Dr. タワマン

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第118回医師国家試験神経ブロック解説【A問題】

まずは受験生のみなさん、お疲れ様でした。この先これ以上の長い休みは定年までないでしょうから、思う存分遊んでください。私自身が国家試験を受けたのは8年前ですが、毎年この時期は懐かしく感じます。 少し余裕があれば神経ブロックの解説を作成しましたので、来年度以降の受験生、内科専門医試験の受験生にお役立ていただければ幸いです。 総評(神経ブロック) 内科専門医・神経内科専門医試験の勉強を直近までしていた身としては、国試は基本的な知識を忠実に覚えていれば溶けない問題は少ないと感じる。

    • パーキンソン病の鑑別疾患とは

      パーキンソン病の診断、治療について述べてきましたが、非常に鑑別に悩むことも多く、主に検査についてまとめたいと思います。 パーキンソン病の概要については以下の通りです。 パーキンソン病の概要|Dr. タワマン (note.com) 診断基準を再掲しますが、おそらく脳神経内科医は診断基準に準拠する、というよりは「パーキンソニズムを認め、パーキンソン病らしい病歴、診察所見を探しに行く」というスタンスになることが多いと思います。 そのため、パーキンソン病と類縁疾患の鑑別が困難なこと

      • 神経内科専門医試験対策(特に二次試験)

        毎年10-11月は神経内科専門医試験の日程であり、私が受験した第48回は、 一次試験(筆記試験;必修100題、一般+臨床100題) 二次試験(対面での面接;神経診察と症例レポートに関する口頭試問) でした。 一次試験についてはこの時期(9月末)ではほとんどの方は対策が終盤に差し掛かっていると思うので、精神安定剤的な話をしようと思います。 ★一次試験について 一次試験について私から言えることは、 「直近の過去問3年分をくまなくやればまず合格間違いなし!」です。 過去問集である

        • 第51回総合内科専門医試験 神経ブロック解説

          前回第3回内科専門医試験の解説を行いました。難易度としてはほぼ同じくらいだと思います。思考力というよりは知識を問う問題が多い印象でした。 総合内科専門医(新内科専門医)勉強会オープンチャットhttps://line.me/ti/g2/7VAcgzB7VwwSqHg6TxcRJj4txzPDDASDfLDQXg?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default こちらより引用させていただき、神経ブ

          重症筋無力症の概要

          市中病院でも比較的出会うことのある疾患です。 第3回内科専門医試験では問われなかったので、来年は問われるかもしれません。本日は概要についてのみ説明し、治療とトピック(神経内科専門医試験向け)については後日述べることにします。 自己免疫的機序により、神経筋接合部のAChRに対する抗体が産生されることにより、筋無力症状が出現する疾患です。抗MuSK抗体がMuSKに結合するとAChRを減らしたり、ブロックする作用があります。抗LRP4抗体も発見されていますが、現在のところはcon

          重症筋無力症の概要

          群発頭痛って何だ?

          少し投稿が開いてしまいました。。。 本日は片頭痛よりもさらに重度な頭痛である群発頭痛について述べたいと思います。 稀な疾患ですが、非常にQOLを落とす疾患ですので一緒に勉強していきましょう。 群発頭痛は片頭痛と違って男性に多い病気です。頭痛発作の際には非常に重度であり、自殺を考えるほどの頭痛と言われています。決まった期間・時間に多く、夜間に多いとされています。 国際頭痛分類第3版では以下の通り診断します。一側性であること、持続時間が15~180分であることが特徴であり、し

          群発頭痛って何だ?

          【神経疾患論文紹介】65歳以上の片頭痛患者に対するCGRP関連抗体製剤の有用性と安全性

          片頭痛は若年層で発症しますが、長く罹患している患者さんも少なくなく、高齢者に対するCGRP関連抗体製剤の有用性と安全性について検討した論文について紹介します。 The Journal of Headache and Pain volume 24, Article number: 63 (2023) 既報告の通り65歳以上でもかなり有効であることが示されています。 Discussionですが、一例でフレマネズマブ投与1・2回目で高血圧クリーゼを発症し、中断した症例があるよ

          【神経疾患論文紹介】65歳以上の片頭痛患者に対するCGRP関連抗体製剤の有用性と安全性

          ギランバレー症候群の治療は?

          第3回内科専門医試験でも問われたギランバレー症候群の治療についてです。 前回までで概要と検査についてご説明しました。 Guillain-Barré症候群って?|Dr. タワマン (note.com) ギランバレー症候群の検査は何があるか?|Dr. タワマン (note.com) 治療は①免疫グロブリン療法と②血液浄化療法の2つになります。 その他自律神経障害(頻脈・血圧の乱高下・麻痺性イレウス)や血栓予防に注意します。 基本的にギランバレー症候群と診断すれば治療は行います

          ギランバレー症候群の治療は?

