Zoomインタビュー:世界の学生が語るコロナ時代の「日常」
2020年、世界中が新型コロナウイルスに脅かされることを誰が予想できただろう。今もなお流行しているそのウイルスの勢いはとどまることがない。ワクチンも治療薬も見つかっていない新型コロナウイルスで私たちの「日常」は大きく変わってしまった。関西大学をはじめ日本の大学では2020年春学期のほぼすべての授業がオンラインになり、いつも賑わうキャンパスに学生の姿が消えた。
世界中の大学生たちは今どうしているのだろうか。3回生ゼミ全員と4回生ゼミの1人は4月23日~7月15日の間に、中国、韓国、シンガポール、オーストラリア、スウェーデン、ドイツ、ロシア、イギリス、アメリカ、ブラジルの10カ国、計22名の学生にZoomを通してインタビューをし、現状を探った。
差し迫った脅威
清華大学の大学院生劉シセンさんが、春節(旧正月)を過ごすために北京から武漢の実家に戻ったのは1月17日。昨年末、すでにSNSから「武漢にSARSがある」といううわさを聞いた劉さんは、帰省客であふれる高速鉄道(日本でいう新幹線)の中でずっとマスクを着用し、誰とも話をしなかった。しかし、「車内の人たちや駅に出迎えに来てくれた家族は誰もマスクをしていなかった」。武漢に戻って2日後、劉さんは同窓会に参加した際、親がICUに勤める友人から病院に多くの感染者がいる話を聞いた。その友人は公共交通機関を避け、車で同窓会場に来たという。同じ頃、劉さんの妹が風邪をこじらせ病院で点滴をした。発熱外来に数十人の患者がいて、1時間ほど待ってようやく点滴の順番が回ってきた。すでに肺炎感染が確認できるレントゲン写真を持っている患者もいたため、怖くなって翌日は病院に行くことをやめた。1月23日、旧正月大晦日の前日、武漢は都市封鎖(ロックダウン)された。
オーストラリア、ロイヤルメルボルン工科大学の大学生Naomi Watanabeさんは、新型コロナがメルボルンで流行りはじめたのは2月中旬から3月頃だと振り返る。「トイレットペーパーの買い占めがあった。その頃から危機を感じた」。
2月末くらいに、韓国では中国や東南アジアからの入国者の中に感染者が発生し、次第に地域感染が始まった。しかし、慶尚大学校3年生のキム・ミレさんは当初不安な気持ちはあまりなく、「別に大丈夫」と思っていた。
大阪大学大学院を修了し、帰国を控えていたシンガポール人留学生Amber Chewさん。日本国内なら大丈夫と考え、3月13日に東京旅行へ出かけた。大阪に戻ってから咳が出始め、自主隔離。25日の大学院修了式に出席していいか分からず、焦っていたAmberさんは保健所に検査を希望する電話をしたが、今の症状だけでは検査の対象ではない、と相手にされなかった。「外出していいかどうか、不安だった」。一方、大阪大学に入学するシンガポール人留学生Kaoru Yapさんは、東京から大阪に引っ越した時、親がわざわざマスクを持ってきてくれたため、「ただ事ではない」と感じた。
ドイツのギーセン大学の日本人留学生永盛鷹司さんは、冬休みのため2月20日から1か月間日本に帰っていた。「2月は日本のほうが感染者多かった。しかし留学先に戻った後、すぐにドイツで感染者が爆発的に増加し、危機感を覚えた」。
1月に南カリフォルニア大学を卒業し、アメリカ西海岸のロサンゼルスに住むXubo Zhuさんと、東海岸のニュージャージーにあるラトガーズ大学3年生の弟、Xuyuan Zhuさんが、ともに危機感を持ったのは3月のはじめ頃。一方、ワイオミング州パウエルのノースウェストカレッジに留学していた後藤泰聖さんは、「大学の寮が閉まるから住む場所を自分で探せ」と言われた時、「一番危機を感じた」。
ロシアのNikolaevna Sukiasyantsさんは、モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学を卒業する直前の3月中旬あたりから、「地下鉄などが封鎖され、ニュースなどでもコロナの情報が増えた」ため、危険を感じた。3月下旬から4月初めにかけて、新型コロナウイルスがスウェーデンで流行り出した。ストックホルム大学大学院の日本人留学生松本英久さんがもうすぐ修了を迎える時期だった。「行政側のコロナへの対応が変わってきて、バスの乗り降りの仕方など日常生活が変わってきた時から、危機感を覚えた」。
イギリスでは、「ちょうど3学期目前のイースター休暇が始まった頃、コロナが大変になった」と、名門大学に通うEloise Fabreさんは振り返る。「母が急に病気にかかり、咳や発熱などの症状が見られた。55歳なので、コロナだったら大変だと思い、母が死ぬのではないかとひどく心配した」。幸いコロナではなかったが、「心配なので、それから母にいっさい買い物とかをさせなかった」。
