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医師と患者の考える"いい先生"の違い(後編)

前回につづきます。

患者の考える"いい先生"


いっぽうで、患者さんの考える"いい先生"というのは様々です。

さきに書いたような
医師の考える"いい先生"の条件の中に当てはまるもの
も当然あると思いますが、
これに加えて患者さんの考える"いい先生"には
多くの場合、重要な条件というものが存在していると思います。

それは、
・私(患者さん自身)の話をきちんと聞いてくれる事
・高圧的でない事
・有名病院(大学病院含む)に属していること
・待ち時間があまりにも長くない事
です。

上2つに関しては、
「そんなの当たり前だえろ!!」
と言われそうですが、
僕たちの中では、実は"当たり前"ではなかったりします(汗)

僕たち医師全般に言えることとして
"コミュニケーションスキルを習得する機会が乏しい"
という重大な欠点があります。

ただでさえ、人間関係を構築するのに重要な思春期の大部分を
勉強に費やしてきたわけですから、無理もないと思っていただけると
うれしいのですが(自己弁護 ^^;)

問題は、その後もこのスキルを伸ばすチャンスはかなり少ない
ということ。
両親の教育方針や、学生時代のアルバイト、部活動などを通して
このスキルを体得している先生

もちろんいらっしゃいますが、
全体の割合としては高くない。

また、医師の外来業務は、見た目は"接客業"ぽいのですが、
当の本人たちにその感覚はほぼ皆無です。(クリニックの先生を除く)

それはなぜか?

入院業務や研究業務、学生や研修医への教育業務などで
多忙を極めている先生にとって
特に"自分が"呼び込んだわけでもない大量の患者さんを
なんのインセンティブもないのに
秒単位で診断、治療プランを立てていく

(仮に3時間の外来枠に30人の予約患者さんがいれば、
1人にかけられるのは"6分"しかありません)
のは、かなりハードな仕事です。

しかも、それで儲かるのは病院であって、その先生ではありません。
多くの病院では、ボーナスが増えることもありません。

加えて、当直業務の影響でしばしば寝不足です(^^;)

"いい給料もらっているんだから文句を言うな"
と言われればそれまでですが、

累進課税による税徴収
専門医を維持するのに必要な出費もかなり多く、
一番大変な職務をもつ
大規模な基幹病院や大学病院の先生の給与は、
世界的にみても、
その労働内容や労働時間で換算すると、
かなり低賃金
だと言われています。
(少なくとも十分もらっていると話す医師は少数です)

話が逸れてしまいましたが、
このような状況下で、菩薩のような笑みを浮かべ、
一人一人の患者さんの話をよく聞いて
親身になってアドバイスをするというのは
並大抵の人間にとっては難しいでしょう。

その中で、高圧的な態度になってしまう先生も
残念ながらいらっしゃいます。

また、
知識や経験が豊富で、
菩薩のような笑みを浮かべ
患者さんの話をよく聞いくれる
人間離れした先生
何人か知っていますが、
その先生たちの外来待ち時間は、
最大4時間などザラにありました(汗)

要するに
医師と患者の思う"いい先生"
の条件をすべて満たす先生なんて
日本中探しても滅多にいない
ということです(^^;)

僕は、分単位、秒単位で
ろくに話も聞く余裕もない外来診療を
何年も続けるうちに、
「これは僕がやりたい医療じゃない」
と強く感じたのも、
フリーランスに転向した一因です。

その時の僕は、
やっぱり相当イライラしていたし、高圧的だったなと、
いまなら客観視できます。

おかげで、
今はある程度余裕を持って
患者さんの話を聞いたり、
生活背景を聴きながらアドバイスしたりできるようになり、
とても充実しています。
(病院というブランドはなくなりましたが)

ということで今回は
医師と患者の"いい先生"の定義は
結構違うというお話しでした。

皆さんはどんな先生に診てもらいたいでしょうか?
"いい先生"の定義ってなんでしょうか?

次回は自分にとって
"いい先生"を見つけるヒントを
考えていきたいと思います。

それでは、また。

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