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新型コロナウイルス ワクチン2回接種の副反応

こんにちは。

あなたは、新型コロナウイルスのワクチンを接種したことがありますか?

今回は、韓国の症例をご紹介します

48歳の女性は、アストラゼネカ社の新型コロナウイルスのワクチンを接種して

次にファイザー社の新型コロナウイルスのワクチンを接種しました

このように、違うメーカーの新型コロナウイルスのワクチンを接種することを交互接種と呼びます。日本では、3回めのワクチン接種の時にニュースで取り上げられました

交互接種の有効性と副反応

彼女は2回目の接種から4日後に症状を感じ、鈍い胸痛と呼吸困難のため救急外来を受診した

検査所見で心筋が高度に傷害されていた

心筋炎を起こすウイルスと細菌を検査したが、全て陰性だった

初回胸部X線検査特に異常なし(図1A)。初回心電図では、V2-V5胸部誘導で著明なST部分上昇と洞性頻脈が認められた(図1C)。経胸壁心エコー検査では、重度の左室(LV)機能不全(駆出率15%)および右室機能不全を伴う全無動が明らかになった。冠動脈造影(CAG)では、左前下行枝(LAD)近位部に重度狭窄(約90%)が認められた(図1Dの赤い矢印)。右冠動脈に疾患はなかった。冠血流は良好であったが(心筋梗塞における血栓溶解療法、血流グレード3)、ST部分上昇型心筋梗塞が完全に除外されなかったため、LAD近位部から中部に薬剤溶出ステントを植え込んだ経皮的冠動脈形成術中に突然の心室頻拍が起こり、体外心肺蘇生法が行われた(図1B)

図 1. 患者の胸部 X 線 (A、B)、心電図 (C)、冠動脈造影 (D)
黒矢印は経大動脈左心室ベントカテーテル、白矢印は経中隔左心房ベントカテーテル、青矢印は体外酸素補給の静脈ドレナージカテーテル、赤矢印は狭窄部

患者の状態が悪かったため、心臓MRI検査は実施されなかった
患者の心臓は回復せず、11 日後に心臓移植が行われた


摘出された心臓の病理学的検査では、

心房、心室、心室中隔にびまん性心筋細胞壊死混合炎症が認められた。混合炎症性浸潤はリンパ球、マクロファージ、好酸球で構成されていた。洞房リンパ節および房室リンパ節にも炎症性浸潤が認められた。さらに、CD68 陽性の多核巨細胞が散在していた。肉芽腫性病変はなかった

図 2. 心臓の病理所見。びまん性心筋細胞壊死と混合炎症性浸潤が認められる (A; H&E、×100)。リンパ球、マクロファージ、および頻繁な好酸球を含む混合炎症が認められ、多核巨細胞も認められる (B; H&E、×200)。T リンパ球浸潤が認められる (C; CD3、×100)。CD68+ マクロファージの浸潤が認められ、多核巨細胞は CD68 陽性である (D; CD68、×200)。黒と白の矢印は多核巨細胞を示す。

以上より診断は、劇症巨細胞性心筋炎である


推定される病態は以下のような免疫介在性炎症です


アストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンが心筋細胞内に入り、スパイクタンパクが生合成され、患者の心筋細胞に発現した(少し詳しく:この時、スパイクタンパク質に反応する免疫細胞ができる)

ファイザー社の新型コロナウイルスワクチン接種により、スパイクタンパクに対する抗体が作られた (少し詳しく:ファイザー社の新型コロナウイルスワクチン接種によりスパイクタンパク質が生合成され、これに反応する抗体は免疫細胞によって作られる)

スパイクタンパクに対する抗体が、スパイクタンパクを発現する心筋細胞を攻撃し殺した

この方の予後

患者は合併症なく退院し、少なくとも心臓移植後 8 か月間、拒絶反応や再発を経験しなかった。現在は外来診療所で経過観察中である

今回は、新型コロナウイルスワクチンの副反応についてあまり知らない人にわかっていただけるような記事にしたつもりです
お気軽にご質問ください

それでは皆さま、本年も宜しくお願いいたします

出典:
Fulminant Giant Cell Myocarditis following Heterologous Vaccination of ChAdOx1 nCoV-19 and Pfizer-BioNTech COVID-19.
Kang DH, et al. Medicina. 2022 58(3):449. 



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