路上ライブの変化〜カラオケ音源はリスキー?〜
今日見かけた路上ライブのスタイルを見てふと思ったことをツイートしました。
別に真っ向から否定する気はなく、個人的に感じた路上ライブの変化を少し詳しく書いていこうと思います。
・弾き語りとカラオケ音源の違い
まだタブレットやスマホが無かった頃
「路上ライブ=ギターかピアノの弾き語り」という形がほとんどでした。
シンガーソングライターであればこの形が多く、もしくは
CDのカラオケ音源をスピーカーで鳴らしながら歌ってました。
この時点で
過去の路上ライブの形 と 現代の路上ライブの形
**同じカラオケという媒体で何が違うのか?
**
先に一点書くと、今回は弾き語りとカラオケ音源でのライブ方法による違いを書いていきます。
昔でも弾き語りだけではなく、カラオケ音源=レンタルCDのカラオケ音源をCDに焼いて(コピーして)使う方はいました。
今は音源によってはiTunesストアで買えますし、YouTubeにカラオケ音源が公開されてたりします。
手軽な環境にはなりましたし、何よりYouTubeにあれば無料でカラオケとして使えるのは大きいですよね。
両者の環境で違いを踏まえつつ、弾き語りとカラオケの違いをいくつか書いてみます。
・パフォーマンス要素の違い
[弾き語りの場合]
もちろん楽器演奏をしますよね。
「生演奏」+「ヴォーカル」の形は、実際にその場でしか聞けない臨場感がありますね。
楽器の上手い下手に関わらず、すごく頑張ってる感が伝わってくると思います。
あと既存曲のカバーを歌う時は、コードを引用するかアレンジしての演奏になりますね。
これが面白くて、伴奏を聞いた時点で
「あ、もしかしてあの曲かな?」と気付く方もいれば
「歌い出し聞いてわかった、あの曲だ」と気付く人もいます。
これが良いなと思ったのは「自然と観客が聴こうとしてる」形になる所。
曲名を聞いてわかっても、弾き語りの場合はどういう風に演奏されるかまではわからない。
僕はこれが「今から未知の現象に向き合うようなもの」のように感じます。
あと難しいですが、生演奏だからこそできる要素として
・観客とのコールアンドレスポンスが組みやすかったり
・テンポや間の取り方が自由
というのがあるかと。
どれも「観客を楽しませる」という点で向いているように思います。
では逆に
[カラオケ音源の場合]
カラオケ音源なので、演奏ミスが起こることはほぼ無いでしょう。
あっても機材トラブルによるものぐらいです。生演奏よりはローリスクで良いですね。
あと弾き語りより豪華な伴奏で歌えます。
楽器1つでは表現しきれない音楽の世界を出しつつ、自分の歌を乗せる形になりますね。
カバー曲の場合、もちろん原曲と同じ音源で歌うことができるので
みんなが知っている安心感のあるライブが行えますね。
さて、ここまで書いて思い出して欲しいのは「観客を楽しませる」という点。
演奏ミスも無く、楽器1つより豪華で、安心感のあるライブ
こう書くと何も問題も内容に思えますが
音楽との関わり方が変化してきた中で、いくつか問題が出てきました。
・無自覚に感じている「音楽以外の要素」
路上ライブで何を聴くって、そりゃもちろん音楽ですよね。
その人の歌声が魅力的であれば何も問題ないかと。
でもじゃあ…歌声に魅力が足りてなかったら?
「え?弾き語りでも同じじゃない?」
「そんなのそもそもの問題じゃん」
と思うかもしれませんが
僕はむしろそこは「カラオケ音源の方が露骨に現れる」
=カラオケ音源でやるのはハードモード
だと思いました。
カラオケ音源では少なく、生演奏には多い「音楽以外の要素」とは?
・弾き語りは「見られる魅力を分散している」
まずカラオケ音源の場合、他の歌手との違いは「歌声」と「見せ方」
になってきます。
豪華な環境でライブできる分それと見合うかどうかが顕著に見られます。「見合わなくても本人が頑張ってるなら良いじゃん」と思いますが
残念ながら観客は無意識にプロと比較します。
スピーカーや音質の違いはあれど、伴奏に使ってるのはプロと同じ物を使ってますからね。
上記の「歌声」と「見せ方」だけを見られてると考えたら
結構リスキーですよね。
例えると「モデルが着てる服と同じ服を着て、同じぐらいカッコよく(可愛く)なれるか」といった感じです。
では弾き語りの場合は?
