還暦になって分かった その3
「なぜか たのしい」
子どもの頃、京都の「都おどり」に連れていかれた。何が楽しいのか?さっぱり分からなかった。
学生時代「能」を見た。どこが面白いのか?理解できなかった。
自称ギャルの時「歌舞伎」を見に行った。何に惹かれるのか?まったく分からなかった。
還暦の今、すべてが面白い。なんだか楽しい。良く分からなくてもワクワクする。沸きあがってくるように引き込まれる。
なるほど。これが還暦。
「特別な人間ではない」
他人の活躍を耳にすると「私もまだ できるか?」と思っていた。社会のまっただ中から消えると「疎外感」すら感じていた。抗おうと思って両手両足をばたつかせてみては「無力」の壁にぶつかっていた。
でも、許されるカーブは「還暦」
「生まれた干支の赤ちゃんに戻る」という意味合いで贈られるらしい「赤いちゃんちゃんこ」に納得する。
自分が「特別な人間」ではない事、を自覚する。
やっぱり、赤ちゃんは自分のためのみ、生きていく。
「がんばって 調べない」
背中が痛い・・・膵臓癌か?
頭痛がする・・脳梗塞か?
心拍数が多い・・・心筋梗塞か?
足の指先が痛い・・・痛風か?
素人が、知っている限りの病名を浮かび連ねる。加えて、賢いスマホが教えてくれる。
「命に関わるかもしれません」
「重篤な病気かもしれませんよ」
「とりあえず医師に相談してください」
怖い、怖い、怖い。
嫌だ、やめて、どうにかしてくれ。
だから、がんばって調べない。