Part 9いじめのメカニズム、つまりイメージ形成過程なんですね。ただし、閉鎖的な。

 社会学は、基本、自己(うち)と他者(そと)の関係に始まります。「いじめ」を長々と書いてきましたが、調査結果はネットで色々引用されているので、ここでそのメカニズムを図示します。最初は僅かな個人的差異が、数人の同意で「あいつ、・・・だよね」みたいな感じで始まり、段々そのイメージがクラスの構成要員に共有され、今、奴と関わらない方が・・・という傍観者を増やしていく。教師や保護者の知らないうちに、その「いじめられっ子」のターゲットは、逃げ場を失う。「誰も助けてくれない」「いつか仕返しをしたい」と思いながら。最悪の場合、自殺に至る訳ですが、滋賀県の事例のように、教育長まで、県ぐるみで「いじめ」自殺を隠そうとするのが実態です。

「いじめのイメージ・ダイナミクス」モデル 
田中美子『いじめのメカニズム』(世界思想社,p.83,図4-5)

 ただ、私が思うのは「集団の結束に必要」「快楽だから」止められない、というのなら、いじめは絶対なくならない。だから、起こることを前提に、対応しましょう、と言いたいのです。ただし、最近は教師同士でもいじめがあることが、神戸市の学校の事例で解ってしまいましたね。つまり、子どもの世界だけの問題ではないってこと、です。
 私が試みたかったのは、社会システム論的なアプローチをしたかった、事例紹介で終わり出ない、理論的枠組みの実証を目指したのです。次回、この件のエピローグを書きます。

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