豆による気道閉塞
もうすぐ節分ですね。
風習として年の数だけ、豆を食べるといったものがあります。
学校給食でも豆に関したものが出ていた気がします。
豆を摂取する際に気を付けたいのが、気道閉塞です。
今回は豆による気道閉塞に関して扱います。
異物誤飲、窒息時の対応に関しては以前の記事を参照ください。
ハイライト
何故豆で気道閉塞になるのか?
異物による気道閉塞(FBAO)の発生率は10万人あたり0.66人と推定されています(Acta Otorhinolaryngol Ital. 2010;30:27-32)。日本では6年間(H26-R1年)で14歳以下の小児で80名が食品による窒息で亡くなっています(厚生労働省.人口動態統計)。
気道閉塞が起こりやすい原因としては、3つほど考えられます。
まず小児では咀嚼する力が未発達ため、うまく噛んで小さくできないことがあげられます。特に丸く表面が滑らかなものは、そのまま飲み込んでしまい窒息しやすくなります。
2つ目に食事中に行動してしまうことがあげられます。落ち着かずに歩き回ってしまったり、一度にたくさん口に含んでしまったりすると窒息のリスクが上がります。
3つ目に豆類は水分を含むと膨張し大きくなることで詰まりやすくなるとも言われます。
豆による閉塞は窒息を起こし致命的になったり、入り込んだ気管やその周囲で肺炎を起こしたりします。
予防するにはどうすればいい?
小児において豆類が窒息しやすいことは前述のとおりです。ではどのように予防していけばよいでしょうか?
消費者庁のHPでは、5歳以下の小児ではナッツや豆類は食べさせないように注意喚起しています。特に節分の豆撒きに関しては、投げた豆を誤って小児が食べてしまう可能性があるため、個包装された豆を使うように提案しています。
ほかにもよく噛んで食べる、食べることに集中する、食べたことを確認してから食べさせることが提案されています。
補足:節分で豆が使われるのは?
節分は本来、季節の変わり目である立春、立夏、立秋、立冬の前日を指します。その中で旧暦の正月にあたる立春が注目されるようになったようです。
豆まきに関しては中国の追儺(ついな)が起源と言われています。これは疫病の象徴である鬼を追い払うというものです。当初は桃の弓や鼓を使っていたようですが、室町時代には豆をまくようになったと伝わっています。一説では「魔を滅する」というところから豆(まめ)が使われるようになったとされます。
最後に
今回は豆による気道閉塞に関してまとめてみました。
予防法をあらかじめ知っておくことで、不慮の事故がないように気をつけていきましょう。
PS:サムネイルはChatGPTに「節分」と入れたら作ってくれました。
鬼が豆投げる側なのか、とツッコんでしまいました。
参考文献:
・消費者庁.”食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで―”.2021-01-20.(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_047/)
・公益社団法人 日本小児科学会. ”〜食品による窒息 子どもを守るためにできること〜”.2023-12.10.
(https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123)