「最初は遠い国で起こっている出来事だから、気にも留めていなかった」、とブラジルのサンパウロ大学3年生のGiovanna Carvalho Stefanczukさんは言う。「中国からブラジルは遠いし、自国にウイルスが蔓延することはないだろうと思っていた」。同じくサンパウロ大学3年生のFábio Ferreira da Silvaさんは、3月に大学などの教育機関が休校になったことで、「ウイルスが危ない」と思い始めた。
コロナ関連情報の入手方法
取材した各国の学生たちは、主にSNS、インターネット、テレビ、家族や知人の話、そして新聞から新型コロナウイルスに関する情報を得ている。
シンガポールのAmberさんは、「Twitterで各国の主要新聞や通信社のアカウントをフォローしている。家族で夕食を食べる時にテレビニュースを見るので、そこからも情報を得ている。2~3日に一度、ニュースサイトでアジアを中心に各国の感染者数を確認している」。
武漢にいる劉さんは、病院関係者である家族とWeibo、WeChatなどのソーシャルメディアから情報を仕入れていた。でも、「チャットで転送されてきた内容にはデマも多く含まれていた」。アメリカのXubo、Xuyuan兄弟は主にインターネットとSNSからコロナ関連の情報を入手している。2人とも「SNSによるデマがあって、一時期トイレットペーパーやマスクが買えなかった」。
ロシアのNikolaevnaさんも主にSNSから情報を得る。「テレビはあまり見ない。テレビ局のニュースは政府の影響を受けているのであまり信用できない」。ミュンヘン在住の日本人留学生中山健斗さんは、コロナに関する最初の情報はWeiboを使っている中国人の彼女から聞いたという。
ブラジルのGiovannaさんはインターネットで情報を入手することが多い。「もちろんテレビからも24時間コロナの情報を得ることができる」。サンパウロ大学薬学部2年生のNathalia Tiemi Taguchiさんは、ニュースやサンパウロ大学薬学部のFacebookページ、そして薬局で働くお父さんから情報を仕入れている。
スウェーデンにいる松本さんは、WHO(世界保健機関)のサイトをチェックしている。そして、日本の新聞社のサイトから日本の情報を得ている。イギリスのEloiseさんは、「母は出版社の社長なので、よく母の会社におけるコロナの影響について語る。そして時々ニュースから情報を得ている」。
対応が分かれる各国
新型コロナウイルスへの対策は、国によって違いがある。
感染が広がっていた2月、3月頃、中国政府は全国範囲で住民に厳しい外出禁止の規制を課していた。関西大学大学院外国人研究生の苑境娯さんは黒龍江省鶏西市在住。買い物など必要な外出は許されていたが、「マンションの入口では通行証の点検があり、各世帯一日1回だけ」と決まっていた。天津の実家に戻った北京外国語大学2年生の王志涵さんも、広州在住で、中山大学で経営学を学んでいる繁天佑さんも、同じ経験を語った。3月に入ってから、中国では「健康QRコード」という健康管理のスマートフォンアプリが導入され、レストランやスーパーなどに入る際、このQRコードをかざさないといけない。感染者が出た場合にその経路が辿れ、同時刻に同施設を使用した人たちの携帯電話に通知が行くシステムだ。都市間の移動が可能となってからも、「健康QRコード」を提示して健康申告を行う必要がある。
オーストラリアでも厳しい制限が実施されていた。ビクトリア州在住のメルボルン大学4年生Suzuka Leeさんは、「(ロックダウン開始後)外に出歩いているだけで1000ドル以上の罰金を科せられる。知り合いは家の前で洗車していただけで2000ドル近く罰金を取られた」と語る。
感染者数が一番多いアメリカでは、「コロナ流行当初、政府は何の対策もしていなかった。マスクをつけなくてもいいとも言っていた。感染者が急増してから、ソーシャルディスタンス、ロックダウン、マスク着用などの指示が出た。対策が遅すぎた」と、ロサンゼルスにいるXuboさんとニュージャージーにいるXuyuanさん兄弟は口をそろえて言った。
イギリスでは3月末に外出禁止の法律が実行され、病院やスーパー以外の企業は一斉休業に。大学3年生のAdam Powellさんは、「対策としては良かったと思うが、初の感染者が出たのは1月31日なので、遅すぎる」と感じた。同級生のEloiseさんによると、「ロックダウン当初のスローガンはStay at home, Protect the NHS, Save livesだったが、少し緩和されてからは、スローガンもStay alert, Control the virus, Save livesに変わった」。
ドイツは州によって政策や措置は違う。フランクフルト大学のAriane Legerさんは、「3月からスーパー以外の施設、そして学校や幼稚園もすべて閉まった。家族以外の人と3人以上で集まるのは禁止され、警察に見つかると声を掛けられる可能性もある」と話す。一方、ストックホルム在住の松本さんによると、スウェーデンは「医療崩壊を防ぐ政策を取っているが、強いロックダウンはしていない」。
