適応障害と僕の2209日 -ん?これだけ?-
自己紹介
こんにちは、「きゃん」といいます!
僕は小学6年生の2月から高校3年生まで
適応障害、強迫性障害でした。
そんな僕も、今では小学校の先生として人並み、
いや、それ以上の幸せな日々を送っています。
教員として働く中で、精神的に体調を崩している子どもや、その子どもへの接し方に悩む保護者と何度も関わってきました。
そこで、自分の経験を伝えることが、
誰かの心を少し軽くするのではないかと思い、
こうして発信することにしました。
僕の言葉のどれかが、
今、苦しんでいるあなたを
少しでも救うことができれば、嬉しく思います。
ん?これだけ?
「伊藤さん、お入りください」と受付のお姉さんが、僕とお母さんに呼びかけました。
待合室のすぐ奥に部屋があり、そこに2人で入りました。
「はじめまして、○○と言います」
先生が自己紹介をしました。
僕たちも続けて自己紹介をしました。
さて、皆さん、心療内科や精神科の診察、どのようなものだと思いますか?
僕の初めての印象は「ん?これだけ?」です。
例えば発熱して受診すると、病院の先生には、どんな症状があるのか、いつから症状があるのかなどと質問されると思います。
心療内科や精神科でも、それと何も変わりません。
その質問の対象が「心」なだけです。
ただ、他とは違う安心感のある聞き方でした。
これは今、思うと「ロジャーズの三原則」によるものだと思います。
ロジャーズという有名な心理学者が提唱した
カウンセリングのきほんの「き」のようなイメージです。
内容は「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」。要するに、「否定しないし、しっかり聞くよ」ってことです。
この三原則が守られた状態でカウンセリングが行われたため、初めての通院でしたが、特に緊張することなく、自分の感じていることを素直に話すことができました。
それだけでも、大きな意味があったと思います。
どちらかというと、お母さんのほうが不安な様子でした。
聞かれたことは、内科とほとんど変わりません。
「いつから、いつもと違うと思いましたか?」
「具体的にどんなことがありましたか?」などと質問されました。
ただ、最後に「学校には今は行かないでくださいね」と付け足されました。いわゆるドクターストップというやつですね。
卒業式直前の2月末僕は学校に行くことができなくなってしまいました。
たくさんのことが頭をよぎりました。
「はなむけの言葉、言い出し僕なんだけどな、練習回数少なくなっちゃう」
「あれ、明日50問テストだよね」
「ていうか、給食当番じゃん」
「サッカーは行っていいよね?もうそろそろ最後の大会だし」
「この人の言うこと聞かなきゃいけないの?」
「卒業式は出れるよね?」
「やばい、ホール・ニュー・ワールド自主練習しなきゃ」
聞きたいこと、たくさんあったはずなのに、
「ありがとうございました」とだけ伝え、診察室を出ました。
帰りの車内、ほとんど覚えていませんが、ハイになり、たくさんの質問をお母さんに投げかけた覚えはあります。
今思うと、お母さんも混乱してたよね。
なにがなんだかわからなかったよね。
答えられない質問を浴びせ続けました。
お母さんは、ただ黙って遠くを見つめていました。
苦しみは、いつかあなたを豊かにしてくれます
だから今は無理にがんばらないで