僕は↓これぐらい魅力が混ざってるような状態だと思います。
「生演奏」「歌声」「見せ方」
「コールアンドレスポンス」「間の取り方」「アレンジ」など
魅力が多い=見られる部分が分散する
つまりどういう印象を作れるかと言うと
・「多少歌が下手でも生演奏が魅力的」
・「演奏が下手でも観客とのやり取りやアレンジが豊富」など
何かが劣っていても他でカバーすることができる
というのが弾き語りの面白い所であり、強みでは無いでしょうか?
また、最近の音楽環境の変化で
カラオケ音源ならではのデメリットも有ると思います。
・「歌ってみた」と「Mix師の存在」
今は誰でも動画を作れて、録音もできて
カラオケ音源さえあれば動画作って投稿、視聴できちゃいますよね。
その動画投稿された物ってベストテイクですよね。
一番上手く歌えた物を公開するって、当たり前なんですけど
その「上手く歌えた物」の質って上がり続けてるんですよね。
そこには「Mix師」と呼ばれる方々の
録音後の加工技術による質の向上が間違いなく関わってます。
写真写りが悪ければ加工でなんとでもなる
プリクラによるお目目矯正手術が手軽にできる現代
音楽もDTMの普及もあり、そういった加工技術はアマチュアでも有る程度できるレベルになってきました。
音楽の場合、主にピッチを整える補正作業が威力を発揮します。
音程のズレを整えるだけで、一般的には上手な歌声に聞こえるようになります。もちろん限度はありますが。
これによって
【補正矯正された音源 VS 生歌】というバトルが発生します。
いや、よっぽど上手くないと生歌単体じゃ勝てねぇよ!
だって比べるのそこしか無いんだから。
ちゃんとレッスンしてピッチや声量の安定感はもちろん
歌声の作り方まで詰めないと勝てなさそう(知らんけど)
・安心感が災いする事
これはあまり音楽だから言えるといったことではないのですが
先ほどカラオケ音源の特徴として以下の二点を書きました
・演奏ミスが起こることはほぼ無い
・みんなが知っている安心感のあるライブ
この二点、裏を返すと「展開が読める」とも言えます。
なぜなら音源はデータなので
リアルタイムで変化することはないからです。
安心感は時に裏目に出ます。
・サプライズ要素は有能なフック
普段音楽を聞いていて
「Bメロやサビへの展開」「落ちサビ」「Cメロ」など
これらが予想通りではなかった場合、「お?」ってなりません?
悪い気はしないと思います。むしろサプライズに近い。
そう、サプライズに近い。
特にカバー曲を歌う時が一番違いが大きいでしょう。
[弾き語りの場合]で書きましたが、生演奏によるカバー曲は
少なくとも今まで聞いことの無い伴奏(曲)になります。
「どんな演奏かな」「どんな歌だっけ、サビだけ知ってる」「なんか聞いたことある」「いつもと違う形で聞ける」
少しでも興味があれば聴こうとしてくれる人がでてきます。
この「自然と観客が聴こうとしてる」形を作ることが
何かを演奏、披露する際にすごく重要なポイントだと思います。
それを起こしやすいのが「何かが起こるけどわからない状態」
=サプライズ要素だと思います。
ここまで来て考えることは
・じゃあカラオケ音源の場合何ができるか?
・他に流れや観客を惹きつける要素は何か?
と考えていきたいのですが、中々難しいお話になりそうです。
現状から考えると、カラオケ音源で路上ライブって結構リスキーなのでは?
と思います。
・最後に
今回の内容としては「カラオケで歌うことに否定的」な印象を持つかもしれませんが、書きたかったのは
・カラオケ音源で歌うって結構リスキーじゃない?
**・魅力を複数持ってることの強さ
**
ということです。
あくまで個人的な主観の入ったお話なので、読み流すも参考にするもお任せします。長文ありがとうございました。
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