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御膳立てが当たり前!? 医師ライターの「ダメパターン」

m3.comで掲載された執筆記事を公開します。医師の方は下記URLからお読みください。
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こんにちは、Dr.心拍と申します。普段は勤務医として働いていますが、時間外や休日の隙間時間を生かして「ライター」としても活動しています。
 この連載では、医師として勤務しながらどのようにライターとして活動するに至ったか、どんな苦労ややりがいがあるのかなどを、読者の皆様に共有させていただきます。医師の副業として「ライターもありかも?」と思ってもらえたら幸いです。

 前回は普段勤務医として働く私が「ライター」として収入増に成功した秘訣についてお話ししました。

 今回は実際にライターとして活動し始めて実感した、医師ライターの「ダメパターン」についてお伝えします。

需要が増す医師ライター、背景は

 情報の正確性が特にもとめられる医療分野。ネットでもいい加減な情報流布に対し、社会の厳しい目が向けられるようになり、加えてコロナ禍もあり、正しい情報を発信できる医師ライターの需要が増加しています。

 そして、そうした需要の高まりを受けてか、医師ライターとして活動する方が増えてきたように感じます。クラウドソーシングの案件応募などを見ていても、多数の医師が1つの案件に応募しているのをよく見ます。しかし、どんどん依頼がくる医師と、始めたけれどさっぱり…という医師が存在します。それではうまくいかない医師はなぜダメなのでしょうか。

なぜ?依頼が来ない医師ライター

 私が考える、よくあるダメなパターンを3つに分けてご紹介したいと思います。

 ■ダメパターン1:周りが御膳立てしてくれるのが当たり前という姿勢
 医師は多忙なため、周囲の人にいつの間にかしてもらっていることが多いと思います。処置をする際の準備や患者さんやその家族の方への病状説明のセッティングなど、おそらく本業においては周りがいろいろと御膳立てをしてくれて、「さあ、先生お願いします」という状況が多いのではないかと思います。

 しかしながら副業としてライター活動するにあたり、周りがやってくれて当たり前のような姿勢は歓迎されません。もちろん変にへりくだる必要はないのですが、時には下調べをしたり、執筆ネタを企画したり、原稿を書くにあたって必要な準備を自分ですることも必要です。

 さらに、前回の記事でもお話しましたが、クライアントのニーズを引き出してあげるとクライアントの負担軽減になり、また依頼にもつながります。
 丁寧に接し、細やかな配慮ができる医師の方がお仕事を一緒にしたくなりますよね。

 ■ダメパターン2:専門用語を多用する
 医療従事者はついつい普段から専門用語を用いて会話することが多いため、自然と専門用語を多用しがちです。患者さんへの病状説明の際にも、いかに専門用語を使わずにかみ砕いて説明するのが難しいのと同様、記事執筆においてもやはり一般の方がわかるように文章を書く必要があります。

 実は普段からこういう視点で考えていると、自然と患者さんへの説明も上手になります。ライターとして活動し始めてから言葉の表現や単語の選択を意識するようになったため、以前よりは心なしか患者さんへの説明が上手になったような気がします。読者の立場になって考えることが大切ですね。

 ■ダメパターン3:メールにおけるマナー違反
 読者の皆さんも、業務などでメールを使うことは多いかと思います。ついついメールを返し忘れてしまうことはありませんか?メールの文面は一般的なマナーに基づいた文章になっていますか?

 例えば、ビジネスシーンにおける「了解しました」はクライアントや目上の方に使用すると失礼に感じられることもあるでしょう。基本的には「かしこまりました」、あるいは「承知致しました」を使用するようにしています。

 言葉を仕事にするライターだからこそ一つ一つの単語、文章に気遣いができ、クライアントの方と気持ちよくお仕事ができるよう常識的なふるまいを心掛けたいですね。

人気ライターが実践していることは?

 医師は、どうしても本業の立場に固執しがちで、社会人として振る舞うことに慣れていないのですよね。そうした医師ならでは?の背景が、上記のよくあるダメパターンと関係しているように思います。

 私が知る人気ライターの方を見ていると、必ず皆さん、クライアントとのホウレンソウがしっかりできています。報告・連絡・相談ですね。しっかりコミュニケーションを取ることで仕事を進めるにあたりストレスが減ります。執筆後に依頼事項と違っていた、納期が間近なのに連絡がない、クライアントから催促の連絡をしなければならない、そんなライターとはお付き合いしたくなくなりますよね。

 基本的なことですが、医師ライターを見ていてこれを実践できている人はかなり少ない印象です。ですから意識的にホウレンソウを徹底しましょう。それだけでお仕事の幅は増えるはずです。

まとめと次回予告

 さて今回は、医師ライターとしてのダメパターンをご紹介しました。ぜひ参考にしていただき、売れっ子ライターを目指してほしいです。大切なのはホウレンソウです!

 次回は、ライターとして長く続けるためのコツやSNS発信における注意点についてお話しますので楽しみにしていてくださいね。

【著者プロフィール】
Dr.心拍 解析・文 (Twitter: @dr_shinpaku)
https://twitter.com/dr_shinpaku
呼吸器内科の勤務医として喘息やCOPD、肺がんから感染症まで地域の基幹病院で幅広く診療している。最近は、医師の働き方改革という名ばかりの施策に不安を抱え、多様化する医師のキャリア形成に関する発信と活動を行っている。また、運営側として関わる一般社団法人 正しい知識を広める会 (tadashiiiryou.or.jp)の医師200名と連携しながら、臨床現場の知見や課題感を生かしてヘルスケアビジネスに取り組んでいる。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆を行うだけでなく、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザーも行う。また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行い、事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。

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