「患者さん」って、「病人」ですか?
患者=患っている人。「患う」とは、病気で苦しむことを言います。
つまり、患者さんは、病気で苦しんでいる人たちのことを指すようです。
では、「患者さん」は、「病人」なのでしょうか?
病人=何らかの健康上の問題のため、医師や歯科医師、専門の医療関係者の診断、治療、助言を受け、医療サービスの対価を払う立場にある人(Wikipedia)
つまり、病人は、医療従事者との関係が成り立ってはじめて、病人から患者さんになるということなんですね。
我が家には寝たきりの病人がいる。
とは言います。寝たきりの患者が家にいる、とは言いませんね。
病院では、
次の患者さんをお通ししてください。
とは言いますが、次の病人をお通ししてください、とは言いません。
確かに。。。
その病気で苦しんでいる方が、どういう立場にいるかによって、呼ばれ方が変わってくるんですね。
ところで、英語では、「患者」をPatient、と言います。
とても興味深いです。
だって、Patientって、「耐えている」っていう意味ですから。
そうか、「患者さん」は、耐えている人たちなんだ!
腑に落ちます。
Patient の語源は、古代ギリシヤ語のPathein (苦しむ)だそうです。
その名詞形が Pathos (悲哀)
Pathos=アリストテレス倫理学における、欲情・怒り・恐怖・喜び・憎しみ・哀しみなどの快楽や苦痛を伴う一時的な感情状態 (goo辞書)
話変わって、
「医は意なり」
医療、施術は、教科書や人から教わってできるようになるものではない、知識のある医師の経験、哲学、感性などによって、はじめて治すことができるようになる。
つまり、目の前のPatientに対して、既往歴、病状などから診断はつくけれど、治療方法の正解は一つではなく、Patientの数だけ存在する、ということだと思います。
Patient は、様々なことに耐えているんです。痛み、機能障害に限らず、心の問題、家庭、仕事などの問題、過去のトラウマなど、さまざまなことに耐えて、耐えて、そして、たまたま銀歯が取れたから、今日は歯医者に来た、というだけなんです。
僕たちは、病気に興味があるのではなく、あなたに興味があるんです。
かつての岡山大学の村山教授は、医局員に必ずこう質問したそうです。
それで、その方はどんな方なの?
「患者さん」は患っている訳でもなく、病んでいる訳でもないんです。
耐えているんですね。
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