ロシアのNikolaevnaさんによると、「3月からモスクワの地下鉄が閉鎖され、許可を得た人のみ使用可能」。仕事などやむを得ない理由で出かける人は、朝にウェブサイトで理由を説明し、許可証(デジタルパス)をもらって交通機関を利用するシステムだ。また、外出時にマスクと手袋の着用も義務付けられ、違反した場合は罰金が科せられる。
ブラジルもロックダウンをしていない。「出たい時に外に出られるが、国民からはロックダウンをするべきだという意見があった」とサンパウロ大学のFábioさんは言う。同級生のGiovannaさんは、「大統領はこれまで『ただのインフルエンザだから大丈夫』と言って、マスクもしていなかった。しかし、政府は危険なウイルスなのでマスクを着用するよう促していた。国民はこの正反対な意見のすれ違いにストレスすら感じていた」と話す。
買い物の仕方
当たり前のことが当たり前でなくなってしまった。外出が制限されている中、買い物や外食はどうしているのか。
武漢がロックダウンしていた時、劉さんが住む団地の近くにあるスーパーのオーナーはWeChatグループを作成した。住人たちがチャットで書き込まれた欲しい食材などをスーパー側は注文通りに調達し、時間と場所を指定して団地の入口に届け、住人たちはそこへ受け取りに行く。すべてキャッシュレスのため、現金のやり取りをしなくても済む。ロックダウン期間中でも、宅配便は毎日稼働していた。劉さんは旧正月休みだけを実家で過ごす予定だったので、冬服しか持ってこなかった。天気が暖かくなるにつれ、春服や日用品など、「ほぼ毎日Taobaoでネットショッピング」していた。
苑さんが住んでいる鶏西市では、コロナが流行していた当初、大きなスーパーはほとんど閉鎖されたため、「週に1回、家族の中で1人だけが近所のお店に買い物に行く。お菓子、飲料水、牛乳などはネットで買う」生活が1カ月ほど続いた。3月ごろになってからマスクを着用し、大きなスーパーへ買い物に行けるようになった。
ドイツのArianeさんは、基本スーパーで買い物をしていた。最初の頃、トイレットペーパーや小麦粉、パンを作るためのイースト菌の買い付けが殺到し、品切れ状態になったが、しばらくしてから解消された。スーパーではマスクの着用が義務付けられ、ショッピングカートの台数分の人しか入れないという人数制限策が行われていた。永盛さんは、「ドイツの宅配サービスは商品が届かなかったりするので、一度も使っていない」。スーパーに行って買い物をしていたが、「行く時に人混みを避けたりすることが少しストレスだった」。
アメリカのXubo、Xuyuan兄弟はいずれも週1でスーパーへ買い物にいき、たまにネットショッピングをして、特に不便はないという。外食をしなくなり、自分で調理するようになった。
イギリスのAdamさんは、毎週金曜日に近所のスーパーへ買い物に行く両親に自分の欲しいものリストを渡して、買ってもらうようにしていた。ロシアのNikolaevnaさんは、ほとんど地域の店や宅配サービスに頼っていた。
ブラジルのGiovannaさんによると、サンパウロではジム、バー、学校などは閉鎖しているが、外出規制は特に実施されていないため、「外に出たければいつでも出られるし、遊びたかったら遊べる」。サンパウロ大学のNathaliaさんはスーパーに買い物に行くが、外食をしなくなった。
イギリスのEloiseさんは、「買い物は主にオンラインで注文したが、ときどき近くにあるチェーンストアTescoでヨーグルトや足りないものを買う。外食ができないため、ウーバーイーツで寿司やカレーを頼むなどしていた」という。
それぞれの対策と工夫
外出する機会は激減した各国の学生たちは、食料などの日常品を購入するために出かける時、共通しているのは、マスク、手袋の着用やソーシャルディスタンスを徹底すること。ロシアやシンガポールではマスクをしていないと警察に捕まり罰金を課せられてしまう。
武漢の劉さんは、外出する時にマスク、手袋、帽子をし、帰宅後はすぐに着替えて、靴と着ていた服をベランダに置く。持ち帰ったものも含めてすべてアルコール消毒していた。シンガポールのAmberさんは「マスクを着用し、消毒液も常備。外出前に手を洗い、帰宅後は携帯やカバンを消毒して、シャワー浴びて着替える」と話す。
韓国のキムさんは、「流行していた頃、スーパーに行く時はマスクのほかにビニール手袋もはめていた。「スーパーのカートのハンドルを消毒していたが、今はマスクのみ」。イギリスのAdamさんは、「母が作ってくれた再利用できるマスクをつけて、人と2メートル以上の距離を取るようにしている。帰宅したらすぐ手を洗う」。
アメリカのXuboさんは、外出する時にマスクをし、メガネをかけ、手袋をつけていた。弟のXuyuanさんは、マスクをして、一時期手袋もしていたが今はもうしない。出かける時に手の消毒剤を持ち歩いて、スーパーを出た後、車の中で手を消毒する。オーストラリアのNaomiさんも、消毒スプレーを持ち歩いていた。
