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山梨県の地震 1

こんにちは。

とっても難しくて、やっと山梨県の最初の記事を出します。今回の目玉は、山梨県富士五湖を震源とする地震についてのオリジナルなセクションです


はじめに、政府地震本部の情報から

概要


山梨県に被害を及ぼす地震は、主に相模、駿河、南海トラフ沿いで発生する海溝型巨大地震と、陸域の浅い場所で発生する地震です

山梨県とその周辺の主な被害地震 政府地震本部


山梨県富士五湖を震源とする地震について

2024年になってから、山梨県富士五湖を震源とする地震が10回ありました。そのうち8回は山梨県南都留郡道志村下中山を震央とする地震で、直近は2024年09月23日 06時28分頃のマグニチュード2.8、最大のものは2024年02月03日 15時09分頃に発生したマグニチュード4.3で最大震度は富士吉田市大月市富士河口湖町の震度3でした
🟢 山梨県富士五湖は相模トラフおよび南海トラフ地震の震源域に入りません
🟢 また、現在明らかとされている活断層セグメントに含まれません
🟡 富士山噴火との関連性は次号をお待ちください
✅ これらの地震は、プレート運動に伴う圧縮によって日本列島の地盤がずれて逆断層が生じたものと考えられています

地震の種類と発生確率

山梨県の活断層


この記事で紹介する断層は扇山活動セグメント、糸魚川−静岡構造線断層帯南部、白州活動セグメントです。資料として位置確認等にご利用ください

072-01おうぎやま扇山活動セグメント

所属起震断層名 : 扇山起震断層
山梨県東部をほぼ東西方向に延びる北側隆起の逆断層.断層位置は活断層研究会(1991),中田・今泉(2002)による
断層は、長さ20kmの逆断層で、平均変異速度 0.1m/千年です

*用語:起震断層
起震断層とは,一つの大地震に対応する 単位の活断層(群),と定義されている(松田, 1990).

糸魚川−静岡構造線断層帯

糸魚川−静岡構造線断層帯は、長野県北部から諏訪湖付近を経由して山梨県南部にかけて延びる活断層帯です

詳しく 糸魚川−静岡構造線断層帯は、北は長野県北安曇(きたあづみ)郡小谷(おたり)村付近から姫川に沿って南下し、白馬(はくば)村、大町市、池田町、松川村、安曇野(あづみの)市、松本市、塩尻市、岡谷(おかや)市を経由して、下諏訪(しもすわ)町、諏訪市、茅野(ちの)市、富士見町(ふじみまち)、山梨県北杜(ほくと)市、韮崎(にらさき)市、南アルプス市、甲斐(かい)市、西八代(にしやつしろ)郡市川三郷(いちかわみさと)町、南巨摩(みなみこま)郡富士川(ふじかわ)町を通り、概ね富士川沿いに南下して早川(はやかわ)町付近に至る、緩いS字を描いて北北西−南南東方向に延びる長さ約158kmの断層帯です

<過去の活動>
 南部(白州−富士見山)区間では、最新活動時期は約2千5百年前以降、約1千4百年前以前と推定されます。平均的な活動間隔は4千6百年−6千7百年程度と推定されます。平均的な左横ずれの速度は1m/千年程度と推定されます
<将来の活動>
南部(白州−富士見山)区間全体が1つの活動区間として活動する場合、M7.6程度の地震が発生する可能性があります。このとき、断層近傍の地表面では、断層の西側が東側に対して相対的に3m程度高まる段差や撓みが生じると推定されます。
 将来の地震発生確率には幅がありますが、その最大値をとると、南部区間以外の3区間は、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では高いグループに、南部区間はやや高いグループに属することになります。
 本断層帯の各区間はそれぞれ別々に活動すると推定されますが、複数区間が同時に活動する可能性も否定できません。その場合にはM7.8~8.1程度の地震が発生する可能性がもあります。この場合の地震発生確率を求めることはできませんが、各区間が単独で活動する確率より大きくなることはないと考えられます

データ:山梨県に位置する南部(白州-富士見山)区間で、 遠田ほか(2000)による下円井断層の戸沢地点にてトレンチ調査が実施された。結果は、最新活動の1回変位量として、3m程度の上下変位量とされました
(下図 5-3、図 5-4)

図5-3 南部(白州-富士見山)区間(白州断層、鳳凰山断層)の平均変位速度分布(上下) (文部科学省研究開発局ほか,2010)。 赤枠は評価に用いられたデータを示す
図5-4 南部(白州-富士見山)区間(下円井断層、市之瀬断層群)の平均変位速度分布(上 下)(文部科学省研究開発局ほか,2010)。 赤枠は評価に用いられたデータを示す

