頬粘膜がん 102日目 痛みをめぐる冒険
頬粘膜癌、102日目。
血圧 127-79 mmHg
血糖 106 mg/dL (朝食前)
酸素 98 %
脈拍 67 拍/分
体温 36.8 ℃
体重 81.1 kg
抗がん剤、4クール目。折り返しである。
抗がん剤自体はいつもと同じく特にかわったこともなく通常運転。血糖値だって通常運転で、朝昼は150を切っていたが、夕方は222。腎機能を保護する為に点滴するデキサートの副作用ではあるのだが薬というは恐ろしく、そして心強いものである。
ここ3クールでのデータによれば、今日の夕食時のインシュリン注射により明日の朝の血糖値は150前後で推移すると思われる。まずは明日の血糖値に注目だ。
放射線は15回目。
問題なく治療終了。水曜の放射線は照射の後の放射線治療医の診察が入る。中耳にかかる放射線照射と耳鳴りの関係について報告と質問。感音性の耳鳴りがあること、初期のめまい様の症状、左側中心であった事など、放射線が中耳に当たっているのかなと思われるんだがということでお伺い。
放射線医の先生からも、一応耳にはあまりかからないようにギリギリを狙ってはいるが若干は照射域に入る。放射線での影響も考えられるとのことでまぁ疑問は解決はした。
常時なっている両側の耳鳴りについては、放射線だけではなくシスプラチンの影響も考えるべきかもとのことでそれも納得ではある。
痛みについて言えば、抗がん剤というよりは放射線での副作用で舌や口腔内の粘膜が焼けて炎症を起こしている。これが痛い。
最初は、舌の一部がヒリヒリする程度だった。歯と歯茎の境目あたりがヒリヒリするようになってきて、その部分に歯ブラシを当てるとイテテってなるようになり。舌のヒリヒリがピリピリといういかチクチクしだして、炎症が一気に口の中のあちこちで同時多発テロ的に発生して、今現在はじっとしていても歯に触れている舌が痛いし、頬の粘膜はちょっと力が入ったら歯茎に繋がっている部分あたりが痛い。そもそも、唇も全体的にしびれている。
ここに食べものとかが入ると、口の中はかなりな事になっている。
10粒くらいご飯粒を口の中に入れたとして、それが舌にあたったり歯茎にあたったりした部分がのきなみ痛い。噛んでもまれて移動する食べ物のかすが口の中を痛みをともなって移動するので、まぁ何がなんだかわかんないぐらいな感じだ。
数日前くらいからはデザートの果物がヤバくなってきて、昨日はパイナップルの切り身は申し訳ないけど残した。食欲的には食べられるんだが、痛みを想像するとちょっとびびって口に入れられなかった。
さて、じゃぁこのじっとしているときに舌が口内で他の部分、例えば歯や歯茎などに触れたときに感じる痛みはどれぐらいの痛みなのか?
痛みってどういうふうに相手に伝えたらいいんだろうという話である。
入院中には、看護師さんから良く
「今の痛みは10段階でどれくらいですか?」
なんて聞かれる。
患者さんの状態を把握するという意味で、痛みの評価は重要だ。痛みの緩和はがんの治療では特に重要なものだと言える。痛みを評価するのは治療や看護をすすめる上での指針となるからなんだろう。
僕が今入院している病棟では、NRS(Numerical Rating Scale)が使われているっぽいし、多分これがスタンダードなんだろう。
これって、確かに特定の患者が自分の痛みの度合いを報告して数値化しているわけだけれど、医療側としては何が知りたいのかな?とちょっと思う。
僕のような頬粘膜がんだったとして、鎮痛剤の選定か、口腔内の粘膜保護か、食事内容の検討か。他に痛みの評価で影響するのはなんだろう。看護師さんに酷い痛みがあると認識してもらえる事で通常よりちょっとだけ優しくして貰えたりして・・・・・・w 変な言い方をすればそうだが、痛みが強い患者さんに対しての対応の心構えはできるかもしれない。
・Aさんの主観による判断である。
・Aさんは昨日よりも痛みが強まったとか弱まったはわかる。
・Aさんの中での限界に対してのAさんが感じている余裕というかマージンがわかる。
・Aさんの限界がどこらへんなのか、医師や看護師は分からない。
・医療的にみた限界に対して、現状の痛みの状態判定はできない。
こういうのを数字の3だとか、7ですみたいに表記すると鎮痛剤の変更の基準になったりするんだろう。まじかっw
Aさんが「7で、もうぎりっす」と言ったとして、我慢強いBさんは「4ですからまだ行けます」という。Aさんはオキノームが処方され、Bさんはトラマールで頑張るわけだ。Aさんは軟飯になって、Bさんは普通のご飯。Aさんは口のうがいにキシロカインが処方され、Bさんはアズノールうがい薬のまま。