ブラジルのGiovannaさん、Fábioさん、Nathaliaさんは、いずれもマスクのほかに、「アルコール消毒を心掛ける」と話す。Nathaliaさんによると、「アルコールジェルが不足しているため、ヘアワックスとアルコール70%を混ぜて使用したり売ったりする人もいる」。
マスク事情
韓国のキムさんは、外出時にはマスクが欠かせないと言う。韓国では出生年の末尾の数字によって買える日が決まっており、購入時には身分証明書などの出生年が分かるものを提示する必要がある。生活において必需品となったマスクが、皆に行きわたるように工夫されていた。
Amberさんが暮らすシンガポールでは、医療関係者が優先して使えるように、2月~3月頃、政府は健康な人のマスク着用を控えるようと勧告していた。しかし4月にロックダウン状態になった後、一転、マスクを着用せずに外出した人は罰金の対象とされ、「場合によっては逮捕されるケースもある」。
ロシアでもマスクが義務化された。「外出時にはマスクと手袋の着用が決まっており、違反すると40ドル相当の罰金が課せられた。マスク文化がないため、マスクの付け方が分からず、鼻を出し口だけ覆う人もいた。最初はみんな戸惑ったけれど、今は少しずつ慣れた」と、Nikolaevnaさんは振り返る。
新型コロナウイルスによって突如生活に現れたマスクにすぐに馴染めなかった人は少なくない。ブラジルのGiovannaさんは「もともとマスク着用の習慣がない。だからこの状況でマスク着用を定着させるのが大変だと思う。マスクは布製で繰り返し使えるものなので、マスク不足に陥ることはなかった」と話す。
Naomiさんの住むオーストラリアでは、マスクをしている人はほとんどいない。「オーストラリアではマスクを着用することが重要ではない。年配のアジア系オーストラリア人はマスクしている人もいた」。メルボルン大学のSuzukaさんは「マスクをしていると逆に目立ち、コロナ感染者ではないかと疑われる」と話す。その理由を尋ねると、「マスクを一般の人が着用すると、医療従事者などが使用するマスクが足りなくなってしまうので、基本的にマスクは着用しない」と答える。
ドイツのArianeさんは、「マスクをしなければいけないが、ドイツ人はマスクをあまりしない」。イギリスのEloiseさんは「散歩やジョギングならマスクしていないが、店に入るならする。でも最近はしない時もある」。
ブラジルのNathaliaさんによると、コロナが流行り始めたこと、世間では特にN95が売り切れることがあった。「偶然家にマスクがあったことと薬局で働く父が持ち帰ってきたこと、祖母が布マスクをくれたことで困ることはなかった」。以前はマスクをつける習慣はなかったが、今はほとんどの人がマスクを着用している。「今後、マスクが日常的なものになると思う」。ブラジルの大統領はマスクの義務化を拒否していることについて、「良いイメージがなく、適切な言葉が思い浮かばない。大統領のことを真似する人がいることは困る」。
イギリスのAdamさんは去年神戸に留学していた時、マスクをつけている人の多さにびっくりした。「他の人を守るためと聞いて、その考えが良いと思った。マスクに関するイギリスの記事にも、自分ではなく他人を守るためだと書いてあって、イギリスでもマスクの便利さに気づいたと思う」。
さまざまな支援策
新型コロナウイルスの影響により世界中の人々の生活が変わった。国民の生活を守るために、各国はさまざまな支援策を実施した。
中国では、武漢がロックダウンされていた時、ほかの地域から安い値段で大量の野菜が送られてきた「まごころ野菜」という支援があった。「春節の蓄えが尽きた頃だったので助かった」と劉さんは話す。医療従事者やその家族向けに、消毒用アルコール、マスク、生理用品、牛乳など、各地から多種多様な支援物資も届けられた。広州の繁さんによると、「緊急事態が解除されてから、各地では商品券やクーポンなどを配り、消費刺激に乗り出した」。
「韓国では、検査キットが大量に生産され、比較的安価なため手軽に検査が受けられる。さらに条件に該当する人は無料で検査でき、検査結果は6時間以内に判明する」と巨済市在住のキムさんは話す。
多くの国で行われていたのは現金の支給だが、実際には手に届くのが遅く、個人によってもらえる額が違う。アメリカのXubo、Xuyuan兄弟によると、「政府から1200ドルの給付金が出るが、まだ届いていない」。しかし、これはアメリカ国民を対象とするもので、「留学生に対しての援助はなかった」とノースウェストカレッジに留学していた後藤さんは言う。
オーストラリア・メルボルン在住のSuzukaさんによると、「一般市民には2週間に1回200ドル程度の支給があり、学生には700~800ドルの支給があった。また仕事を探している人にも毎週750ドルが支給された」。
