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スネゲアリで笑顔が増えた部活顧問の話
『スネゲアリ』、是即ち ”男性のスネ毛で作られたアリ” のことである。
(勝手にそれっぽく命名)
最近の若い男性は、脱毛してツルツルにしている人も多いので、
スネ毛でありんこが作れるなんて男女共に知らない人が多いかもしれない。
手のひらでスネ毛をくるくる力を入れて回すと、毛同士が所々絡まって
「ありんこ」のように見えるのだ。
私は、中学時代から「スネゲアリ作り」に興味はあったが、同級生のスネ毛では毛量が足りない気がしたので、試す機会に恵まれないままでいた。
高校生になって、私は中学時代と同じ「テニス部」に入部したのだが、
そこでスネゲアリ作りに最適なターゲットに出会う。
テニス部の顧問だ。50代のその顧問は、頑固オヤジという感じの見た目。
部員のほとんどは、顧問と気軽に話をすることはなかったが、
私には目的がある。その為には、仲良くなっておく必要があった。
地道な努力が実り、気軽に話ができるようになると、
見た目とは違って優しくて、たまにオヤジギャグなんかも言える面白い先生だということがわかった。
そして、夏休み。
学校で1泊する合宿が行われた時にチャンスが訪れた。
練習の合間の休憩時間、
三段ほどの階段の1番上に腰かけた短パン姿の顧問に声を掛けた。
「先生、ありんこ作らせてください。」
「ありんこ?」
「はい、先生のスネ毛でありんこ作ってみたいんです。」
「・・・いいけど。あれ痛いんだよなぁ。」
経験者だった。
私の横や後ろに集まってキャーキャー騒ぎながら見守る他の部員たち。
失敗は許されない。
くるくる くるくる くるくるくるくるくるくる
恐る恐る手を離して見ると、そこには4匹のアリが!
豊富すぎる毛量に対して「たった4匹か」と不満ではあったが、
たしかに私の手でスネゲアリが作り出されたのだ。
もう、みんなでどれくらい悲鳴をあげて、どれくらい笑い転げただろう。
先生も大笑いしていたから、それまで距離をとっていた部員も1人、2人と
「私も作りたい~!」と名乗り出たりして、大いに盛り上がったのだった。
それ以来、顧問と部員みんなの距離が縮まったように思う。
顧問にも笑顔が増えた。
スネゲアリよ、アリがとう!・・・って何この話(笑)
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