ドリーム・トラベラー 番外編1「近距離の体外離脱」
体外離脱(幽体離脱)を最も経験したのは三十代半ばから四十代半ばまでの十年間だった。十一年連れ添った愛犬を三十代半ばで亡くし、悲嘆に暮れて過ごした十年間、わたしは頻繁に肉体を離れた。愛犬が現実世界との軛となっていたのか、愛犬と再会したい思いから深層心理が霊界へ向かおうとしたのかは解らない。
離脱は必ず、眠りに落ちる寸前に起きる。全ての音をかき消すほど大きな耳鳴りに続いて、乱気流に突入した飛行機の如く激しく恐ろしい振動。何か大きな物体の落下音と、こもった爆発音が同時に二発。死