ドイツの政策は州によって違い、ミュンヘン在住の中山さんによると、在学している大学があるヘッセン州では全体学生の2%に当たる人に応募順(先着順)で200ユーロが支給される。スウェーデンでも学生を対象とする支援策が実施された。「学生は国から月1万5千円~2万円相当の支援があり、無利子の奨学金や家賃の支払い猶予がある」とストックホルム在住の松本さんは話す。
イギリスでは、「閉まった店が破産してみんながクビにならないように、政府が経営者の代わりに給料の80%を支払う」ことにしたが、Adamさんは「7月以降も続くかは分からない」と不安そうだ。
ブラジルで実施された経済支援策は市によって異なる。サンパウロ市は経済支援として仕事がない人を対象に月600ブラジルレアル(約12000円)の支給があるが、条件があり全員もらえるわけではない。サンパウロ大学のGiovannaさんは英語の講師をしているので収入源があり、Fábioさんは親の収入があるため、いずれも支給対象外である。一方、Nathaliaさんによると、「毎年、ボーナスは2回に分けて支給される。去年ボーナスが出る時期は11月30日と12月20日までだったが、今年はコロナの影響で4月と5月に早められた」。
各国で行われてきた支援策は地域によって援助方法が違ったり、個々人の生活の差があったりするので、「すべての人々が『満足』とは断言できないが、私には不満はなかった」、と中国の苑さんは話している。
一日の過ごし方と変化
日々の行動が制限され、生活リズムが乱れた人は多くいる中、世界各地の学生たちはどのように一日を過ごしているのか。コロナ流行前と大きく変わった点はあるだろうか。
武漢にいる劉さんは、だいたい朝10時ごろ起床。週に2日オンライン授業があり、ほかの時間は論文を書いたり、読書をしたり、SNSから情報収集したりして過ごす。また、WeChat上の公式アカウント用の翻訳をチェックするアルバイトもネット経由で行う。高校1年生の妹は朝8時から午後4時までオンライン授業を受け、授業後も宿題やテストに追われているので、妹のために昼食を作ることも劉さんが担当した。「1月26日から4月15日まで、団地の入口へ宅急便を受け取りに行く以外は、ずっと家の中で過ごした」。
サンパウロ大学のGiovannaさんは、大学が遠いため普段は毎朝5時起きの生活だったが、「今は好きな時間帯に授業を受けることが多い」ので、コロナ前に比べ睡眠時間が多くとれるようになった。しかし、「以前は毎週末に祖父母と会っていたが、外出を自粛しているため会えないのが残念」に思い、気分転換で家庭菜園を始めた。「寝る時間が増え、家族との時間も増えた」というNathaliaさんも、観葉植物を育て始めた。
「授業がオンラインだから朝早く起きなくていいので助かる」という大阪大学のシンガポール人留学生Kaoruさんの変化は、「前は遊んだりしていたが、今は外出していない。手洗いを頻繁に行うようにしている」ことだ。
アメリカ・ニュージャージー州に在住のXuyuanさんは朝10時ごろ起きて、13時ごろに昼食をし、午後はオンライン授業を受け宿題を終わらせ、昼寝をするか、ルームメイトとゲームをして過ごす。コロナが流行する前と違うのは、あまり出かけないことだ。趣味のサッカーも、1週間に1回くらい練習するだけになった。ロサンゼルスにいる兄のXuboさんは、夕方くらいに海とか夕日とかを見に車で出かける。変わったことは、外食をしなくなり、自分で作るようになったことだ。
イギリスのEloiseさんは、朝6時半起床、7時に朝食を取ってから30分間散歩。10時から翻訳したり授業を受けたり、12時に昼ごはんを作って弟と母と一緒に食べる。14時に授業や部活に参加し、17時に運動(外に出て走るか、部屋で筋トレ)、18時に夕食。月曜日と火曜日は晩ごはんを作る当番だ。20時頃から家族と話したりテレビを見たり、パソコンで遊ぶか音楽を聴くなどしている。23時に就寝。「普段は大学にいればけっこう夜遅くまで続くパーティーや美術部のイベントがあるので、朝9時ぐらいに起きていたが、コロナが流行してからは夜やることがないので、早く寝て、早く起きるようにしている」と、規則正しい生活を送っている。
オンライン授業の受け止め方
4月に外国人研究生として入学するはずだったが、新型コロナウイルスの影響で来日できない状況が続いている中国の苑さんは、Zoom経由で関西大学のオンライン授業を受けている。「授業はオンライン、試験は対面で行われる」と韓国の慶尚大学校に通うキムさんは授業形式について話す。「オンライン授業は質問がしにくいから不便」。