          ギランバレー症候群の検査は何があるか?

          前回はギランバレー症候群の概要についてお話ししました。 Guillain-Barré症候群って?|Dr. タワマン (note.com) 病歴・神経診察だけでは非常に診断が難しく、検査も必要となってきますので、そのご紹介となります。 まずは電気生理学的検査であり、その中心は神経伝導検査となります。 診断の補助や病型の決定に重要となります。 前回病型について脱髄型と軸索型があることをお伝えしました。 その鑑別には様々な基準がありますが、古典的なものではHoの基準があります。

          ギランバレー症候群の検査は何があるか?

          Guillain-Barré症候群って?

          第3回内科専門医試験でも登場したGuillain-Barré症候群の概要について説明します。 非常に診断が難しく、いつも疑心暗鬼になりながら診療しています。 ガイドライン2013による臨床像は下記のとおりです。 左右対称性に運動障害・感覚障害を起こすとなっておりますが、非対称性であることも少なくありません。試験では原則左右対称性でよいと思います。 病態ですが病原微生物との交差抗原によって産生された抗体が末梢神経の髄鞘や軸索に作用することで、末梢神経障害を起こすとされていま

          Guillain-Barré症候群って?

          L-dopa以外には何があるの?

          前回はパーキンソン病治療の中心であるL-dopaについてお話ししました。 脳神経内科医はパーキンソン病治療をどうやって始めているのか?|Dr. タワマン (note.com) 今回はそれ以外の治療薬についてみていきます。 ドパミンアゴニストについては第3回内科専門医試験にも出題されております。脳神経内科の専攻医はその使い分けについて参考になれば幸いです。 前回も述べました私のパーキンソン病治療の全てになります。色々な先生に聞いた最大公約数となっております。 まずはMAO-

          L-dopa以外には何があるの?

          第3回内科専門医試験 神経ブロック解説

          私は第2回を受験しましたが、今年も神経ブロックは難しかったようです。 総合内科専門医(新内科専門医)勉強会オープンチャットhttps://line.me/ti/g2/7VAcgzB7VwwSqHg6TxcRJj4txzPDDASDfLDQXg?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default こちらより引用させていただき、神経ブロックの解説を作成しました。ご意見等はメールいただければ幸いです。

          第3回内科専門医試験 神経ブロック解説

          脳神経内科医はパーキンソン病治療をどうやって始めているのか?

          前回はパーキンソン病の概要について述べました。 パーキンソン病の概要|Dr. タワマン (note.com) 今回はパーキンソン病患者さんにどうやって治療を始めているか書いてみました。主に治療の中心になるL-dopaについてです。 パーキンソン病の治療薬は非常に多岐にわたり、私自身も全部は使ったことはありません。次回と合わせて主要な薬は網羅できるようにしています。 パーキンソン病と診断したらまずL-dopaを少量から内服させて忍容性を確かめてから300mgくらいまで増量さ

          脳神経内科医はパーキンソン病治療をどうやって始めているのか?

          パーキンソン病の概要

          先日第3回内科専門医試験が行われ、神経領域が難しく感じたようです。 私は昨年の第2回を受験しておりますが、試験となると必ずしも実臨床とは異なるセッティングにならざるを得ません。 内科専門医試験対策にもなるような話題を提供できればと思います。 神経内科専門医を受験する先生にも有益な情報になるように心がけたいと思います。 パーキンソン病はアルツハイマー型認知症に次いで多い神経変性疾患であり、中脳黒質の神経細胞脱落(神経内科専門医試験では橋青斑核・延髄迷走神経背側とその脱落の順

          パーキンソン病の概要

          片頭痛の予防は毎日お薬を飲むの?

          今回は片頭痛の予防療法(内服薬)についてお話します。 片頭痛の急性期治療薬については下記をご覧ください。 片頭痛が起こったときどうする?|Dr. タワマン (note.com) 片頭痛の薬には急性期治療薬と予防薬があり、今回は右側についてお話します。 CGRP関連抗体製剤については以前こちらでお話ししております。 片頭痛の新しい薬:CGRP関連抗体製剤って何?|Dr. タワマン (note.com) 片頭痛の予防療法は月に2回または3日以上頭痛が出現するときは予防療法を

          片頭痛の予防は毎日お薬を飲むの?

          【神経疾患論文紹介】フレマネズマブの長期有用性

          以前CGRP関連抗体製剤についてまとめたのですが(片頭痛の新しい薬:CGRP関連抗体製剤って何?|Dr. タワマン (note.com))、その一つであるフレマネズマブ(アジョビ🄬)についての最新論文となります。 The Journal of Headache and Pain Piero B, et al. J Headache Pain. 2023 Mar 3; 24(1): 30. イタリア10州の頭痛センター28施設でフレマネズマブを用いて24週間治療を受けた14

          【神経疾患論文紹介】フレマネズマブの長期有用性