ルリカケスの歌碑 @10
波穏やかな瀬戸内の
久慈の入江に佇めば
あの日幼き母さんの
おてんば姿が目に浮かぶ
辛いばかりが人生と
あなたを見てて思ったけれど
こんな素敵な島育ち
良かったね母さん
ルリカケス
ルリカケス
泣いて心が晴れました
永井龍雲の母は16才で奄美大島をはなれ、そして二度と故郷に帰ることなく龍雲が17才のときに亡くなった。
ルリカケスという鳥は奄美にしか生息しない固有種だ。奄美でしか生きることはできない。
龍雲の母はルリカケスだったのだろう。内地に巣立ったルリカケスは、生まれたわが子に自分の16年分の生を与え、そして1年後に亡くなった。そう、ルリカケスは奄美でしか生きることはできないのだ。魂だけになったルリカケスは、ようやく故郷の奄美大島に帰ることができたのだ。
母の死後10年以上たって、初めて龍雲は母の生まれ育った奄美大島の久慈を訪ねた。龍雲を待っていたのはもちろんルリカケスになった母だった。でも龍雲には母の姿はけっして見えない。久慈の浜を歩き森をさまよい、母の軌跡をたどり母をさがす龍雲。その頭上には見ることのできないルリカケスがいつまでも飛んでいた。
乙女十六島を出て
帰ることなく天国へ
夜毎幼き子供等に
教えてくれた島言葉
いつか大人になった時
あなたと訪ねてみたかった
苦労ばかりを背負わせて
ごめんね母さん
ルリカケス
ルリカケス
そばにいるよな気がします
明日は旅立つ名瀬の夜
唄者奏でる島唄に
思い重なる愛加那の
悲しい別れの物語
二度と逢えない切なさに
死ぬことばかり思ったけれど
こんな素敵な島の血を
ありがとう母さん
ルリカケス
ルリカケス
生きる勇気をありがとう
ルリカケス
ルリカケス
そばにいるよな気がします
作詞・作曲 永井龍雲