ドイツでは、州によって大学の授業形式も異なる。フランクフルト大学で日本語学を学ぶArianeさんの授業がすべてオンラインになった。「学校に行かなくていいのは楽だが、ずっと家で授業を受けるのは面倒くさい」と話す。永盛さん、中山さん通うギーセン大学では、5月まではオンライン授業だが、6月1日から理系の授業や研究など一部が対面で再開予定である。図書館は開いているが、貸し出しと返却のみ。「オンラインだと他の授業に潜れなくなったのでつまらない」と永盛さんは言う。
メルボルン大学のSuzukaさんは、「最初コロナが怖くて1週間学校を休んでいたが、オンライン授業になったのでうれしく思った」。ロイヤルメルボルン工科大学で土木工学ビジネス専攻のNaomiさんは、授業がすべてオンラインになり、実験もビデオ映像を見て学んでいる。「質問したい時にすぐ聞けないのが難しいが、学校に行くより楽でいい」という。
「オンライン授業の形が嫌い」とニュージャージーのラトガーズ大学でコンピューターサイエンスを専攻するXuyuanさんは言う。「宿題はできるけど、授業を家で受けるのは難しい。授業をレコーディングしたのを見たりもする」。
イギリスの名門大学で日本文化を学ぶEloiseさんは、「同時に漢字の練習や他の宿題もできるので、日本語のレッスンはオンラインのほうが楽」だと思うが、「Tutorials(先生対学生2人の少人数指導)をネットでするのがとても不便で嫌いだ。私のパソコンはけっこう古いので、エラーが出てしゃべっても誰も聞こえない場合もあるし、逆に先生が言っていることを聞こえなくなることもあるから、有意義な会話をするのがとても難しい」。同級生のAdamさんも、「来学期もすべてオンライン形式になる。授業の質が落ちるので嫌だ」と話す。
モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学の授業も、すべてZoomやSkypeによるリモート授業。「卒業論文発表もZoomで行った」Nikolaevnaさんは、回線の影響でやりとりがうまくできないことや、インターネットに弱い年配の先生もいるというオンライン授業の問題点を挙げた。「卒業式も行われておらず、とても残念」。
サンパウロ大学の授業も完全オンライン制で、動画配信とZoomを使ったリアルタイムでの授業が行われている。言語学専攻のGiovannaさんは、リアルタイムの授業のほうが好きだ。「先生とつながっていることで、今やらなければならないという自覚が出てくるから。動画配信だと後でやろうと思いながらやらないことがある」。日本語の授業はリアルタイムで行われているが、「年配の先生が多く、機械の使い方を分かっていないからかわいそうに思う。機械の操作にたくさん時間が取られてしまうこともある」。
薬学部2年生のNathaliaさんは、オンライン授業が不便だと思う。「サンパウロ大学ではそもそもテキストを使う習慣がなく、図書室を使っていたが現在は使用不可能。教授から送られてくる主にパワーポイントからなる動画を見るしかないが理解しにくい。実習の授業がないので将来どう影響するかを心配している」。
ストレスと解消法
「家族の前では普通だが、一人になると泣きたくなり毎晩泣いてしまう。ストレス解消に日記を書くようになった」、と武漢の劉さんはロックダウンの時を振り返る。一方、天津にいる王さんは、普段から家にいることが多いため、外出制限のストレスはあまりなかった。「スポーツアプリを使ってヨガや体操など、家の中で体を動かしていた」。
イギリスのAdamさんは、「友達と遊んだり、出かけたりといった娯楽やスポーツはぜんぜんしていない。ストレスを発散するために一人で散歩に行って叫んでみたりした。家族の前でストレスを感じていることを見せたくなかった」。韓国のキムさんも友達とほとんど会わない。たまに会う時には、広い店を選ぶか、山や海に出かける。「暖かくなってマスクがしんどい。バイト中もマスクをしているのでストレスがたまる」。キムさんのストレス発散法は、登山と散歩。
アメリカのXubo、Xuyuan兄弟も、大きなストレスを抱えていた。ロサンゼルスに住む兄のXuboさんは1月に卒業したばかり。秋にボストンで仕事することが決まっているが、コロナにより「この2、3カ月はストレスをすごく感じている」。YouTubeを見たり、週末にハイキングをしたりして気分を紛らわしているという。ニュージャージーに住む弟のXuyuanさんは秋から4年生になる。「夏のインターンシップがキャンセルになった」と、就職活動が思うように進まないことに強くストレスを感じている。ルームメイトとゲームしたり、喋ったりして気分転換する。最近、友達1人や2人とサッカーの練習も再開したが、「少人数で行うことを心がけている」。
外出制限が実施されていないサンパウロに住むGiovannaさんは「ストレスは感じない。コンピューターが近くにあるので仕事をしようと奮起している」。Fábioさんも「授業がない分プレッシャーが減り、以前より健康的な生活を取り戻せている」と感じている。サンパウロ大学のNathaliaさんは、大学が休校になった3月16日くらいから一度も友達と出かけていない。「家で筋トレして運動不足を補う。友人が、オンライン授業で長時間座りっぱなしでふくらはぎを痛めた」と話す。Nathaliaさんにとって家族や友人との会話がストレス解消の手段となっている。
