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人生革命セミナーの闇 結章: 自己成長への新たな道

田中一郎は再び出勤を再開し、自己成長を追求する決意を固めた。自己啓発セミナーの経験を通じて学んだ教訓を胸に、自分自身のペースで前向きに歩んでいくことを誓った。

ある夕方、仕事を終えた田中は自宅でFacebookを開いた。タイムラインには、かつてのセミナー仲間たちの投稿が流れていた。自撮りで撮った笑顔の写真、みんなでワイワイガヤガヤの楽しい風景、ある人物は高級レストランで食事をしている写真もあった。

これらの投稿を見ながら、田中はセミナーから離れるときに聞いた光景を思い出した。セミナーに長年参加している者に質問をしたのだ。

「このセミナーからどのようにして高収入を得た者が出たのか? どのような方法で稼いだのか?」

返ってきた答えは、「そういうことは質問するものではない。自分で考えることが修行だ。エゴだ」というものだった。

今思えば、高収入の答えを古株から聞けば納得できたかもしれないが、田中は自分の目で、耳で確認したい気持ちが強かった。しかし、公にしないセミナーとはこういったものだろうかと疑問を抱き続けている。

画面をスクロールしていると、以前田中にこのセミナーを紹介した情報発信者である山本悟のネット動画が目に入った。

今思えば、この情報発信者は、目と鼻の向こう側で、耳障りの良いことを言って、「今日の運勢」とか「ワンネス」とか言っているのだった。

矛盾していると思いつつも、この手のセミナービジネスもあるかと、田中はしみじみ思った。「これが、リアルな自己啓発セミナーだろうか?」と考え込んだ。

好奇心から、田中は山本悟についてさらに調べてみた。すると、彼の活動に対する批判的な意見を見つけた。少し怪しいという噂もあったようだ。

この経験を通じて、田中は情報を鵜呑みにせず、常に批判的に考える重要性を再認識した。

そして、ふと大芝恵子のことを思い出した。セミナーの古株で、田中を厳しく批判した女性だ。彼女の素性を調べることにしたが、調べれば調べるほど虚しくなった。直接会って謝罪させるつもりだったが、だんだんとその考えが馬鹿らしくなっていった。

過去の経験を踏まえ、今度は自分の意思を大切にしながら生きることを決意した田中は、セミナーでの失敗から得た教訓を活かし、自分の人生を再構築することを目指すことにした。

窓の外を見つめながら、田中は静かに呟いた。「これからは、本当の意味での自己成長を追求していこう。これが、本当のリアルな自己啓発への道なのかもしれない」

新たな視点と決意を胸に、田中一郎は自分らしい自己成長の道を歩み始めようとしていた。

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