1才が日記　⑯

ちょっと驚いた、いや、かなり驚いたんだけど。
そりゃ、人それぞれ好みがあるから、別にいいんだけどさ。

母が押してくれるベビーカーの中から、ある店の中が見えたんだよ。
そこでは・・・
女性が膝の上に乗せているモノを、丁寧に、丁寧に撫でている。

僕は思った。
「ここは、ママさんが赤ちゃんを連れて集まっている店なんだ」って。
でもね・・・
そのモノにはシッポがあって・・・色白で・・・

母が指を指して教えてくれた。
「ほら、僕ちゃん、あれが『ブタさん』よ」って。
え？え！
絵本に出ていた「ブタさん」？

母と同じくらいの年齢の女性は、赤ちゃんではなくて、
子ブタさんを撫でていたんだ。
あれ？赤ちゃんを撫でなくていいの？
いや、赤ちゃんブタだからいいのか？
あ、そもそも人間の赤ちゃんが集まる店ではなくて、
赤ちゃんブタが集まる店なんだね？
えっと・・・赤ちゃんブタを撫でて、どうするの？
そこで何をするんだろう？
赤ちゃんブタを撫でていると、何かおこるの？

いやいや、僕が撫でてもらって何かが起こるかというと・・・何も起こらないけど僕はとっても嬉しくて。嬉しいから母に笑いかけて。
で、「撫でてもらいたいな」って事をして。
いい子にしていると撫でてもらえるなら、どんどん「いい子」しようかな、なんて考えて・・・・・

ブタさんも同じ？
聞けないから分からないけどさ・・・・きっと、そうなんだろう。
と、思いたいけど。

とにかく僕は　驚いた

　　　　　　　　　　　　　つづく