「友人と遊ぶことや出かけることはしていない。家に誰かを呼ぶことが犯罪になる」とシンガポール在住のAmberさんは話す。また、大阪にいるシンガポール人留学生Kaoruさんは「友達とはZoomで話すようにしている」。オーストラリアのNaomiさんもオンラインで友達とお酒を飲んだり、映画を見たり、ゲームをしたりしてストレスを発散している。
ロシアのNikolaevnaさんは「最初は友達とZoomで集まっていたが、2週間経つとつまらなくなり、ひそかに友達の家に遊びに行った」と打ち明ける。プログラミングの勉強や料理に精を出す友人が多く、「ペットを飼い始めた友達は5人もいる」。
新たなチャレンジや発見
北京外国語大学の王さんは、以前に増して料理を自分で作ることに。「この期間で料理が得意になった。最近では料理を突き詰めるようにもなった」。
アメリカのXuboさんは、「料理だけではなく、髪も自分で切れるようになった」。一方弟のXuyuanさんは、「髪の毛は半年ほど切りに行けていないが、誰にも会わないから新しいヘアースタイルに挑戦するチャンスだと思っている」と、美容院に行けていないこともプラスに捉えている。兄と同じように、毎日料理を作るようになり、「新しい料理の作り方を習っている」。
オーストラリアのNaomiさんは「家族やパートナーとの時間が増えた」こと、ロシアのNikolaevnaさんは「家族が仲良しなので一緒に料理を作ったりする」ことをうれしく思っている。イギリスのEloiseさんは、久しぶりに実家で母と弟と暮らすことになった。「毎日の生活のルーティーンを保てるのがいいし、母とともにもっと色んなことをしたいと思う」。同級生のAdamさんは、普段ロンドンで一人暮らししている82歳の祖母のことを心配し、ロックダウンの際に自宅に招いた。「今までの人生で一番おばあちゃんとコミュニケーションをとれた時期になった。それが良かった」。
武漢にいる劉さんも、家族と一緒に会話やマージャンをしたり、ドラマを見たりするようになり、「家族の大切さを再確認した」。ブラジルのNathaliaさんは、「睡眠時間が増えたこと、家族との会話が増えたこと、普段通学にかかっていた3時間をほかに当てられること」が良かったと思っている。
他にも普段なら自宅でしなかったことをするようになった人もいる。サンパウロ大学のFábioさんは、いつもはジムでトレーニングをするがコロナでできなくなってしまった。「バンドグリップや5キロのダンベル、ゴムチューブを購入しました。これでトレーニングを頑張りたい」と話す。
「人生は短い。どうやって毎日を過ごしたいか」。武漢の劉さんにとって、コロナで自宅滞在が余儀なくされた期間は人生を考え直すきっかけになった。
将来への不安
新型コロナウイルスの流行が各国の経済に深刻な影響を及ぼしている。天津にいる王さんの両親は美容院を営んでいるが、自粛期間中仕事ができなかったため、経済面で不安だった。イギリスのEloiseさんは、「経済はとても不安で、母が経営する出版社も破産するのではないかという心配がある」。サンパウロ大学のFábioさんは「家の中は安全なので特に心配することはないが、コロナが経済に与える影響が心配だ」。
国・地域を問わず、学生たちは将来の進路について大きな不安を抱えている。6月に卒業したばかりのロシアのNikolaevnaさんは就活中。「日系企業に勤めていた先輩たちの中に、仕事をクビになっている人もいるため、自分の仕事が決まってもその先続けられるか心配」。フランクフルト大学のArianeさんも、「失業者も増えてきているので仕事が見つけられるか不安」。北京外国語大学2年生の王さんは「今年就職できなかった人が来年も就活をするため倍率が上がる」ことに不安を感じている。「就活がたいへんになるだろう」と話すサンパウロ大学薬学部2年生のNathaliaさんは、「大学院に進学することになったら、補助金が少なくなり生活費が困窮する」ことも予想している。
留学生たちにとって不確定要素がさらに増える。ワイオミング州パウエルのノースウェストカレッジに留学していた後藤さんは日本に帰ってきたが、「次の学期が始まる時にアメリカに戻れるかが心配」。ストックホルム大学の大学院を修了したばかりの松本さんは「以前働いたことのある大学の事務や、国際関係の職に就きたい。せっかくスウェーデン語を学んだので、スウェーデンで職に就きたいが、留学生が就職できるのか、かなり不安」と話す。
韓国・慶尚大学校3年生のキムさんは、交換留学生として日本に行く予定だったが行けなくなった。「当初、そのことにイライラした。学校の予定が変わり、分からないことが多いのが不安だった」。イギリスの名門大学で学ぶAdamさんは、「夏休みに卒論の研究(国立国会図書館)のために日本に行こうと思っていたのが行けなくなり、卒論が不安」と話す。また、「来学期もオンライン授業。質が落ちるにもかかわらず、いつも通りの学費なのが気になる」という。
