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#150 白夜行(2006)-胸を締め付けられる切なさの核は第1話にあり!

TVer 紹介文

山田孝之・綾瀬はるか主演で東野圭吾の名作をドラマ化!幼い頃、初恋の少女を助けるために父を殺した少年と、少年をかばおうと母を手にかけた少女。あまりにも残酷で、孤独で、純粋な2人の14年にわたる愛の軌跡を描く。渡部篤郎、柏原崇、八千草薫、麻生祐未、余貴美子、武田鉄矢ほか豪華キャストが脇を固める。

初回1時間拡大SPの衝撃

TBS日曜劇場の年中行事とは言え、ふつうは30分拡大が限界。にもかかわらずこのドラマでは1時間拡大、つまり、初回に2話分を詰め込んだことになる。しかも冗長になることなく、まるで映画を見ているような内容の濃い展開。さらに初回に綾瀬はるか山田孝之は登場しない。貧困な家庭を背景に子役中心で、2時間もの間、彼らの初恋と人生を大きく変える残酷な事件が詳細に描かれる。この初回の衝撃が第2話以降、毎回のようにプレイバックされ、視聴者はそのトラウマから逃げきれず、重苦しい空気を引きずったまま、報われない最終回では金縛り状態に。こんなドラマ、見たことない。

初回の衝撃が伝わらない残念なメイン画像

恐るべし天才子役

初回の舞台は高度経済成長後の格差社会。幼少時、図書館で出会った初恋の少女・雪穂が自分の父親に買われ、性的虐待を受けていることを知り、雪穂を助けるために父を殺す亮司。その亮司の窮地を救うため、自分の母親を殺す雪穂。貧困を生き抜く手段として行われた児童虐待、その運命を諦めて受け入れる少女、その人生観の間違いを身をもって示す少年、そして、誰にも言えない秘密を抱えたまま別れを受け入れるふたり。2時間限定で主演を演じたのは当時の名子役で、亮司役は泉澤祐樹、雪穂役は福田麻由子。このふたりなくしてこのドラマは成立しえなかった。特にこのドラマでは幼少期の雪穂(福田麻由子)と成長後の雪穂(綾瀬はるか)のフォルムが瓜二つに設定されており、2話以降の展開に違和感を残さなかった。

泉澤祐樹(左)、父親・平田満(中央)、福田麻由子(右)

感動と衝撃を呼んだ「再会」

育ての親のもとで新たな人生を送るふたり。そんな中、幼少期の出来事を誹謗中傷される雪穂(綾瀬はるか)と亮司(山田孝之)が第2話の終盤で運命的な再会を果たす。幼い頃に結んだ強い絆を維持するかのように、お互いの窮地を救うためにふたりは協力し合い、犯罪を重ねていく。執念深い刑事・笹垣(武田鉄矢)に追われても、亮司の過去を知る松浦(渡部篤郎)に脅迫されても、彼らの犯罪の凶悪性はとどまることなくエスカレートし、やがて松浦を殺害し、雪穂の家の庭に埋める。下の画像は衝撃的な出会いを果たした後、トイレに書かれた雪穂への誹謗中傷の落書きを必死に消す姿。とにかく残酷で切なくて苦しすぎるシーンが延々と続く。

幼少期の呪縛から逃れられないふたり

報われるはずのない不幸な結末

凶悪事件の実行犯として指名手配された亮司がサンタクロースの格好をして現れる。追い詰める刑事・笹垣をナイフで刺した後、自責の念に苛まれ、自らも自傷行為を行い、歩道橋から落下した亮司は絶命する。その姿を見届けた雪穂はウソにウソを重ね、警察の事情徴収から逃げ切るが、詐欺で経営してきた事業が失敗し、奈落の底に堕ちる。ラストシーンでは雪穂を思わせる女性が子どもと会話するシーンが描かれるが、その後の雪穂の行く末は不明。幼少期からふたりを繋いできた「切り絵」だけが残像のように残る。

落ちぶれた雪穂の後ろ姿

すべては幼少期

結局、残酷な幼少期を演じ切った泉澤祐樹と福田麻由子の迫真の演技がすべて。役者とはいえ、実年齢ではまだまだ幼いふたりには過酷すぎる役柄ではなかったか?役者人生さえ奪われかねない衝撃的な役柄を演じ切り、泉澤さんは、今も名バイプレーヤーとして活躍中。福田さんは2022年を機に、役者を休業し、ニュージーランドに移住したとか。もういちど、ふたりの主演級の共演を見てみたいと切に願う。

結局、これなのよ!これ!

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