第8回 ベトナムのSELFWING V-KIDS幼稚園3度目のロックダウン!

ベトナムの新型コロナウイルスの累計の感染者数は、5月5日現在で2996人とのレポートが来た。5月5日の感染者数ではない。COVID-19の警戒が始まってから1年数か月たった現在までの累積数だ。

ベトナムはCOVID-19をコントロールし、今年もプラスの成長率が予測されている国だ。

何故か?

徹底した入国時の管理に始まり、1人でも市中感染がでたら即時に厳戒態勢を敷く。

入国は厳しく制限され、ビザの取得はとてもハードルが高い。到着後は2週間の隔離。

友人が体力維持のためにホテルの廊下を歩いていたら、なんと外から鍵をかけられてしまった・・・という徹底ぶりだ。

2週間で終わりではない。その後も2週間の行動計画を提出するなどそれぞれの対策を強く講じる。

賛否は当然ある。

しかし、4月末に当園の子供も保護者もマスク無で、それは楽しそうに「日本式運動会」を行っていた。リアルタイムで配信された運動会の様子は、コロナ前となんら変わりはなく、去年の数回にわたる幼稚園閉鎖がウソの様だった。

それからたった数日後、東京で自粛のGWを送っていたスマホが突然に鳴った。この音はベトナムの会社からだ。

「平井さん、ダナンに市中感染者が出て、夜中に教育期間を含め多くの施設をロックダウンするようにとの公文がでました。幼稚園も閉鎖です!」

一晩中、対応に追われていたらしい疲れが声からも容易に分かった。

「思わず、何人でたの?」と私。「感染者1人と濃厚接触者1人」とのこと。

はい、以上!である。

即時、幼稚園は閉鎖。当然ながら?補償など一切ない。いつ再開できるかもわからない。

これは事業の存続にも関わる大ごとであることには去年も今年も変わりはない。

しかし、もう一つ変わらないことがある。

それは当社ベトナムの人達の「起業家精神=アントレプレナーシップ」だ。

本人たちが、自分の起業家精神を意識しているかどうかは問題ではない。

とにかく、諦めない。ただ嘆かない。

保育士やスタッフは、現地のリーダーと相談をしながら自分達で最適な行動を判断する。

田舎に帰れる人は、田舎で待機。田舎には豊かな畑や田んぼがある。元気でいる限り、自然が助けてくれる。

しかし、去年もただ田舎で待機しているわけでは無かった。

幼稚園が閉鎖中は学費収入もない。しかし出費は待ってくれない。何度も言うが、補償は無いのだ。

それならば!と、あっという間にスタッフと保育士が協力して「臨時のショップ」を開店していた。

若い保育士は、野菜やおこわ、アヒルの卵などをオンラインで売った。オンラインが苦手な保育士は、リアルの店舗を開いた。

消毒液が不足していた。あるスタッフはダナン大学の医療大学にいって、消毒液を作ってもらった。それだけでも驚いたのに、それに「セルフウイング」とシールを貼ってなんと販売していた・・・

マスクも不足していた。ダナンの日本企業から寄付して頂いたマスクは全て病院や空港に寄付したとの事。

自分達は?と送られてきた写真をみると、なんとカラフルな手作りマスクをしていた。

当然このカラフルマスクも主力商品だったことは想像に難くない。

私は、というとただ、ただ日本にいて彼ら、彼女達の「生きる力」に驚き、感動していた。

そして、背中を押されていた。

「学びは止めない」 保育士とスタッフの奮闘。

もう一つ、2017年から推進しようと思っていた「オンライン教育」。

何度、説明しても納得してもらえなかった。

「ベトナムではまだ無理です」と言われ続けた。

しかし、幼稚園閉鎖になった昨年、彼女達のアクションは早かった。家から出ることができない園児たちのために、「オンライン幼稚園」を準備、実行した。

「学びを止めない」「他の幼稚園の子供達・保護者も見る事できる」という2つのミッションを掲げていた。手探りで始め、手作り感満載の動画だったが幼稚園閉鎖中のアクセス数はとても多くコロナ禍でも多くの園児の学びを継続させた。

そんな日々を過ごし漸く安心していた矢先に3度目の幼稚園閉鎖勧告だ。

そのニュースを聞いて、思わず電話口で絶句した。日本から何ができるのだろう。

私自身1年半以上、ベトナム・ダナンに戻っていない。

昨年を思い出した。コロナ禍だけではなかった。異常気象の台風に見舞われ、樹々も塀もふっとんだ。でも、私が敬愛してやまない「チームベトナム」は決して諦めなかった。

そして希望するすべての保育士、スタッフの雇用を自分達で守り抜いた。

今回の閉鎖もいつ解除かわからない。来週なのか、100日後なのか・・・。

2時間ほど前にPCを開いた。そこには、ベトナムのスタッフからのメールが届いていた。

昨年のオンライン幼稚園からさらにバージョンアップした「オンライン幼稚園の企画とTODO」のメールだった。今回も彼女達は逞しかった。

起業家精神・アントレプレナーシップをまた目の当たりにする事ができた。机上の空論ではない。嘆いていているより、今、私は日本にいて出来ることを精一杯やることだ。

後日談がある。あれほど抵抗?されていたオンラインだが、ここ1年以上に渡りベトナムのスタッフとは全てリモートワークだ。

そして彼女達は、保育士の研修も、日本とつないだ勉強会、保護者とのコミュニケ―ションもMicrosoft Teams for Edu.を駆使し粛々とそして着々と進めている。ただただ脱帽。


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