同じ状態で、主観の伝え方の違いで処方も変われば、対応も違ってくる。
確かに主観的な”痛み”に対しての治療という意味で言えば、訴えに対応した治療が行われていると言えるんだろうが、なんだか腑に落ちない部分はある。
この痛みの伝え方、患者および医療者が情報を共有し治療を考えていく上で、もう少し客観的な指標になり得ないモノだろうかと考えるわけだ。
主観的な痛みの情報を、もう少し客観化したデータに変換してどの患者が訴えた時にも共通したスケールの中で治療計画を立てられたらいいのに、なんて事を思うわけだ。ここにある患者の評価があり、主観では低めに見積もられているが、客観的な指標によればこれぐらいでも鎮痛剤の変更を検討して良いのでは無いかという判断が生まれたりしないかということだ。(看護師さんと話してもあまり理解はして貰えない感じではあったが)
看護師さんからしてみれば、痛みについての患者さんの10段階評価を聞き取りしなさいというオーダーになっているのであって、人によってはルーチン、言われたからやってる業務になっている感もある。
”痛みどうですか?”に対して、こういうことを喋っちゃうので、もしかしたら僕はちょぴり面倒な患者なのかもしれない。
ついでに患者側として言えば、10段階で評価してくださいって言われても良くわからないわけである。うまく数値化できないのだ。イメージが難しいのである。
今僕が感じている痛みは、僕の人生の中での最高の痛みからみて何割だ?
人生の中で一番痛かった時っていうMAXが既に人によって違う。辛い偏頭痛がマックスの人。妊娠・出産の痛みがマックスの人。交通事故で跳ね飛ばされた時がマックスの人。アキレス腱断裂した時がマックスの人。きっとそれぞれ、違うよねと思ってしまう。
「あなたの人生の中での痛み10段階で、5段階の痛みはどんな時の痛みでしたか?」
に答えてみようと思っても、うまく行かないわけである。
何かの基準を提示して貰えれば、そこから今の痛みについて検討できるんじゃないかと僕なんかは考えてしまう。
例えば”奥歯の虫歯がうずいて夜も眠れない痛みを6と定義する、その上で今日のあなたの○○の痛みは10段階だったらいくつ?”なら答えられそうだ。これだったら、塑像しやすい。いろんな患者さんがそれぞれ答えても、結構相対的な数値化ができるんじゃないかな、なんて事を考えていた。(基準となる例示がどのようなものがいいのかは、誰もが想像をめぐらせやすい例示としてよくよく検討する必要があるかも知れないが)
いろいろ調べてて、”簡易版マクギル疼痛質問表2”を痛みを発する部位と関連付けて評価するってのは僕的にはとてもわかりやすくて好きだ。
【疼痛の理学療法】痛みの『質』を評価する~マクギル疼痛質問表~ | きんたろーブログ (kintaroo.site)
話は変わって、今日のチャレンジのテーマは「糖分控えめ、口さみしい時に」である。
古典的な名作を食す。
いやぁ、この赤いパッケージ。いいねぇ。
浪漫だねぇ。”ロマン”じゃない、浪漫だ。
実は、コーヒーはもちろん好んで飲むのだけれど、昆布茶を愛飲している。なんとなく体に良さそうだからw
というか、副作用で唾液の分泌が少なくなってきてご飯の粒が口の中でまとまりにくい。つまり、飲み込む時にまとまらずにばらけた米が頬と歯茎のあいだとかに挟まったままになったりとかするわけだ。それで、お茶漬けにしてさらさらと食べると、ばらけずに飲み込めるという寸法で、お茶漬けの素じゃなくて昆布茶をご飯にかけて湿らせたり、お茶漬けみたいにして食べたりしているわけだね。
昆布茶好きなんだもの、都こんぶだって当然好きに決まっている。なにが当然かは別として・・・・・・。
都こんぶ ・・・・・・すっぱ!!!!!! いってぇぇぇぇぇぇ!!!!
・・・・・・でも、最初の酸っぱいを乗り越えたら、・・・・・・やっぱ旨いw(変態かよ)
アホである。ちょっと考えたらわかりそうなものだが、口に入れるまで思い至らなかったw とても、とても残念だがこいつは”ボツ”である。
今日も、ご飯は完食だ。酸味抜きになってなくて、パイナップル登場。食いましたとも、もちろん。昭和生まれをなめんなよ、基本出された料理は残さないで腹にまとわりつく世代である。僕は腹回りの肉と、食べ残すという恥を天秤にかければ、腹回りに肉がつくほうを選んでしまう人種である。(食べ残しを”恥”と感じるメンタリティは、古くさいし論理的でもないとわかってはいるので、他人には強要しない、自分の中にある恥の感覚である)
取りあえず、全部食ってやった。
今日も良い1日だった。
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