パーキンソン病の鑑別疾患とは
パーキンソン病の診断、治療について述べてきましたが、非常に鑑別に悩むことも多く、主に検査についてまとめたいと思います。
パーキンソン病の概要については以下の通りです。
パーキンソン病の概要|Dr. タワマン (note.com)
診断基準を再掲しますが、おそらく脳神経内科医は診断基準に準拠する、というよりは「パーキンソニズムを認め、パーキンソン病らしい病歴、診察所見を探しに行く」というスタンスになることが多いと思います。
そのため、パーキンソン病と類縁疾患の鑑別が困難なことが少なくありません。
ほとんどが病歴と身体所見で完結するのですが、補助的に検査を用いますので、解説します。
まずは頭部MRIですが、パーキンソン病では正常所見となります。
Hot-cross bun signや被殻縁の萎縮、脳幹の萎縮、第4脳室の萎縮などがあれば多系統萎縮症など類縁疾患を想起します。
多系統萎縮症(Multiple System Atrophy; MSA)については下記にまとめてみました。
もちろん画像ではなく、病歴(特に経過のスピードが速い)が大事なのですが、補助的な位置づけで行います。
また進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy; PSP)との鑑別にMRPIという指標があります。正確に数値を求めるのは難しいのですが、中脳被蓋の萎縮、上小脳脚の萎縮を定量化して求めます。
核医学検査では主にDaTSCANと心筋MIBGシンチグラフィーがあります。意見が分かれるところですが、個人的にはパーキンソン病の確認の目的でいえば、心筋MIBGシンチグラフィーを用いますが、患者さんへの説明のためにはわかりやすいDaTSCANを撮像することもあります。
その他の検査ではCVR-RやTilt試験などがありますが、Tilt試験は起立性低血圧の病歴が聞ければあえて実施しなくてもいいかもしれません。
入院中であれば数回は残尿を測定して、MSAの可能性がないか考えます。
以上がパーキンソン病の検査となります。
外来診療でも比較的遭遇することの多い疾患ではありますが、「パーキンソン病」と確信を持ったとして、L-dopaによく反応しても5年は経過を見ないとわからない、と伝えるのを心がけています(初診でいきなり伝えるのではなく、何回かお会いして関係が築いた頃にしています)。
最後までご覧いただきありがとうございました。