で、「経営情報システム」は得意なはずが難易度が高く苦戦し、40点台という結果でした。総得点で420点を超えたことで合格できましたが、60点を超えたのは3科目だけでした。

足切り回避を最優先
 苦手科目でも基本を徹底することで足切り(40点未満)を防ぎ、総得点での合格を狙う戦略が有効です。科目合格も選択肢ですが、総得点での合格のほうが、心理的な負担感が少ないと感じました。理由は、失敗した科目があっても、他の科目で補うチャンスが多いからです。

Ⅱ.2つ目の20%:1次試験合格者から2次試験合格者へ
1次試験を突破しても、2次筆記試験という新たな壁が待っています。ここでも再び上位20%に入る必要があります。
2次筆記試験の特性
・採点基準の不透明さ

 「よくできた」と感じた答案が低得点で、「あまりできなかった」と感じた答案が高得点になることもあります。この現象の理由として、相対評価や素点と調整後の点数の違いが考えられます。

実務とのつながり
2次試験では、与件文を活用し、具体的かつ多面的に解答する力が求められます。試験の与件文は実務における「クライアントからのヒアリング内容」や「自身で行う業界分析や内部環境分析」をまとめたものに相当します。試験中から「クライアントの状況を理解して問われたことに答える」という基本を意識することが重要です。

Ⅲ. 1つ目の30%:資格保有者から独立診断士へ
資格を取得した後、さらに挑戦が必要になるのが「独立診断士としての一歩」です。ここで問われるのは、不安や恐怖という感情と向き合う力です。
独立の難しさ
・実績ゼロのスタートライン
中小企業支援の実績がなければ、なかなか依頼されることはありません。独立後は大手企業にいた時の肩書に頼れない「個人の実力勝負」です。

0→1の壁を超える方法
私の場合、トップ層のベテランコンサルのカバン持ちをしながら実務経験を積みました。この過程で学んだことは実践的なコンサルです。

Ⅳ.3つ目の20%:独立診断士の中で上位20%へ
 資格を取得し独立しても、その先にはさらなる競争があります。独立診断士として生き抜くためには、上位20%に入ることが目標となります。私自身、この位置にいるのかどうかは正直分かりません。また、「上位20%」の明確な基準があるわけでもありません。ただ、業界で目にするトップ層(上位20%よりも更なる上位層)を観察すると、いくつかの共通点があります。
トップ層の特徴
・仕事が途切れない

 トップ層の診断士は、「この仕事ならこの人」と業界内で認識されています。案件の難易度が高く、他にできる人がほとんどいない場合が多く、その人に仕事が集中します。

過酷さを受け入れる
 トップ層の診断士は、難易度の高い仕事をこなしながら、多数の案件を抱えています。私のような若輩者には過酷に思える仕事でも、人間的に成熟したトップ層にとっては、それほど苦に感じていないようです。

〇私の考察
 トップ層に到達するためには、難易度の高い案件に挑み、他にはないスキルや実績を積み重ねることが重要だと考えました。ただし、この過程には大きな努力と継続的な学びが求められます。それは人間としての成熟も求められるように思えます。市場としてはブルーオーシャンでも、仕事内容が過酷な場合が多いため(私はそう感じる)、覚悟を持って挑む必要があります。

結び
2次筆記試験の合格発表が近づいてきました。合格発表を心待ちにしている方々にとって、この先のプロとしての道筋を考えるきっかけになれば幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。メッセージやスキ、フォローをいただけると、とても励みになります。

いいなと思ったら応援しよう!