会社を変えよう〜クローズ体質からオープン体質へ
株式会社田中務補(かねすけ)商店のたなかななです。
私たちは神戸市長田区で製造業を営む、1964年創業の小さな町工場です。2022年に現在の社長が2代目を引き継ぐまでは、私たちの社内の様子は完全クローズとされてきました。しかし、現社長は社長就任から3年目の今年、「広くオープンな会社にする」と真逆の方向へ舵切りをしました。
今日は、なぜ社長が会社の扉を外部へ向けて開放しようと決意したのか、また扉をオープンにしたことで早速実感したベネフィットについてお話ししたいと思います。私たちと同じく、現在の会社にとって必要なことや目指す目標に合わせた方向性に従って、これまでの慣習を見直したいと考えている企業や組織の皆様のヒントになれば嬉しいです。
古い慣習を見直すって難しいの!?
組織の体制を見直し方向転換することは簡単ではなく、とてもエネルギーが必要で、時間がかかるし、リスクも伴うと捉えがちです。
でもこれだけ最初に言わせてください。
今回の私たちが実施した方向転換は、そうと決めたらすぐに実行できて、尚且つとても心地よいことだったんです!!これぞまさに、小回りが効く中小企業の強みですね。
シフトチェンジ決意の背景
これまでの我が社は、工場前の立ち入り厳禁の看板が示すとおり、お客様に対しても取引先様に対しても、会社と工場の中の姿をご覧いただく機会を持ちませんでした。企業秘密という鍵をかけて、完全閉鎖に徹していたのです。
しかし、誰もが時代の変化を肌で感じる今、私たちも世の中の移り変わりや進化に合わせて柔軟に体制を合わせる必要を感じています。これまでX(バツ)だったことは果たして今日もX(バツ)なのか?これまで◯(マル)だったことは果たして今日も◯(マル)なのか?そんなふうに社長は今の会社を客観的に見直しました。
お客様や取引先様に対して、会社の姿を丸見えにするのはリスクなの?
お客様は、商品だけを提供して安心してくれるの?
私たちの商品は工場で職人が毎日作っているのであって、オートメーション化されたロボットが作っているわけではないって知ってもらえてる?
商品の品質をどうやって守っているかを知ってもらえば安心して使っていただけるんじゃない?
私たちにとって当たり前の機会や作業や工程は外からみても当たり前なの?
自分たちの強みってなんなんだろう?
そんな疑問への答えを考えていくにつれ、だったら一度会社をオープンにしてみて、いろいろなひとに会社の設備や作業工程・従業員の働く姿をみてもらって、安心してもらったりご意見を賜ったりしながら設備も工程も作業効率もアップデートしていけるんじゃないか、と社長は考えました。そして、会社を開放する方向へ入れ替えました。
変化はすぐに現れた!
最初はご来社くださった方々へ工場の中をご案内することから始めました。当初は当然従業員も困惑した様子でしたが、それぞれの持ち場を来客者へご紹介するにつれ、説明の仕方や表情に変化が現れました。工場案内を開始してからたった1ヶ月で、わかりやすいように説明用のサンプルを準備する従業員や、声のトーンや大きさを自分で調整しながらわかりやすい説明を自ら導き出す従業員が現れました。また、来客者からは「こんな古い機械がまだ現役で動いているの?」とか「電気炉まで所有しているの?」とか「1品目で1000種類以上ものバリエーション展開をしているなんて凄い」などのお声をいただきました。私たちにとってはあまりにも当たり前なことには気づきにくく、こうして外からのお声をいただくことで自分たちにこんな価値があったのかと気がつくきっかけとなったのです。こんな変化と気づきを会社を開放し始めてたった1ヶ月目から感じることができるなんて、私たちも驚きでした。
次の段階へ
今後は、お客様の疑問への回答精度を上げたり、ご要望への提案バリエーションを増やしたり、ご来場のお客様が増えるたびに進化をしていきたいと考えています。そして次のステップとして早速、11月にオープンファクトリーを開催することを決意しました。神戸市が開催する『開工神戸・KOBE OPEN FACTORY』です。(開催案内は以下)
【開催日時】2024年11月8日(金)、9日(土) 10:00 – 17:00
【開催場所】神戸市長田区周辺の製造企業の各所在地にて
【弊社工場見学地】神戸市長田区苅藻島町3−12−24
【弊社へのお問い合わせ】078-681-4517
会期中は、弊社工場の中を広く一般の方向けに公開いたします。新旧・大小さまざまな製造機械や道具、職人たちの技をご来場の皆様にご紹介する貴重な機会として、私たちも《見やすく・わかりやすい工場見学》となるよう現在も準備の真っ只中です。
ぜひご来場いただき、我々の姿をそばでご覧になっていただきたいと思います。
印象に残ったお客様の話
最後に、最近の会社へいらっしゃったお客様の中でとても印象的で、いただいたご感想の中に私たちが拾うべきヒントが詰まっていた事例をお話しさせていただきたいと思います。
そのお客様は、お父様と一緒にご来社なさった5歳のお子様でした。
お父様がお仕事されている間、5歳のお子様と私は工場内探検をしておりました。古びた町工場の探検に興味を持ってくれるか心配だった気持ちはすぐに杞憂で終わりました。少年はキラキラと輝かせた目でいろいろな工具や機会を指差しながら、「これ何?」「凄ーい!」と喜びの声を私に聞かせてくれるのです。
「これ何?」の着眼点が大人だったら素通りするであろう細やかな視点で、私も「あら、こんなところにこんな機械があるんだ!」とか「これ、何に使うんだろう」という道具に出会ったり、「こんなに古くて油でドロドロの道具に興味をもってもらえるんだ!」と驚いたり。
一緒に歩いた2、30分の時間で工場の中がまるで宝箱に変化したのが、不思議な体験でもありました。
工場が宝箱に見えるかもしれない体験を、ぜひ11月のオープンファクトリーで味わっていただきたいと思います。町工場や製造に興味がある大人の方も、ファミリーの皆様の社会見学にも、機械や工具が好きなお子様も、年齢関係なく楽しめる工夫をしてお待ちしています。ワークショップなども企画しておりますので、ぜひ11月8日(金)、9日(土)は弊社工場へお越しになってくださいませ。
【田中務補商店】
兵庫県神戸市長田区苅藻島町3−12−24
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