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【ステーキハウス症候群】

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
「ステーキハウス症候群」と言う病名をご存知ですか?

俗称であり、正式な病名としては、「food bolus impaction; FBI」と言います。直訳すると、「食塊固着」ですが、「食塊異物による食道閉塞」のことを指します。1963年に米国で症例が報告され、ステーキハウスで大きなステーキ肉の塊を切り分けたり噛むことなく飲み込むことで、食道に詰まってしまったと言う症例だったことから、この様に呼ばれました。

その後、ステーキに限らず何でも大き過ぎる食塊を飲み込むことで起こると言うことから、「food bolus impaction; FBI」、日本語で「食塊異物による食道閉塞」と呼ばれる様になりました。

日本では餅などの誤嚥、つまり本来入っていく食道では無く、気管に食塊が迷入してしまい、呼吸障害を引き起こす病態が有名ですが、この「ステーキハウス症候群」は、食道内に飲み込めているにも関わらず、巨大過ぎる為にうまく胃の中に送り込めない状態なのが、異なります。

急いで食事をした時に、急激な胸痛を訴えるので、臨床的には「心筋梗塞」などの重篤な病気と紛らわしいことがあり、CT検査などで判明することも珍しくありません。

治療としては、上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)を行い、胃に降りていかない食塊を、物理的に胃の中に押し落とすのが治療になります。

年末年始のお餅のトラブルのイメージは、「誤嚥による気道閉塞」ですが、息の通り道では無く、食道に詰まると言うことも起こり得る訳です。

何を食べるにしても、無理のない大きさに切り分けた上で、或いは噛み切った上で、よく噛んでゆっくり食べる様に心掛けましょう。

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