ブラジルのGiovannaさんは、「死ぬのを怖がっていない人が多くいるように感じるが、自分は周りの人を失うのが怖い」。アメリカのXubo、Xuyuan兄弟は、感染者が一番多いニューヨークに住む祖父母のことを心配している。また、中国系アメリカ人として、今の米中関係について「心配しかない」。「トランプ大統領がいる限り米中関係が悪化すると思う。彼が変われば少し良くなる」と思う兄と、「他の人が大統領になっても米中関係は変わらない気がするが心配」という弟の意見で分かれた。
「世界が通常の生活になるにはしばらく時間がかかると思うから、将来どのようになるか不安はある」とオーストラリアのNaomiさんは言う。
コロナ終息後一番したいこと
新型コロナウイルスが終息したら一番にしたいことはなにか。「長いこと会えていないおばあちゃんに会いたい」と答えたのはブラジル、サンパウロ大学のGiovannaさん。同じくサンパウロ大学に在学するNathaliaさんは、自分と兄が通う大学に感染者が出たことや父が薬局勤めであることから、祖母への感染を案じた結果、一時的に別れて暮らすことにした。コロナが終息したら「早く祖母と一緒に暮らしたい」。そして、「昔のように出かけたい」。
イギリスのEloiseさんは「クラブに行きたい」。普段はあまり行かないが、今は「色んな人と密接な距離で踊るのが楽しみにしている」。もう一つ心待ちしているのは日本に行くこと。「卒業論文のため、今年の夏休みに行くつもりだったが、それができなくなったので、できれば来年行きたい」。
「音楽が大好きなのでまずコンサートに行きたい」とロシアのNikolaevnaさんは言う。「また、3月と8月に日本に行く予定がなくなったため、早く外国に行きたい」。
サンパウロ大学のFábioさんは「食べ放題に行きたい」。武漢にいる劉さんは、「大学に行きたい。友達と旅行したい」。オーストラリア・メルボルン在住のNaomiさんは、「7月下旬には女友達とロードトリップに行きたい」と話した。
7月中旬を過ぎ下旬に差し掛かろうとする今も、いまだ新型コロナが治まる気配はない。無事に終息し、平穏な暮らしに戻る日はいつ来るのだろうか。
コロナ後の生活は?
中国の王さん、韓国のキムさん、オーストラリアの Naomiさん、Suzukaさん、ドイツの永盛さんは、いずれも「元の生活に戻る」と思っている。ただし、永盛さんは、「ワクチンや治療法が見つからなければコロナとの共存の仕方を考えなくてはならなくなり、コロナの影響を受けている人たちが苦しくなる」と答える。Suzukaさんは、「オーストラリア人は危機感が薄いので、また流行するのではないか」と心配している。
コロナ後もマスクをつけるのが普通になると考えている人が多い。「新型コロナが流行する前はそんなにマスクをつけている人はいなかったが、今では全員がマスクしている」、と中国の苑さんは言う。大阪大学シンガポール人留学生のKaoruさんは、「マスクをし続ける気がする」という。一方、ドイツにいる中山さんは、「これからヨーロッパにもマスクが広まっていくと思う」。イギリスのAdamさんも、「状況が緩和する時には、疾患とか病気の流行に対して前より意識する人が増えると思うので、マスクをつける人が多くなると思う」。
ドイツのArianeさん、シンガポールのAmberさん、オーストラリアのNaomiさん、ブラジルのNathaliaさんは、「コロナ後も在宅ワークが増えそう」、「ホームオフィスが増える」、「オンライン中心にさまざまな制度が変わる」と思っている。ただし、Arianeさんは、「オンライン授業はなくなる」と思い、中国の王さんも「早く普通の授業に戻ってほしい」と願う。しかし、ブラジルのGiovannaさんは、「サンパウロ大学は規模の大きい大学なので、いつも学生同士の席が近い。この状況では到底再開することはできない」と思っている。
イギリスのEloiseさん、Adamさんは、コロナ後の生活はどうなるか分からないと答える。「正直、さっぱり分からない。たぶん学生でいる間あまり変わらないかな、と思う。不況のせいで仕事を見つけるのが難しくなると思うが、それ以外は分からない」。ブラジルのNathaliaさんは、「浮浪者が増える」と予測する。
「楽観的に思うことはできない」とアメリカのXuboさんは言う。「ずっとコロナが居続ける気がする。仕事や旅行など、飛行機に乗るのは1~2年は元に戻らない気がする」。弟のXuyuanさんは、「いつ終わるかも分からないし、何が変わるか分からない。普通の生活ができることを望んでいる」。
(*約半年後、Zoomインタビューした学生たちに再度メール取材した。)
春学期の取材を振り返って