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#66 アンナチュラル(2018)-石原さとみの苦みを極限まで中和した名作

TVer 紹介文

主演・石原さとみ×脚本・野木亜紀子。日本に新設された死因究明専門のスペシャリストが集まる「不自然死究明研究所(UDIラボ)」を舞台に、「死」の裏側にある謎や事件を明るくスリリングに解明していく1話完結型の法医学ミステリー。UDIラボで働く面々には井浦新、窪田正孝、市川実日子、松重豊ら演技派俳優が顔をそろえる。

そんな甘っちょろいドラマではない

むしろ「死」の裏側にある「哀しさ」や「苦しさ」や「社会への怒り」をあぶり出すような迫力がありました。市川実日子さん、井浦新さん、松重豊さん、窪田正孝さん、ずん・飯尾和樹さんとの絡みも欠かせませんが、ビジュアル先行型で、ややもすると棘さえ感じさせる石原さとみさんが自然に溶け込んでしまうほど、しっかりした社会派の脚本でした。

恐るべし第1話

2018年のドラマにして第1話のテーマは、新型ウィルスによる院内感染でした。しかも、ドラマの中で何度も『PCR』というフレーズが飛びっていました。本放送で見たときは「海外で感染したのか。怖い話やなぁ」くらいの感想でしたが、2020年、見直したとき、背筋が凍りました。2018年にしてコロナ禍を予見していたかのようなサイキックな展開でした。

私が好きなのは第2話と第5話

第2話は家出少女を助け出そうとしたミコトたちが罠にはめられ、車ごと水死しそうになるくだりです。冷凍車の中で凍える可哀そうな少女が松村沙友里さんであることを最近知りました。第5話はバイク事故で命を落とした男性の死因が過労によるものであることを突き止めるくだりです。ドラマ後半の花火が切なすぎました。

急転直下の第9話と最終話

この2回は完璧にサイコミステリーでしたね。中堂(井浦新)が追う猟奇的殺人犯(尾上寛之)が9話のラストで血まみれの服を着て出頭するシーンには息をのみました。最終話では、法廷で殺人犯の承認欲求を刺激しまくって、自白に追い込むシーンが凄かったですね。第8話までが完全に社会派ドラマだった分だけ、ギャップが大きかったですね。謎を解くカギとなったエンバーミングのくだりも印象的でした。

恐るべし、赤い金魚(尾上寛之さん)


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