いきなり大勢のお客様 新人、ピンチ!       とおくのまち15

   ホテルを引き払って最寄りの駅まで行った。
ママへ電話をして、お家の場所を教えてもらいタクシーで急行する。

 今までのことや、これからの話しをしていると、話しこんでいるうちに夕方になったので、私は先に店へと向かった。

 しかも、今日は、団体客も来るという。とても、緊張していました。
とりあえず、着替える。ほかの先輩たちは、みんな、普段から女なので、店では、化粧直しするくらいか、衣装を変えるくらいだけど、私は髭剃りからやらないといけないし大変でした。 
早く着いていたので、ガラスの掃除をママからいわれていて一生懸命にやった。
雑用ではあったが、とてもやりがいを感じた。
掃除とはいえ、女の格好で仕事をしていることには変わりなく、男のスタッフの人から、自分たちがするからいいよといわれたけど、喜んで続けた。

 ところが、団体客が、あまりにも早く、やって来てしまったのです。
ママは、まだ、来ない。
接客も、お姉さんニューハーフひとりと私だけ、ほかには女の格好のものはいない。裏方の男性スタッフがいるだけ。

 私も、必死で接客した。とにかく、なんとかしなくっては。
しかし、客の数が多かったことが、不慣れで口下手な私には幸いした。
30人くらいいたと思われる。観光客で、年配のおばさんが多かった。
飲み物を注いだりするのに手がいっぱいになり、ほとんど、話しをせずともすんだのだ。
それにしても、あれだけの数を相手に立ち回れるお姉さんは、さすがだなぁと思い、心強かった。

 しばらくすると、先輩たちが、次々に出勤してきて、やっときた援軍にほっとさせられた。
そして、ママが来たことで、真打ち登場となり、ショーがはじまる。
私は安心しきっていて、客たちといっしょになって、すごいですねぇっと感動しながらショーに見入ってました。
 

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