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生きることは歪むこと-操体法の日常化-

1. 操体法とは何か

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。今回は、操体法について簡単に紹介してみたいと思います。操体法は、身体の自然な動きや呼吸を大切にしながら、全体的な健康を整える、外科医の橋本敬三氏が体系化された、日本発祥の健康法です。

操体法では、全ての日常生活は体のバランスを崩すとして、「生きることは歪むこと」と言う基本認識があります。その歪みを放置し続けた結果、下記に示す様な不調や病気を引き起こす一因になっているので、日々歪みを整えることで病気を未然に防ぐ、と言うのが、大まかな考え方です。

操体法のザックリした原則としては、痛みや不快感を感じるときに、その反対側の不快感を感じない気持ちの良い方向の動きを行うことで、体の緊張を和らげ、腱や靭帯のバランスが自然に整うのを誘導します。

この原則を、息(呼吸)、食(栄養)、動(運動)、想(メンタル)、環(生活環境)において、日々実践する事で、より長く健康に生きられる、と言うのが操体法の全体像ですので、物理的に体の構造の歪みを補正するのは、操体法の一部に過ぎません。

操体法の特徴は、患者自身が主役となり、自分の感覚を大切にしながら健康を保つことにあります。コレが、整体や鍼灸、柔道整復、カイロプラクティックなどの「治療家の専門技術による施術」を主体とする各種治療理論と全く違うところです。

現代の生活環境は、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による不自然な姿勢が多く、それが原因で体のバランスが崩れがちです。
また、スポーツや運動をしている人も、徐々に歪みが蓄積していくことで、むしろ一般人よりも怪我や故障を起こし易くなります。
操体法は、このような日常的な歪みに対処するための方法として、非常に有効です。

2. 身体の歪みと健康の関係

私たちの身体は、日々の生活の中で無意識のうちに少しずつ歪んでいきます。長時間同じ姿勢で座ることや、片方に偏った動きが積み重なることで、筋肉や腱、靭帯が微妙に歪み、関節などに負担がかかります。

その結果、肩こりや腰痛、頭痛といった身体の不調が引き起こされます。さらに、体が歪むことで内臓の働きにも影響が及び、消化不良や便秘などの症状が現れることもあります。

操体法は、これらの歪みを感じ取り、それを正すための手助けをしてくれる理論です。日常生活の中で、自分の身体の変化や歪みを意識することで、早めに対処し、より健康的な生活を送ることが可能になります。

3. 日常生活でできる簡単な操体法の実践

操体法は、特別な設備や道具を必要としないため、誰でも気軽に始めることができます。
体を動かした時の動かしやすさや違和感を感じる必要があるので、慣れないと難しいですが、練習すれば誰でも分かる様になります。

例えば、座っているときに肩を前後にゆっくり回すだけでも、肩周りの筋肉をほぐす効果があります。その際に、どの方向に動かすと嫌な感じや痛みがあるのか、左右どちらが動かしにくいか、と言うことを感じ、嫌な方向への動きはしないで、楽に動かせる方向への動きを繰り返し行います。

立っているときには、足を交互にゆっくり上げ下げし、足腰の血流を促すことで、むくみを防ぐことができます。その際も、左右どちらが上げやすいのか感じた上で、上げやすい方を多めにあげることで、自然とバランスが取れてきます。

朝起きたときや仕事の合間、テレビを見ながらなど、少しの時間を使って実践できるのが魅力です。特に、デスクワークをしている人や家事をしている人にとっては、簡単に取り入れることができるリフレッシュ方法としておすすめです。

4. 操体法の効果を感じるためのポイント

操体法の効果を感じるためには、いくつかのポイントに気をつける必要があります。

まず全身を脱力できる様になる事です。楽な方向に動かす際に、他人の補助或いは器具を使ったりして、軽く負荷をかけて動作を行い、動作の最後で力を抜かない様にしばらく溜めた後に、フッと脱力する事で、体の自然治癒力が活性化して、腱や靭帯の歪みが補正されます。
ですから、全身を脱力できる様に練習しておくと、効果を最大限に得る事が出来ます。脱力出来ない場合には、負荷をかけずに痛く無い方向や痛く無い側の方の動作を2-3回行うだけでも、ユックリですが、効果は出てきます。

そして、動作はゆっくりと行い、急な動きや無理な力をかけないことが重要です。
また、痛みを感じる方向ではなく、心地よいと感じる方向に身体を動かすことで、効果が最大限に引き出されます。

呼吸も重要なポイントです。動作を行うときは、深い呼吸を心がけることで、身体全体がリラックスしやすくなります。特に、忙しい日常の中で緊張が続いている人は、呼吸に意識を向けることで心身のリフレッシュ効果を高めることができます。

5. 操体法を習慣化するための工夫

操体法を長く続けるためには、習慣化するための工夫が必要です。たとえば、毎朝起きたときや夜寝る前に、5分程度の操体法を取り入れる時間を決めると、自然と体が慣れてきます。

また、家族や友人と一緒に行うことで、続けやすくなることもあります。さらに、日々の体調を記録しておくことで、どの動きが効果的だったかを振り返ることができ、モチベーションを保ちやすくなります。自分のペースで無理なく続けることが、操体法を日常に根付かせるコツです。

操体法の理論を使った施術を行っている治療院もありますし、全国の公共施設で有志による勉強会が開催されていますので、「操体法」で検索をしてみると良いです。

知識と経験のある人による対面指導を受けないと、操体法の本当の理解は難しいですが、関連書籍も多数出ていますので、まずは自分に合いそうな本を読んでみるのも良いと思います。

そして操体法の面白いところですが、外してはいけない原則はあっても、人によって少しずつ最適なやり方が変わって来ますので、唯一絶対の操体法と言うのは、実は存在しないと言うことです。

創始者の橋本敬三氏の操体法も、初期と晩年では教える内容や施術は変化していたと言います。ですから、発信する人によって、微妙に内容が異なるところがありますが、そう言うものだと思って下さい。

また、一部の実践者が自分なりの仮説を発信してることはありますが、生理学や解剖学に裏付けされた理論は存在しません。
創始者の橋本敬三氏も「なんでこうなるのかは知らん。経験的にそうなるとしか言えん。誰かが考えてくれ」と言われていたとのことです。(笑)

Dr.Kから操体法を習ってみたい、と言う方は、ぜひコメント下さい。希望者が多ければ、オンラインがオフラインか分かりませんが、講習会を開催するかもしれません。

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