気になる日本語「〇〇対策」
これは10年以上違和感を覚えている日本語の話。先に触れておくが、日本語の正解みたいなものを論じようという訳ではなく、私はこう感じているという内容だ。これを読んだ方の中には、答えが無くモヤモヤする人も居るかもしれない。
「〇〇対策」という言葉はよく使われている。例には、貧困対策、税金対策、失業対策などが挙げられる。今例に出したこれらは全て、〇〇(へ)の対策、という熟語の構成をしており、前の二字が後ろの二字を修飾している。
では、次の言葉はどうだろう?安全対策、防寒対策、健康対策。これらは全て、〇〇のための対策、という熟語の構成となっており、先に挙げた例とは熟語の修飾のされ方が微妙に異なっている。
簡単な例として、二字熟語の修飾のされ方を見てみよう。一字目が二字目を修飾する例としては、以下のようなものがある。
・黒髪=黒い髪(一字目が形容詞で二字目の名詞を修飾)
・座席=座る席(一字目が動詞で二字目の名詞を修飾)
・机上=机の上(一字目が名詞で二字目の名詞を修飾)
・最高=最も高い(一字目が副詞で二字目の形容詞を修飾)
・後退=後ろに退く(一字目が名詞で二字目の動詞を修飾)
他にも異なる品詞の組み合わせはあるが、三つ目の例の名詞1+名詞2に注目すると、名詞1の名詞2、という簡単な構造になっていることが分かる。これをそのまま四字熟語に適用できるかは分からないが、単純に考えると「対策」の熟語で例に挙げた「安全対策」は安全の対策、となってしまい真逆の意味に捉えられてしまう。
なぜこんな言い方をするのだろう?修飾のされ方を統一して、危険対策とか、寒冷対策とか、病気対策みたいな言い方をしないのだろう?もしかしたら、忌み言葉のように、対策する事柄そのものを表に出すことすら避けているのかもしれない。
安全対策などの言葉は世間一般に迎合されているが、二字熟語の構成のことが頭にチラつく私は、どうしても違和感を覚えてしまう。
実は、この疑問を持った私は少し調べたことがある。すると、2011年にNHKで似たようなことを書いている記事があった。そちらでの解釈については敢えて触れないが、少ないながら同じ疑問を持つ人は居たようだ。少数派でもいい、私は私の感性を大事にしていきたい。