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#54 自転しながら公転する(2023)-将来への不安と向き合う恋愛ドラマ

HP紹介文

悩める30代女性が
「幸せな生き方」とは何かを考える
等身大のヒューマンラブストーリー

ドラマというよりも日常

30歳越え、自活、親の介護、学歴等、さまざまな社会不安に苛まれる中、お互いの価値観の違いに何度もぶつかり、離れたりしながら、お互いの相性の良さに惹かれ合い、つながりを深めていくふたり。何気なく過ぎていく日常がリアルに伝わるドラマでした。年末3週連続で、こんな良いドラマに巡り会えるとは予想していませんでした。

松本穂香のリアル

効力感が弱く、カレシとの新生活に一歩踏み出せない女性・与野都(よのみやこ)を演じたのが松本穂香さん。「ミワさんなりすます」と同様、役柄に馴染んでました。仲良くなった相手が中卒だと知った時の唖然とした感じ、父親にカレシの学歴を責められたときのフリーズ感、無職のカレシが買ってくれたネックレスの値段の高さにブチ切れる様子、幸せな結婚の意味に悩み続ける表情等、誰もが体験する心情がリアルに伝わってきました。

藤原季節のリアル

男気があり、コミュニケーションに長け、いろんな人から頼られる存在だけれども、中卒・無職状態にコンプレックスを持っており、そこをカノジョに責められるたびに蘊蓄(うんちく)で返すが、彼女にキレられるたびに、すぐに距離を置いてしまう不器用な寿司職人・羽島貫一を演じたのが藤原季節さん。この人の醸し出す「ふつう」感も半端なく「ふつう」で、松本さんの「ふつう」と見事にマッチングしていました。

ラストシーン

最終回、いろいろありましたが、ラスト5分で、貫一の良さに気づいた都が寿司屋を来店します。「えっ、のこり5分切ってるけど」と焦りながら見ていたら、都が貫一の手を握るところで『完』となりました。「その後」へのイマジネーションを視聴者に委ねる終わらせ方に唸ってしまいました。先行き不透明な時代にあって、「パートナー同士で周回しながら、個々も自分で回っていく」という意義を考えさせてくれる秀作でした。

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