#30 私の家政婦ナギサさん(2020)-コロナ禍のギスギスした世界にやさしい風を吹き込んだ逸品
コロナ禍によるロケ中断の影響を受け、放映が2カ月ほど遅れましたが、社会不安を消し去るほどの優しさで満ち溢れた良質のドラマでした。多部未華子さんのキャラ変を確立させた点でも、意義深いドラマだと思います。
予兆は『これは経費で落ちません』にあり!
私が一番好きなドラマです。多部未華子さん演じるコミュ症・経理部員の「心の声」がとても魅力的でした。この「心の声」が「私の家政婦ナギサさん」でも大いに生かされており、『これ経』が多部未華子さんの出世作になったものと考えています。『これ経』については、後日、特集します。
「心の声」と言えば多部未華子
とにかく、心の中でのつぶやきが魅力的でした。直接会話しているシーンよりも、無表情のまま、心の声がだだ漏れするシーンの方が多かったような気がします。『凪のお暇』『カルテット』を手掛けられた坪井敏雄さん、『凪のお暇』『グッドワイフ』『コウノドリ』を手掛けられた山本剛義さん、このおふたりの演出によって、多部さんの内面の良さが極限まで引き出されていたように思います。
前半は「私の隣人タドコロさん」
ロケ中断の影響でしょうか?実は前半、ナギサさん(大森南朋)の露出はほとんどなく、同じマンションの隣人・田所さん(瀬戸康史)の露出が多かったように思います。メイ(多部未華子)と田所さんがくっついてしまいそうな展開を超えた後、後半では一転、ナギサさんとかつての部下(松本若菜)の秘密に迫る展開が続きましたが、感動の最終回を除くと、ドキドキした分だけ、前半の方が面白かったように感じました。
存在感を示した脇役
印象に残っているのは、世間知らずの後輩・瀬川遥人(真栄田郷敦)と医薬品の卸売会社の営業課長(ずん・飯尾和樹)のふたりです。愛嬌たっぷりで憎めないキャラでした。その他にも魅力的なバイプレーヤー満載で、ダブル主演の実力派俳優・大森南朋さんの存在が霞んでしまうほどでした。制作スタッフが共通しているとはいえ、まるで『凪のお暇』を見ているような気分で視聴していました。
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