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#151 純情きらり(2006)-幸せは不幸の伏線。最期まで報われない朝ドラ!

NHKアーカイブズ紹介文

ピアノが大好きな有森桜子。周囲の反対を押し切り、愛知・岡崎から上京。芸術を愛する若者たちと共にピアニストを目指す。その後、幼なじみで老舗みそ屋の跡取りと結婚。老舗で奮闘しながら愛する人との絆を大切に、戦前戦後の激動の時代を乗り越えた女性の波乱万丈の一代記。原案:津島佑子。脚本:浅野妙子。音楽:大島ミチル。語り:竹下景子。出演:宮﨑あおい、西島秀俊、寺島しのぶ、井川遥、福士誠治、戸田恵子ほか。

波乱万丈とは何なのか?

上記の紹介文を読むと、偉業を成し遂げた女性の半生を想起させるが、実際のところは、幸福と不幸の連続、否、不幸から幸せに這い上がる瞬間、常にどん底に突き落とされる展開が連続した。まさに「純情」そのものと言える主人公・有森桜子(宮崎あおい)の幸せを願って応援していた視聴者にとって、結末の空虚さのインパクトはあまりに強すぎた。

この透明感がギャップを生む伏線

そんなことある?なんでそこまで追い込むの?

ここから紹介するのは不幸話の一部。幸せな家庭に生まれ育ったにもかかわらず、母(竹下景子)に続いて、考古学に勤しむ優しい父親(三浦友和)を連続で亡くし、生活苦に。長女(寺島しのぶ)の尽力により、音楽学校への進学を決意するが、不合格。周囲の祝福を受け、常に自分を支えてくれた幼馴染(福士誠治)と結婚するが、ほどなく出兵。戦争中、姉の旦那(西島秀俊)と一時的に不倫関係に。音楽教師として学校に採用される直前、正職員の復職のあおりを受け、契約がご破算に。ピアノの腕を認められ、念願のジャズバンドでのデビューが決まった直後、結核で入院。そして最後は…。

あらゆる幸せなシーンが不幸の伏線に

反戦メッセージの醸し出し方が秀逸&残酷

戦時中を扱っているため、「純情きらり」でも空襲のシーンが多く描かれるが、それ以上に反戦を意識させたのが、復員した旦那・達彦(福士誠治)が抱え込んだトラウマ。戦死報告があったにもかかわらず、中国戦線の死線をかいくぐって復員するが、仲間を見殺しにしたトラウマから逃れられず、酷い鬱状態がドラマの終盤まで延々と続く。もちろん、桜子の無償の愛に救われるが、底なしの鬱状態に反戦の意を強くした視聴者は多かったはず。

眼光を失った達彦

泣ける?泣けない?複雑な最終回

妊娠した状態で結核が発覚した桜子は、周囲の反対を押し切り、自分の命よりも子どもの出産を優先する。出産後、どんどん衰弱し、死期を悟る桜子。しかし結核が幼子に感染する可能性を危惧し、こども(輝一)との接触を拒む。そんな桜子のため、仲間が輝一の映像を用意し、病室の壁に投影する。涙を流しつつ、手を差し伸べ、輝一の映像に必死に触れようとするところで絶命。なんなんだ、この最終回は?桜子は結局、幸せだったのか?それとも不幸だったのか?視聴者に、いろんな意味でイマジネーションの余地を残した最終回だった。

手を伸ばした先に輝一の映像が…

それでも名作であるワケ

幸福話のすべてが不幸話の伏線となる残酷なドラマだったが、それでも高評価を得たのは、主演・宮崎あおいさんの透明感。彼女から発せられる幸せオーラには、不幸話を凌駕する効果があった。少なくとも私は、彼女の笑顔を見るためだけに、不幸に耐えて視聴を続けていたように記憶している。

ピアノを弾いているときの彼女の笑顔に癒された!

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