★我が理想の人生
新幹線ホームのベンチにたまたま空きがあり、これ幸いと座って新聞を読んでいた。
いま人気の『はやぶさ』はあと10分ぐらいかな。子供たちにも大人気だ。はやぶさが来るのを今か今かと待っている。ホームから身を乗り出す小学二年生ぐらいの男の子がいた。母親の注意も聞かずカメラ片手にはやぶさを待っている。やがて遠くから、かすかな破裂音が聞こえてくる。きたきた、はやぶさだ!
危ないよ、気を付けなさいという母親の声と同時に、子供がホームから落ちた。僕は瞬間的に立ち上がり線路に飛び降りた。はやぶさは猛スピードで近づいてくる。子供を抱えてすばやくホームに投げる。その瞬間、とてつもない大きな力に身体を激しく弾かれ、僕の脳内にはブルーやピンクの火花が飛び散り、身体が宙を飛んだ。そして僕は思った。これだ、この為に僕は生まれてきたんだ。バラバラになった身体を空中で眺めながら僕は深い満足感を味わっていた。