オススメの受診の仕方(マインド編)
医師だって普通の人間だ。
普段予約なしで来院可能な内科の外来診療をしていると
本当に様々な患者さんたちが訪れます。
多くの病院、クリニックでは最低でも
半日で20−30人、1日で40−60人は
診療していると思います。
これが週5回、最大3ヶ月おきに
来院してもらっていると考えると
すごい数の人と日々会ってお話ししている
ことになりますね😅
これだけ多くの人と日々出会っていると
冒頭にも書いたように、
医師だって普通の人間ですから、
患者さんたちの中でも
得意な人と苦手は人は当然出てきます。
しかも、僕を含め多くの医師は
割とコミュニケーションは得意ではない(^^;)
そもそも医学部に入るときに、
そのようなスキルを求められることは
決してないからです。
(多くの大学で面接はありますが、
企業面接のように様々な面を見ているような様子はなく
たぶん非常にマズい人だけ
選別する意味しかありません。
これが非常によくないとは思っています💦)
何が言いたいかというと、
もしあなたが
・これからその病院を初めて受診する
もしくは、
・新たな担当医に初めて会う
のであれば、
「医師は偉いわけでも
スーパーマンでもロボットでもなく、
自分と同じ"普通の"人間である」
というのは
ぜひ念頭においていただきたいのです。
というのも
同じ人間であることを念頭において
丁寧なコミュニケーションをとるように
心がけていれば、きっとあなたにとっての
メリットも大きいと思うからです。
人はどのような人に対して手を差し伸べたくなるのか?
例えば道端にけがをして困っている人が
2人いるとします。
ひとりは
「どうしてこの道は凸凹なんだ!
つまづいたおかげで膝を打ってしまったではないか!
なんとけしからん!
これでは孫の迎えにいけないではないか!
何とかしてくれ!」
とプンプンです。
もう一人は
「自分の不注意でつまづいてしまい膝を痛めてしまった。
これでは孫の迎えに行けずに困っています。
孫か娘に連絡するために手伝っていただけませんか?」
あなただったらどちらの人に
手を差し伸べようと思うでしょうか?
僕たち医師は
日々同じような感情を
抱きながら診療をしています。
同じ病気で同じ症状の人で
同じように困っていても
気持ち的にもまったく平等に扱う
というのは、よほどの聖人でもない限り
難しい
ことはわかっていただけると思います。
別にこびへつらう必要はないし、
恭しく接する必要もないですが、
人と人との信頼関係をまずは一緒に作り上げよう
という気持ちがある人とない人とは
話して1分くらいでわかってしまいます。
僕は聖人ではないので、
この初めの1分の印象で
当然その後の対応も
自然と変わってしまいます。
僕のことを信頼しようとしてくれている患者さんには
自分の持ちうる知識と経験を最大限に出して
健康面のアドバイスや検査や治療の提案をできますが、
初対面からいきなり不信感を前面に出して
質問攻めにされたりしたら、
萎縮して、不用意な発言は決してしないよう
最大限の注意を払って回答することに全力を注ぐでしょう。
そして、
無難な提案に終始し、リスクをとった提案や
質問以外の方法について多くは語らないでしょう。
もちろん医師側に問題があることは
十分承知しています。
日々多くの患者さんに接するのになれてしまって
尊大な態度をとる医師もいまだに多いことも
よくわかっているつもりです。
でも
これは病院受診だけの話でもないと思っています。
レストランに行ったときでも
ホテルや旅行先でも
コンビニに行った時でも
お互いに尊重して信頼関係を築こうとしなければ、
同じことが起きると思うのです。
僕たちは
聖人でも何でもない
"普通の人間"なのです。
気分や感情があって当然なのです。
ネットやSNSの功罪
今の時代、インターネットで自分の病気に対する
知識や、同様の病気に苦しんでいる方の体験談
SNSでの情報共有はもはや普通に行われていますし、
それ自体はとても良いことだと思います。
ただ、こういったメディアでは
どうしても偏った意見が注目を集めやすいせいか
・こんな医者には騙されるな!
・こんな嘘つきな医者には注意しろ!
・とんでも医学はすべて嘘っぱちだ!
など過激な表現や意見をあちこちで見かけます。
こういう記事や口コミを大量に浴びると
恐怖心や不信感が植え付けられるのは
仕方がないことだと思います。
でも、それを前面に出して
初対面の医師に接して
果たしてどれだけ意味があるのでしょうか?
これではまるで
「あなたのことはいっさい信用していないけど
私のことを丁重に扱って」
と言っているようなものです。
自分がそう言われてハイそうですかと
できますか?
僕は
自分の体の責任は自分で最終的には取るべき
だという考えなので、
医師はよいと考えることを提案はしても
強制はしない(できない)
と思っていますし、
患者をだまそうと思っている医師なんて
本当に稀だと思っています。
(知識や経験不足で力不足ということはあるかもしれませんが)
そもそもそんなことをしても
長期的に見て得することは何もありませんし、
僕の周囲には全然いないです。
人として医師と接し、信頼から始まる関係を築こう!
僕たち医師は
訴訟やクレームにビクビクしながら
日々診療をしています。
これにより、
医師自身の個人的な見解は無視され
ガイドラインに準拠した無難な提案に終始し
極端にリスクを恐れる医療が主流になっています。
これは医療レベルの底上げにはなっていますが、
一方で平均点以上のレベルの医療を受けにくい
ということにもつながっています。
そんな中でも
本当に自分のことを信頼してくれていると
感じることができれば、
医師が自分個人の意見も伝え、
患者本人の医師も尊重した上で、
本当にその人にベストな治療方針を
一緒に考えて行けるのではないかと
思います。
あなたが受ける医療レベルを上げられるかどうかは
あなたの振る舞いにも影響されるのです。
そのことをどうか忘れないでください。
きっと良いことがあります。
それでは、また。