Dragon_Eey
i さんに影響されて「オツベルと象」を購入した。真っ赤な「竜の眼」になった象さんを見るためだけに・・
前にはなしたあの象を、オツベルはすこしひどくし過ぎた。しかたがだんだんひどくなったから、象がなかなか笑わなくなった。時には赤い竜の眼をして、じっとこんなにオツベルを見おろすようになってきた。
ある晩象は象小屋で、三把の藁をたべながら、十日の月を仰ぎ見て、
「苦しいです。サンタマリア」と云ったということだ。
こいつを聞いたオツベルは、ことごと象につらくした。
ある晩、象は象小屋で、ふらふら倒れて地べたにすわり、藁もたべずに、十一日の月を見て、
「もう、さようなら、サンタマリア」とこう言った。
「おや、何だって? さよならだ?」月がにわかに象に訊く。
「ええ、さよならです。サンタマリア」
「竜の眼」になった象さん。そして「さよなら、サンタマリア」。宮沢賢治はずっと深いところで奄美大島と繋がってるのかもしれない。
16世紀のこと、奄美大島に上陸したヨーロッパ人が、エメラルドグリーンのサンゴ礁の輝く海と亜熱帯植物の生い茂る原始の森の美しさに感動し、この島を「サンタマリア島」と名付けたそうだ。そして今でも奄美大島の別称は「サンタマリア島」なのです。