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1才が日記 ㉗

母が聞くのさ。
「このオモチャ、壊したのは僕ちゃんでしょ?」
そりゃ僕しかいない。
僕しか遊んでいないし、そもそも このオモチャは僕のものさ。
でも、なんだか
「うん」って言いたくない。

母を無視して、オヤツを食べ始めちゃった。
「うん」とも「いいえ」とも首を振っていないけど・・・
なんだか
「うん」とは言いたくなくて。

これは「ウソをついた」ってことなのか?

そうだとしたら・・・
僕は『無性にウソがつきたい』
ウソをついて、母を困らせたい。
なぜなんだろう?

「お茶 飲む?」って聞かれて
「うん」って 頷いた。
コップを渡されたけど・・・
ひっくり返しちゃった。

本当は飲みたくなかったのさ。でも
「うん」って頷いた。
『無性にウソがつきたかった』

バナナを食べるように、ウンチをするように、
無性にウソがつきたかったのさ。
なぜなのか?
母の困る顔が見たかったから?
それとはちょっと違う。
よく分からないけど、ウソをつける自分がうれしいような。
大人になったような。

きっと、ウソをつくのは良くないことなんだろうね。
「嘘つきは泥棒のはじまり」って聞いたことあるよ。
だから、ウソをついた僕は「泥棒」になっちゃう?

まあ、そこらへんは、あとから考えることにして。
とにかく「うそをつく」のはいけないけど
「うそをつける」のは、嬉しい。
なんだろう、この気持ち。

悪い事しているよな・・・って、思うのは
うそじゃない
        つづく

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