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#149 14歳の母(2006)-志田未来&三浦春馬なくしてこの名作なし

TVer 紹介文

14才、中学生で妊娠してしまった主人公は、周囲の猛反対の中、産むことを決意する。一見スキャンダラスでセンセーショナルな設定ですが、このドラマが高視聴率を獲得した理由のひとつには、中学生の妊娠をテーマにしつつも、そこに主人公や彼女を温かく見守る周囲の人々の“生命の尊さ”と正面から向き合う真摯な姿が描かれ、感動と共感を呼んだことをあげることができます。愛と生命を考えさせられる、まさにヒューマンドラマの傑作です。

令和では再現不可能な名作

上記の紹介文がすべて。14歳の少女が妊娠し、世間の冷ややかな目に屈することなく出産を決意し、その意思を家族が温かく見守る。「妊娠」はあくまでひとつの出来事であり、生まれてくる命の尊さ、14歳の母を支える精神性が大きな感動を呼んだ。当時でさえBPO審査の標的となったが、それをはるかに上回る共感がこのドラマの完走に繋がった。荒波にさらされながら、それをものともせず、語り継がれる名作に昇華させたスタッフに感謝。

天才子役・志田未来✖14歳の母

12歳にして傑作ドラマ「女王の教室」にて、小学6年生役でデビューし、視聴者の視線を釘付けにした破格の演技力。この才能なくして、14歳・未希の妊娠・出産への感情移入はあり得なかった。この際、ストーリーはどうでもよいので、彼女の迫真の演技を注視して欲しい。ただそれだけ。

こんなあどけない少女が…

天才子役・三浦春馬✖14歳の父

全身から漂う哀愁のえげつなさは天性のもの。このドラマでは、母親(室井滋)の過度の期待に抑圧された、自己効力感の低い14歳・智志を演じた。常にヘタレ&根暗で、交際中も妊娠中も出産後も未希を支えきれない。最終回直前まで、事業で失敗した母親に翻弄され、逃避行を続ける煮え切らない姿にイライラした視聴者は多かったはず。この個性も彼固有の特性。

第1話 運命の出会い

ストーリーよりもふたりを見守ってほしい

全11話のうち、出産後が描かれたのは最後の2話程度。逆に言えば、ほぼすべての回にわたって、世間の荒波(学校でのいじめ、ゴシップ記事等)との戦いが描かれる。しかも、折り返しを超えるくらいまで、未希の味方は未希の母親(田中美佐子)と父親(生瀬勝久)くらい。それゆえ、徐々に周囲の理解を得ながら、智志をも牽引していく未希の力強さは圧巻。フィクションとはいえ、彼女の言動に勇気づけられた視聴者は数擦知れず。自分の中のクライマックスは、第8話のラスト3分。バス停で破水し、ゴシップ記者(北村一輝)に病院に運ばれるシーン。

いいお母ちゃんに恵まれたね

おまけ

妊娠を受け入れられない未希のクラスメイトが実に多彩。感情を押し殺して周囲を寄せ付けない神秘的なキャラ・真由那に谷村美月。妊娠を機にいったん未希を誹謗中傷するが、最終的に親友に戻るキャラ・恵に北乃きい。そして、いわゆるちょい役・はるに波瑠。放映中に波瑠の才能を見出せなかった自分の凡庸さが残念。

波瑠さんを探せ!

名作の影に名曲あり

このドラマの切なさをひときわ際立たせたのが、ミスターチルドレンの「しるし」。オープニングとエンディングの両方で使用され、オープニングではふたりの行く末を覆う暗雲をイメージさせ、エンディングでは次週への期待を膨らませる効果があった。「コードブルー」の『HANNABI』、「オレンジデイズ」の『サイン』を含め、神がかった音楽性の高さに敬服。


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