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学びが凝縮されていた中華料理店での体験 その3

私たち家族は実家の近くに引っ越して、中華料理店オープンに向けて準備に追われていた。

私はひとつのことに気を取られると、他は全く見えなくなる、心は中華料理店での接客業のプレッシャーで押し潰されそうで余裕はなかった、だから長男と娘を気遣うことはできなかった。

その当時、長男は中学三年生で受験を控えていた、娘は小学五年生でクラス替えで仲良しの友達と離れ、担任の先生は体育専門で給食を残してはいけない!と厳しい、体育も給食も大嫌いな娘は学校生活に疲れていた、そんな時の引っ越しだったので、さらに子どもたちに負担をかけることになってしまったのだった。

そしてもっと大変だったのは元夫の行動だった。

あの男は自分が首謀者なのに無責任極まりなく、周りを振り回す性質、その為実家の弟夫婦に不信感を持たれることになっていく。

越して来て早々 奴はやらかした、引っ越しの荷物を片付けている私に、清掃業者のおじさんに父の軽トラを貸してあげたいので、実家まで案内してやってくれと言ってきたのである。

ハア!?なんで!?どうして元夫が父の軽トラを勝手に使う権限を持ってるの?そんなのおかしい!だから私は反発した。

でも元夫は当然の如く、私の父が元夫に軽トラを必要な時はどんどん使ってくれていいと許可してもらったと言うのだ。

私は家の片付けを一刻も早く終えたかった、なので口論している場合ではない、さっさと案内して片付け作業に戻ろうと、渋々案内役を引き受けた。

清掃員のおじさんに挨拶して、実家の作業場に停めてある軽トラまで案内する、車のキーはつけっぱなしなので、おじさんはお礼を言って軽トラに乗って行った。

私は家に戻り、また片付け始めた、元夫は中華料理店とは別件の仕事で人と会う為遠方に出掛けてしまっていなかった。

しばらくして、弟がやって来た、めちゃめちゃ怖い顔!一体どうしたのだろう?弟は私に向かって怒鳴った。

「えいちゃん(元夫はそう呼ばれていた)はどういうつもりや!!勝手に見知らぬオッサンがうちの軽トラに乗って行ったのを目撃したから、確かめに来たんや!」

「それはあの人に頼まれて私が案内したから、父さんがいくらでも乗ってくれていいって言ってたらしいから、清掃業者の人に使ってもらってもいいと思ったみたい」と私は答えた。

「姉ちゃんはアホか?そんなのおかしいやろ?勝手に乗っていいはずないやん!ちゃんと断ってからやろ?常識やんか!ましてや全く知らん人になんで貸さないかんのや!あの軽トラには現金も入ってるんや!勝手に使わんといて!そうえいちゃんに伝えてくれ!」

弟はカンカンに怒りながら帰って行った。

私がバカだから、またまた弟を怒らせてしまったのか?直接クレームを受けるべき本人は出掛けて不在で、結局私が謝ることになって、物凄く不本意で悔しかった。

別の日、もうひとつ元夫はやらかした、店舗の片付け作業で出たゴミを、実家の敷地に積み上げて放置してしまったのだ!

これも元夫が父から草木のゴミはこっちで燃やしてあげるから置いてくれていいと言われて、調子に乗り清掃業者の荒くれ作業員達に、ゴミは全部実家の敷地に運んでくれ!俺はお義父さんから許可もらってるから!と軽く伝えてしまった為に起きた悲劇だった。

これにはさすがの父も頭に来て怒りを表していた「草木だけやったらええけど、こんなコンクリートとか金属のゴミまで捨てられて、たまらんわ!エエ加減にせえ!!」と父は怒鳴った。

父が本気で怒ると、物凄い迫力なので、元夫はペコペコと低姿勢で、作業員の人達にそのゴミを撤去してもらっていた。

たて続けにこんなことをやらかした元夫は、実家の弟夫婦だけではなく、両親にまで呆れられ、嫌われることになっていったのである。

こうして振り返っても、元夫は凄いキャラクターだと苦笑いしてしまう。

こんなことがありながらも着々と中華料理店はオープンに向けて準備されている、次回にこのお店の店員の人達について詳しく書いてみたいと思う。

特に会長さんの奥さん(実際は籍は入ってなくて会長さんには本妻さんがいた)が元夫に負けないくらいの強烈なキャラクターで、中華料理店のマネージャーとして携わることに決まっていた、それは会長さんが嘘をついたことにより、元夫が天敵として浮上してしまい、その元夫の悪事を暴こうと自ら志願して、マネージャーになったのである。

元夫とマネージャーとの戦いが本格的に始まろうとしていた。

続きます。


幸せをありがとう♡


ここまで読んでくださって感謝します。

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