指導者、リーダーについて考える。
かなり昔になりますが、松下政経塾で、元ウシオ電機会長の牛尾治朗氏が講演で「これからの指導者」
について、以下のようなことを話されてました。
「これからのリーダーは、率先垂範型だと思います。
先年のエジプトとイスラエルの戦争んときでも、エジプトの方がイスラエルより
はるかに兵力が多いのに、ことごとくイスラエルが勝つわけです。
しかし、戦場の後を調べると、イスラエルの戦死者のほとんどが、
将校だということです。
エジプトの方は、はるかに将校は少ない。
イスラエルの軍隊は、すべてフォローミー・率先垂範です。
第一次世界大戦でが終わった後、ドイツは軍縮で陸軍の兵員数が制限されたとき、
そのときの軍司令官は、その全員を士官にしたそうです。はっきりした数字は覚えてませんが、
たとえば、本来50万人の軍隊がほしいのに、敗戦の後2万人しか軍人を認められなかったので、
彼らは、2万人の士官を作ったというのです。
そうすれば、戦争が始まっても、いつでも100万の軍隊になる。こういう発想です。
1名の強い将校に率いられた10名の弱卒と、1名の弱卒に率いられた10名の強兵とが争う時に、
どちらが勝つかというと、強い将校の方が勝つそうです。
だから、ドイツ軍はまず将校を作った。
アメリカでも、陸軍の幹部は10人のうち7人までが航空隊から出るそうです。
それも落下傘部隊というのは、一番初めに飛び降りるのが隊長です。
「フォロー・ミー」というタイプのリーダーシップ、言い換えれば「率先垂範型」が、
アメリカでもイスラエルでも非常に重要な要素になってきているということは、
最近の一つの特徴ではないでしょうか。」
30年以上前の講演ですが、命を懸けた軍隊としての、鉄則なんだろうと思います。
まず、強い将校、士官を作る。
そして、そのリーダーシップのもと、部隊が団結して戦う。
これこそが、各現場の最も力の出る戦いなんだろうと思います。
すべて、指導者・リーダーのリーダーシップ、「フォローミー」なんでしょうね。
そして、『君主論』を書いた、マキャベリはこんなことを言っています。
「君主は民衆の支持を得ていると錯覚してはならない。
彼らが『わが君のためには死をも辞さぬ』というのは、
死を必要としないときだけである。」
ああ、「自分はやらないで、人にやらせるリーダー」。
命はとられるはずもない、平時に、堅固な城に隠れて
「命がけで戦う」とのたまう、「リーダー?」と呼ばれる、
人物をいかに多く見てきたことか。
「フォロー・ミー」の将校、士官なくして、いかに勝てようか。
終焉が近いな。