赤ちゃんが日記　25

「不安」って気持ち、初めて味わった。なんとも言えないモワモワした気分。自分ではどうしようもない、空っぽの穴を覗いた感じ。これが「不安」なんだね。

家に「赤ちゃん」が遊びにきたんだよ。僕じゃない「赤ちゃん」。あの物体は何？大きさは僕より少し大きいけど、僕のオモチャを取って。取り戻したら怒って。近くまですり寄ったら泣き出して。なに？あの「赤ちゃん」

もっと怖かったのは、母がその「赤ちゃん」を抱っこしたんだ。僕じゃなくて、違う「赤ちゃん」を抱っこしたんだよ。信じられない。そして、その「赤ちゃん」を褒めてる。「ボールを投げられるんだ～」「両手両足でハイハイ　出来るんだ～」って。
なんなんだ？僕じゃない「赤ちゃん」を褒めるなんて、許せない。

思い切り泣いてやったよ。全力で、大きな声で。
「お腹空いたのかな？眠いのかな？」
なんだかんだ母は言ったけど。違う！とにかく、その「赤ちゃん」を抱くのはやめてくれ。

少ししたら、その「赤ちゃん」はいなくなったけど・・・・
あードキドキした。父の「高い高い」よりもドキドキしたよ。これが、不安ってやつなんだね。やだやだ。これからの人生、これが増えていくんだね。そして、慣れていくんだろうけど・・・まだ、嫌だ。やめてくれ。

母よ、僕以外の「赤ちゃん」を、抱っこしないで！
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく