宇宙からの強制終了を体験した❬招かれざるもの❭
私と娘とワンコのこゆきは、大天使ミカエルのような若者にトラックで送ってもらい、実家に到着した。
トラックから実家の敷地に降り立った瞬間、こっちが私にとって本物の地獄の世界だったと確信していた。
私はここへは来てはいけない存在、許されない犯罪者、病原菌なのだと自分の立場を理解した。
でも、どうしようもない、助かるには土下座でも何でもして、ここに置いてもらうしかないのだ、私は拳に力を入れて、頑張ろう!と決意した。
家の門扉を開けて入ると、母が飛び出して来た、案の定興奮している、そしてその顔を見た瞬間、ゾクッとした、完全に悪魔に取り憑かれた顔だったのだ。
「情けない!お前は何をやってんねん!どうしようもないアホやで!どこまで迷惑かけたら気が済むねん!これからどうするつもり!?うちで面倒見てもらおうと思わんといて!絶対無理やからな!」と母は怒鳴る。
もうすでにここに来たことを後悔し始めた、こんな狂った母の姿は見たくなかった、さっきの電話では、まあまあ優しい母だったのに、どうしてこんなにも鬼の形相に変化するのか?理解出来ない。
ワンコのこゆきを抱っこしたまま、気弱そうに佇む娘に向かっても、母は攻撃する。
「○○ちゃんも働かんとそんな甘いことしてるから、こんな情けない事態になったんやで!あんたら親子はおかしいんやで!いい加減に目を覚ましや!ほんまにこっちは迷惑やねん」
すると父が、軽トラの荷物を運び始めた、そして母に「この荷物どこに運んだらええんや」と聞いた、母は渋々 仏間の雨戸を開けて、「こっちに運んで」と言った。
私も気を使い、黙々と荷物を運ぶ、母は私を凝視して睨んでいる、憎悪の塊と化した母が恐ろしかった、そんな怯えた私を母は容赦せず、ずっと罵声を浴びせ続けた。
「もっとしっかりやってくれると信じてたのに、こんな恥さらしなことして!今日中に泊まるとこ探して出て行きや!うちには泊められへんからな!絶対無理やからな!」
私はついに我慢出来ず、母に逆襲した。
「黙れ!うるさい!こっちもここには世話になりたくなかったんや!でも仕方ない!ちょっとは助けてくれてもええやん!なんでそこまで言われなあかんねん!」
悔しくて涙が出てきた、母はまだまだ言いたそうだ、そこへ父が「それでこれからどうするんや」と私に聞いた、私は「今から住むところを紹介してもらいに市役所に行く」と言った。
これは強制退去の時の荷物を運び出す業者の担当者に、どうすればいいのか相談した時、市役所に行って、住むところを紹介してもらったらいいとアドバイスしてもらったので、私は市役所に行こうと決めていたのだ。
それを聞いた母は、急に安心したのか少し優しくなり「その間は○○ちゃんと犬はここで待ってたらええ」と言った、父は「こんな外で待ってたら寒いやろ、中に入れてやれ」と言ってくれた。
父が市役所まで送ってくれることになった、私は娘とこゆきのために、絶対泊まるところを見つける!と心に誓い、父の軽トラに乗り込んだ。
この市役所に行ったエピソードは次回に書くことにする、今回は実家での数々の葛藤を記そうと思う。
市役所に行き、また父は迎えに来てくれた、そして実家に帰って来た私は、ただただ娘とこゆきが気がかりだったので、実家のリビングにまっしぐらに行った、娘はしっかりこゆきを抱っこして、待ってくれていた、トイレも我慢して、ずっとその場でこゆきを抱き締めて耐えていたのだ、私はこゆきを受け取り、娘にトイレに行くように言った。
その時には、私は今後のメドは立てつつあったので、母に対しても強気でいられた、母もあまり嫌味は言わず、少し和らいだ表情だった。
すると苺の出荷作業をしに行った父が戻って来た、父は憤慨していた、物凄い形相だった、今度は母から父に悪魔が取り憑いたみたいだ。
実家は2世帯住宅で、2階に弟一家が住んでいる、苺を主体とした専業農家で弟は後を継ぎ、世帯主として頑張っていた、両親は年金をもらい、無償で農作業を手伝っていたのだ、つまりこの家の権限は弟に移っていた、だから私は弟のお嫁さんにとって、招かれざるものなのだ。
更に約9年前、私は元夫と中華料理店をすることになり、この時お嫁さんに完全に嫌われる事態になった、だから絶縁していたのだ、そんな実家にのこのこ帰って来るなんて、お嫁さんからしたら、許せないことだろうと予測出来る。
だから父は、作業中に弟に嫌味を言われて、いつもは無表情の父がよっぽど頭に来たらしい。
父の話では、弟が「姉ちゃんがあんなおかしいのは、父ちゃんがボンヤリしているからや!」と言ったらしい。
私は父が憤慨しているのが違和感でしかなかった、結局自分のプライドを傷つけられて怒っている、誰も私を思ってくれる人はこの実家には居ない!と腹が立ってきた。
そこへ農作業を終えた弟が登場、姉の私に一言説教をしてやろうと意気込んでいる、私のことで、父も母も弟も口論を始めた、それを咎めるようにこゆきが吠えまくるか!と思ったら弟が登場してから、ワンとも吠えないのだ、それまで、父と母には狂ったように吠えまくっていたのに。
この現象は後でわかることになった、実は実家で飼われていたワンコが昨年亡くなり、その世話を全部したのは動物好きの弟で、だから弟にはそのワンコの魂がくっつき、守っていたと思われる、それを察知したこゆきは弟にだけは吠えなかったのだ。
そんな弟は、元々優しい性格なので、私に攻撃してくることはない、彼が変わったのは、お嫁さんとの結婚以来なのだ、きっとお嫁さんを大事に思うあまりに、嫁姑問題の板挟みに自らなり、クッション役をしようと空回りしていたのだと思う。
彼はお嫁さんの代理で私に抗議しに来たのだ、散々もっともな正論を私に延々と述べる弟、私は自分を律して、冷静に受け止めた、でもひとつだけ我慢出来ず、激して言い返した。
弟は「皆一生懸命働いているんやで、姉ちゃんだけそんな働かんと、それがおかしいことに気づきや!」と言った途端、私は反応した。
「何!?私働いてないの!?あんたが思う働くってどういうこと!?私だって働いてる!おかしいなんて言われたくない!」
弟は「じゃあ、もう絶対こっちを頼ることは無いんやな!?もう助けるのは無理やで!父ちゃんも母ちゃんも身体を壊してボロボロやで、それは姉ちゃんが原因なんや!心配かけるようなことすんなよ!それを約束してくれ」と言う。
わかっている!もう心配かけたくない!自立したい!でも私が望む生き方は、どうしてもうまくいかなくて、結局両親に迷惑をかけてしまう、やっぱり私は自分を押し殺して常識で生きるしかないのか?それが皆を幸せにすることなのか?苦しい!苦しい!誰か助けて!
心が張り裂けそうだった。
弟はお嫁さんと出かける用事があり、自分の意見を私に伝えたので、去って行った、それから父と母はスッキリせず、弟の悪口を言っている、それも私には違和感があった、この実家の人達は時が止まった暮らしをしているんだと実感していた。
私がここに来たことには何かお役目があるのかもしれない、そんな気持ちになって来ていた。
まだまだ続きます。
激動の13日の出来事は次回で終わり、更に大きな学びがあった6日間へと続いていきます。
読んでいただけたら嬉しいです。
幸せをありがとう♡
ここまで読んでくださって感謝します。
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