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【ヨーロッパ旅行記2】ベルギー・アントワープ1日目
『夜中の薔薇』
私は文学をそんなに嗜む口ではなく、難解な題材を用いられる作家さんや、コアな作品についてはあまり詳しくありません。
ですが、ベルギーへ旅行に行った後読んだエッセイの中で、以下の一説が目に留まりました。
ヨーロッパの真ん中へんのゴチャゴチャしたあたりに、白い耳と書く小さな国があるな、という程度だった。
目は花のパリやローマに向き、格別行ってみたいとは思っていなかった。
ところが、味に関して「違いのわかる」人たちが口を揃えて、
「ベルギーはいいですよ」
とおっしゃる。
ものによってはフランスよりおいしい。食いしん坊にとって最大の穴場ですとそそのかされ、世界でも珍しい猫祭りもあると言われるとじっとしていられなくなった。
上記の文章は文芸作家、エッセイストである向田邦子さんのエッセイ『夜中の薔薇』からの引用です。
私は特別「違いのわかる」人であるという自覚はありません。
しかし、私は「ベルギーはいいですよ」と口にする人たちの気持ちは大いに理解できるつもりです。
「ベルギーはいいですよ」
今回からの数本の投稿は、ベルギーについての良さをできるだけ沢山記すことができたらいいな、と思っています。
せっかくなので、旅行記のベルギー編では向田邦子さんの「ベルギーぼんやり旅行」からいくつか文言をお借りして執筆します。
とてもいいエッセイなので、ご興味のある方はぜひお手に取ってみてください。
ブリュッセル国際空港~アントワープまで
約17、18時間のフライトを経て、午前10時過ぎにブリュッセル国際空港に到着しました。
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私はインターネット依存症なので、10時間以上インターネットへの出入りを禁じられるとソワソワしてしまいます。
ブリュッセル国際空港に到着してすぐ、入国審査の待機列でUbigi(eSIMのサービス)に接続しようと、必死こいて、猿のようにスマホを触っていました。
猿なので、勘で接続させました。eSIMの接続はいつも苦戦してしまいます。
でも安くて、使いやすくて、いいサービスだと思います。Ubigi。
インターネットにも無事接続できたところで、鉄道を使ってアントワープまで移動します。
猿なので、鉄道も勘です。
ブリュッセル国際空港からアントワープまでは鉄道で行けるのは知っていたので、券売機で「antwerpen」などと入力して、チケットを買いました。
勘で構いません。わかんなかったら駅員さんに聞けばよい。駅員さんはアジア人観光客の相手なんて、手慣れてるから。
ヨーロッパの駅員さんは、大抵優しいです。
アントワープ到着
鉄道の車窓から見える景色をスルー(うつ病だったので景色を覚えていない)して、約40分ほど鉄道に乗り、アントワープ中央駅に到着しました。
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写真を見てください。すごい駅舎だと思いませんか。
私は旅でよく「彫刻の塊のような建物」という表現を用いるのですが、これもそのうちのひとつです。
チョコレートの箱の絵みたいに、気恥ずかしくなるほど美しいのだが、この町の人は、己の町の美しさに気がついているのかいないのか、実におっとりしている。
この駅舎は観光客の方が多く利用しているのですが、如何にも地元の人、といった風情の方も多くいらっしゃいます。
大きな鞄を持たず、身ひとつで売店を利用していたり、のんびりとベンチに座っていたりします。
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こんなに壮麗な駅舎に身ひとつでいられるなんて、不思議です。
それなりに重さのある荷物を持っていないと、この駅舎の重厚感と釣り合いが取れない。
アントワープ中央駅はそんな風にも思ってしまうような、迫力のある駅です。
世界一美しいカフェ
アントワープは2023年の2月にも一度訪れていたのですが、駅構内にある「世界一美しいカフェ」と銘打たれたカフェには2023年当時、行けませんでした。場所が微妙にわかりづらくて。
なので、今回はちょっと時間を作って「世界一美しいカフェ」へ行ってみました。
駅構内の階段を2つ、3つほど上ったあたりにありました。大きなスーツケース持参では、ほんの少しだけ行きづらい場所にありました。
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王族の待合室として使われていた部屋を改装したカフェなのだそうです。
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スナックが美味しかった
ビールがあったので、ビールを飲みます。この時点で午前11時過ぎくらいですが、私は午前からアルコールを飲むのにあまり抵抗がないタイプの人間です。
ビールに付いてきたチーズ味のスナックが美味しかったので「どこで売ってる?」と店員さんに聞いたら、「業務用でデカすぎる袋に入ってるから、おすすめしないよ」と言われました。
デカすぎるチーズスナック、欲しかったな。
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駅前から旧市街エリア(bnb)へ
「世界一美しいカフェ」を堪能した後は、トラムのような乗り物で旧市街エリアのbnbまで移動します。
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トラムの行先を間違えて、アントワープのはずれにあるユダヤ人街に行ってしまうなどの小さなトラブルもありました。
Google mapに助けられました。だいたいGoogle mapがなんとかしてくれる。
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無事にbnbに到着しました。
写真の撮影時間を見ていると、チェックイン後、部屋で2時間ほど休憩していたようです。まあまあ疲れていました。
休んだ後、15時頃外へ出て散策を始めました。
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私が滞在していたのは、『フランダースの犬』でお馴染み、ルーベンスの絵が展示されている大聖堂近くのエリアでした。
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このエリアはアントワープ中央駅からはトラムで15分くらい、歩けば30分くらいかかる場所なのですが、正直、私はアントワープに滞在するなら駅前よりもこのエリアに泊まる方が俄然よい、と思っています。
安価で、且つ評価の高いAirbnbも、このエリアの周辺にはたくさんあります。
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聖堂や城跡、かわいい土産物屋、チョコレートショップ、美味しい飲食店、洒落たブランドショップ、モード博物館、スーパーマーケット、運河。
宿を出てものの数分も歩けば、見どころのあるスポットにサッと行けてしまうのです。
特に、私は心身が疲れていた時期にアントワープへ行ったので、見てみたいもの、行きたい場所に徒歩で簡単に行けるというのは、とてもありがたかったです。
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この日の夕方から夜にかけては旧市街エリアのスーパーに立ち寄り、ハムや野菜、ワインなんかを買い込み、bnbについているキッチンで簡単に自炊をして夕飯を済ませました。
疲れていたので、食事を摂った後は睡眠薬を飲み、早めにベッドに入りました。
日本の自宅にいたときと同じように、ベッドに寝転がって天井や壁を見つめていると、大聖堂の鐘の音が聞こえてきました。
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窓の外はまだ少し明るかったです。ヨーロッパの夏(初夏)は日が長く、21時を過ぎても空が明るいのです。
日本人の感覚では、昼でも夕方でも夜でもない、不思議な時間の狭間にいるように感じられました。
かーん、かーん、と街中に響く鐘の音を耳にしながら、仄暗い部屋の中でまどろんで「ああ、外国にやってきたのだなあ」と実感しました。
こうして、ヨーロッパ旅行初日、アントワープの夜は更けていきました。
次回
次回はアントワープ2日目、アントワープ中央駅前の栄えているエリアまで散歩してみた日のことを書こうと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。