過去の地震歴を見ると (下図6-1、6-2) 、白州断層では2回イベントが起きたことがある

図6ー1. イベントダイアグラム
図6-2 本断層帯の最近約1万2千年間の地震イベントの解釈図(黄矩形)

白州断層 韮崎改訂版

本図における白州断層は隣接する「茅野 改訂版」図郭と接する図郭の北端 から北杜市白州町大坊 だいぼう まで、山地と低地の境界付近を北北西-南南東方向に 延びる長さ約 7km の、全体的に屈曲に富み、大局的には縦ずれ※の変位、一 部に活撓曲※や傾動(隆起により地表が傾く運動)を伴う活断層です。 断層の南端部は、東側と西側の性質の異なる 2 条の断層に分かれていま す

国土地理院


084-08はくしゅう白州活動セグメント

上記の糸-静構造線断層帯南部と重複します。産総研のデータです
三浦大助2004 の知見を追加しました

所属起震断層名 : 糸静線起震断層

山梨県西部を北北西-南南東方向に延びる断層。詳しくは、長野県富士見町と山梨県小淵沢町の境界部である国界橋南方から,山梨県白州町横手地区付近まで,北北西-南南東走向で分布する. 長さ17km
逆断層と考えられていたが,横ずれ成分を含む斜めすべりの断層形態を示す (三浦, 2004)
地形・地質学的には、全長 8 km 程度に渡り断続的に断層崖が連なっている(澤, 1985; 小山, 1988).
大坊地区で行われた トレンチ調査によれば(遠田ほか, 2000)、トレンチ壁面には低角の逆断層が出現しており、反射法探査の結果と調和的である.
最新活動時期は 1695 ~ 2720 cal y BP, 1 回前の活動時期は 7325 ~ 8360 cal y BP である (三浦, 2004)
平均変異速度 0.6m/千年です
1 回前の活動時期は、大坊地点(北東 250 m)の最 新活動時期 6650 ~ 7000 cal y BP と近接しており、両地点の断層群が連動した可能性がある
また、最新活動・ 1 回前の活動ともに、7 km 東に分布する下円井断層北部戸 沢地点の過去 2 回の活動時期と非常に良く一致するので、最新活動・ 1 回前の過去 2 回の活動は、白州 断層と下円井断層が連動した可能性が示唆される
最新活動までの活動間隔は、東西両断層合算で 3930~ 6665 年(中央値 5305 年)と推定される.この活動間 隔も下円井断層の活動間隔(平均約 5000 年;遠田ほか, 2000)とほぼ等しい.
横手地点単独では,1 回前の活動から最新活動まで の鉛直の平均変位速度が 0.4-0.6 mm/yr である。これに大 坊地点の結果を合算すると 0.4-0.8 mm/yr となる。また、堆積物の対比から求めた場合、1.0-1.8 mm/yr の鉛直平均変位速度を持つ可能性がある、したがって,東西両断層崖を合わせた白州断層全体では,A 級に匹敵するネットスリ ップ速度を持つ可能性が高い (下のFig9)
反射法地震探査結果によれば,地表下数 100 m での断層面の傾斜は約 30 ̊ W,基盤の花崗岩の累積変位量は約 200 m とされている(阿部ほか, 1999; 井上ほか, 2000).

断層位置は活断層研究会(1991),下川ほか(1995),中田・今泉(2002),池田ほか(2002),都市圏活断層図「韮崎」による.

なお、東側に分布する下円井断層,市之瀬 断層群は白州断層の南端から 7 ~ 10 km 東側に離れています
また、白州断層より南で西側に分布する断層群は活断層研究会(1991)の区分・命名に従うと鳳凰山断層、大ナジカ峠断層、 櫛形山断層群ですが、これらは更新世後期以降活動した活断層の 分布を示していません

青マークが白州活動セグメント

地図を拡大する

白州断層の地形特性を示す図。台地と活断層の分布を示す。大坊(戸田ほか、2000)と横手海溝の位置を示す。ベース図は国土地理院の1/25,000地形図「長坂上条」。三浦大助2004



横手と大坊の最近の地震、地形学的相関、年代測定から推定された、地震時の地表断層活動と白州断層の平均垂直すべり速度。(a)地震時の地表断層活動。大坊のデータは戸田ら(2000)による。(b)これらの最近の地震から推定された白州断層の垂直すべり速度の可能性。(c)地形学的相関から推定された垂直すべり速度の可能な範囲。三浦2004

主な資料
糸魚川−静岡構造線断層帯 地震本部
糸魚川-静岡構造線断層帯の長期評価(第二版) 2015年
糸魚川-静岡構造線活断層系の調査結果と評価
糸魚川-静岡構造線活断層系のトレンチ調査結果
糸魚川—静岡構造線活断層系南部, 白州断層の活動履歴の再検討—横手地点トレンチ調査— 2004年




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