患者さんのDisease/illness/Health
今、自分の大切な人が、急遽病院に行くことになったら、入院することになったら
どんな気持ちになるでしょう
「その時、歴史が動いた!」のようなとてつもないイベントを感じることになるでしょう
医療者としては、普段から業務として患者をみているため、当たり前のようになってきてしまい、麻痺してしまうのです
ただその患者さん自身や、それを取り囲む家族・コミュニティでは
ガラッと大きな物語が始まるはずです
患者さんによっては、これまで通りの暮らしに戻れることもあれば、新たな薬が始まったり、ADLが変わったり、症状と付き合っていかなくてはならなくなり、それをサポートする人たちが必要となって、生活が激変することもありえます
(病院受診や入院が、それまでの生活人生を一変させることであり、事実を恐れて行かないこともあるでしょう)
常に病気というのは、生活人生と隣り合わせであり、その人・周辺の1ページに関わってきます
原因精査治療が優先されてしまいますが、
ふと、患者さんが抱えた疾患や症状についてどう感じているのか、どのように歴史が動いたのかを聞いたことがありますか?
〜とある病院のマッチング試験、小論文問題です〜
研修医「調べた結果、AさんのめまいはBPPVという病気でした」
Aさん「私はなんでこんな病気になってしまったのかしら」
研修医「これは耳の中にある石が、本来とは別の場所に移動してしまうからです」
Aさん「はぁ・・・」
Aさんはポカンとしてしまいました
なんでポカンとしたのかわかりますか?
試験の模範回答はわかりませんが、
これは、BPPVという病気diseaseを患った患者さんが、スピリチュアルな気持ちになったときに
どのような心境になったのかを聞けるかが鍵だったのだと思います
疾患に対するその人の心境や体験のことを、病い体験illnessと言います
「こんなことになって、疲れ過ぎなのかしらね」
「最近寝不足だったから」
「そろそろ介護がきつくなってきた...」
一方で「休めってことなんだな」「自分の身体を見直せるよい機会になった」というようにポジティブに切り替えられることもあります
スキルとしては FIFE・かきかえと言って
Feelings(感情:今どう感じているのか)
Ideas(解釈:自分の病気についてどう考えているのか)
Functions(影響:問題がどう生活に影響しているのか)
Expectations(期待:医師や病院に期待することはなにか)
を聞くことが大事です
そしてそもそもその人が、「健康 Health」というものをどう捉えているのか、今後どのような人生を送りたいと思っているのか
meaning(意味:あなたにとっての健康とはなんですか?)
aspiration(目標:あなたにとって健康の目標や希望はありますか?)
も聞いてみると
「その人」が今抱えている疾患diseaseと病い体験 illnessがよりイメージされてくると思います
また肺炎で入院だよ〜
と思っても、その人が肺炎を患ってどう感じているのか、どのような意味をもたらしたのか、それによって家族や周辺はどう動き出したのか、そもそもどんな人生と生活を送って生きてきたの?
きっと「肺炎」ではなくて、「肺炎を患ったその人」をみることができると思います
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