#102 仮想儀礼(2023)-NHKの挑戦心もここまでくるともはや狂気
NHK紹介文
「宗教を作ろう。食っていくために」-無職の男二人がやけっぱちで始めたサービス業。それは「宗教」だった。元エリート公務員・正彦(青柳翔)と元ゲーム会社社員・誠(大東駿介)はある日突然職を失い、でたらめな宗教団体をでっちあげてビジネスを始める。そこへ思いのほか人々が集まってきて……。
突然、職を失うわけではない
幼少のころ、母親と共に新興宗教に頼らざるを得なかった誠(大東駿介)が当時得たノウハウを生かして、食うためだけに宗教ビジネスを始めようとする。安定した生活を送っている都庁勤務のエリートずっきー(青柳翔)を無理やり巻き込んだところ、教祖としての才能に目覚めたずっきーに惚れ込んだ信者や他のステークホルダーが暴走し、立ち上げた新興宗教は崩壊する。誠の不遇の死を含め、関与した全員の罪をかぶって刑に服したずっきーが刑務所内でも教祖的な扱いを受け始めるところで「完」。
まさに教祖、まさに総長、まさにパトロン、まさに信者
宗教ビジネスを拡大しようとして不審死を遂げる欲張りな古美術商(石橋蓮司)、税金対策として宗教ビジネスに支援を続けるパトロン社長(尾美としのり)、ずっきーを追い込む敵対宗教の教祖(目黒祐樹)、信者の大半から裏切られ、堕ちていく教祖(青柳翔)と総長(大東駿介)。さらに、ただ憩いが欲しかっただけの主婦信者(石野真子、峯村リエ)、巫女的な存在として入信するも最後に暴走する信者(美波)、性的虐待のトラウマから信仰にすがる信者(松井玲奈)、両親による入信の強制から逃げ続けるも教祖にハマる女性(川島鈴遥)、アイデンティティの安定を求めてふたつの宗教団体を行ったり来たりする信者(河合青葉)。運命に翻弄され、とことん堕ちていく教祖、総長、信者が不憫でした。
このタイミングでこの流れ
霊感商法や宗教二世の問題が世間をにぎわせる中、比較的地味な役者さんを集めたからこそ、宗教に堕ちていく「日常」を描くことができたのだと思います。スポンサー企業がついていたら、こんなドラマを制作することは不可能でしょう。下記はスポンサー付きの宗教ドラマです。民放ですが、深夜枠の分だけ、挑戦的な内容になっています。