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「ノセボ効果」とは

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
「プラセボ(プラシーボと表記することも)効果」は有名ですが、「ノセボ効果」を知っている人は少ないと思いますので、まとめてみました。

【「プラセボ効果」とは】

「placebo」はラテン語で「私は喜ぶ」という意味。薬効の無い乳糖や小麦粉の粉末や錠剤化した物を飲むことで、体調が改善される現象です。この効果の背後には、患者さんの期待や信じる気持ちが大きく影響していると考えられています。

欧米の一部に愛用者のいる、ホメオパシーと言う治療理論があります。そこで使われるレメディーと言う治療薬と言うかサプリメントの様な物があるのですが、植物、動物組織、鉱物などを水で100倍希釈して振盪する作業を10数回から30回程度繰り返した水を、砂糖玉に浸み込ませて作った物です。原材料物質の濃度は10の60乗分の1程度であり、検出も不可能なレベルで薬効も害もほぼ無いことから、現代医療においては「プラセボ効果」でしか無いと言う認識がされています。

この様な心理的効果を排除する為に、新しい薬を人間に対して使う実験をする際には、何の効果も無い偽薬を使う集団と、実薬を使う集団との間で比較する、と言うことが行われます。

一方で、本人が「本来効果が無い」と認識しているにも関わらず、一定のプラセボの効果を感じる場合もあったりします。不安感が強く抗不安薬を時々使う方が、抗不安薬の代わりにサプリやミントタブレットなどを使うと、意外と落ち着く場合があるんです。人間の精神って不思議ですよね。

民間療法や代替療法には、ホメオパシーの様にプラセボ効果による改善もあるということで、似非科学として否定する科学者や医療者と多いですが、信じることで結果が出てるのであれば、全否定する必要は無い様に思います。
現代医療や科学を全否定する様な思想の場合は、偏った狂信だな、とは思います。
逆に科学原理主義として自分の信じる学説以外を全否定するのもまた、科学は絶対でも万能でも無いので、偏っている狂信と思います。

【「ノセボ効果」とは】

「nocebo」とはラテン語で「害する」と言う意味で、プラセボと反対の現象です。
治療や薬に対する否定的な期待や不安が、実際に体調の悪化や副作用の様な症状を引き起こす現象のことです。
薬の説明の際に副作用についての印象が強い場合、副作用を強く意識してしまい、実際に症状が現れることがあります。

実際に起こり得る副作用が起きた、と言うだけであれば、ノセボ効果とは言えないのですが、本来何の害も無いはずの物なのに、自分で思い込んでいる様な不調を感じたり、実際に起きたりする、と言う場合には、ノセボ効果と言えます。

実際には良い治療法だったり薬剤だったりするのに、否定的な印象を強く持っていることで、効果が薄くなったり、副作用が強く出たりする、と言う場合もあります。

今回の紅麹事件の様な場合に、病院受診をしたり実際に不調のある方の一部には、この様なノセボ効果の方も一定数は混ざっています。
もちろんだから対応するな、と言うつもりもありませんし、紅麹事件が無いことだ、と言うつもりも全くありません。

紅麹菌の一部の菌株が生成する「シトリニン」は原材料菌株では遺伝子レベルで存在しておらず、製品からも検出されておらず、アオカビの一部が生成する「プベルル酸」が本当に原因かも未解明の状態です。

しかしながら、消費者の中には「紅麹は毒菌」と言うイメージを強く持ってしまった方もいます。その様な方の中には、「麹は毒」と言うイメージも持っている方もいる様ですが、その様なイメージのまま、醤油、味噌、焼酎、塩麹、甘酒などを「腎臓が悪くなり最悪死に至る」と言う強いイメージを持って摂取することで、本来起こり得ない様な症状が起こる可能性もある、と言うのが、ノセボ効果です。

自分が否定的な印象しか持てない様な治療や薬、サプリメントや食材は、無理に摂る必要はありません。否定的な印象を強く持つ人を無理やり説得しても同じことですので、他人に押し付けるのはやめましょう。

逆にプラセボ効果として、肯定的な印象を強く持ち、感謝を込めて摂取出来れば、本来平凡な物でも、それなりの健康効果を感じられる、と言うことも言える訳です。
どうせ同じ物を摂るのであれば、自分が肯定的な印象を持てる様な物を選びましょう。

なんか嫌だな、本当はダメなんだよな、と思うならやめておく。良さそうだな、と心底思えるならやってみる。と言うことですね。
一見よさそうで悪いのが、「ダメかも知れないけど良いらしいから信じてみよう」と言う考え方です。心理学的にもこの様な考え方をした場合、潜在意識では「ダメかも知れないけど」と言う部分が強く認識されるので、ノセボ効果が出て良くないと言われます。

この様に考えると、現代医療は「副作用や合併症を細かく説明した上で、治療の同意を迫る」と言うやり方をしてますので、心理的に良くない様な気もしますが、訴訟やトラブル予防の為には、肯定的な転機だけで無く予想される否定的な転機もしっかり説明しないといけないので、仕方ないことではあります。

自分の提供する健康顧問サービス、ヘルスコーチングは、特定の理論や思想を押し付け強要する物ではありません。あなたが一番自分の心身に良いと感じる生活習慣や環境を見つけ出すお手伝いを、コーチングと言う手法を用いて支援するとともに、中立的な視点を持てる様に手助けするサービスです。

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